熱中症対策食品とは|市場拡大と販売期間の課題
熱中症対策食品とは何か
熱中症対策食品とは、熱中症の予防や対策を目的として、塩分やミネラルを補給できる食品を指します。高温環境下では発汗によって体内の塩分とミネラルが失われるため、これらを効率的に補給する必要があります。
2025年は過去最高の暑さを記録
| 項目 | 2025年の記録 |
|---|---|
| 気温 | 1898年以降で過去最高 |
| 救急搬送人員(6~9月累計) | 10万0510人 |
| 調査開始年 | 2008年 |
| 搬送人員数の位置づけ | 調査開始以来最多 |
2025年は1898年以降で過去最高の暑さを記録した年となりました。総務省消防庁の発表によれば、2025年6月から9月の熱中症による救急搬送人員の累計は10万0510人で、2008年の調査開始以来、最も多い搬送人員数となっています。
暑くなる時期が早まっている
高温傾向は年々継続しているだけでなく、気温上昇の時期も早まっています。2025年6月16日から22日の熱中症による救急搬送者数は8603人で、前年同期の3倍以上となりました。6月中旬という比較的早い時期から、多くの人が熱中症で搬送される状況になっています。2026年も同様かそれ以上の暑さが想定されています。
塩分を取ることへの理解が広がっている
室内でエアコンをつけない高齢者に注目が集まることが多いですが、外を歩く機会があれば年齢を問わず疾患リスクは高まります。実情の周知や熱中症の危険性についての啓発活動により、生活者の間で塩分補給の必要性への理解が深まってきました。店頭に「塩分補給」「熱中症対策」の文字が並ぶことは注意喚起の役割を果たしています。
熱中症対策食品の主な種類
熱中症対策食品は、形態によって使用シーンが異なります。外出時や作業中には持ち運びやすいキャンデーやタブレット、運動後や休憩時には飲料やゼリー、暑さを感じた際にはアイスといった使い分けがされています。
あめやタブレットの商品
| 商品タイプ | 商品名 | メーカー | 展開の特徴 |
|---|---|---|---|
| タブレット | 塩分チャージタブレッツ | カバヤ食品 | 教育現場や登山者への配布 |
| グミ | クイック塩グミ パイン味 | モントワール | グミ市場の拡大を活用 |
| グミ | ソルティグレフルグミ | クリート | 若年層へのアプローチ |
持ち運びが便利なあめやタブレットは、熱中症対策食品の中でも広く展開されています。「塩分チャージタブレッツ」は教育現場や登山者への配布が報告された商品で、レモンや梅のフレーバーとともに展開されています。
2025年はグミも登場しました。「クイック塩グミ パイン味」や「ソルティグレフルグミ」は、キャンデー類の中で市場が拡大しているグミというカテゴリーを活用した商品となっています。
炭酸飲料の商品
スポーツドリンクではなく、炭酸飲料に塩分を付加する商品が2025年に増加しました。一般的に水分補給に不向きかと思われる炭酸ですが、喉越しの良さとおいしさによる摂取の促進という側面があります。
希釈タイプの飲料の商品
希釈タイプの商品は飲む量や濃さ、割り材のアレンジが可能なことに加え、コストパフォーマンスも高いです。「熱中対策水 10倍濃縮 シトラス」は500ミリリットル相当で約37.8円となります。
アイスの商品
かち割りアイスとして知られる「アイスボックス」は2024年夏から複数の建設現場に商品提供を開始しており、2025年も同様の活動が報告されています。夏季の限定品として熱中症対策フレーバー「ソルティライチ」を発売しました。
ブルボンの「ミネラル塩バニラアイス」は、塩バニラ味自体は従来からあるフレーバーですが、「手軽に塩分ミネラル補給」と表面に印字することで、嗜好品としてのおいしさと熱中症対策訴求を両立させました。
ゼリーの商品
| 商品名 | メーカー | 特徴 |
|---|---|---|
| ミネラル塩ゼリーplusビタミンひんやりレモンスカッシュ味 | ブルボン | ビタミン配合 |
| inゼリー エネルギーフローズン 塩分プラス ライチ味 | 森永製菓 | エネルギー補給も兼ねる |
| ユンケル ローヤルアクア | 佐藤製薬 | 製薬メーカーからの展開 |
熱中症対策では口栓付きパウチ商材がメーンになりつつあります。製薬メーカーからも商品が出ており、熱中症対策分野は医療的な視点からも展開されています。
アイススラリーの商品
2025年に展開されたのが「凍らせて飲む」アイススラリーとなりました。愛用者の声がSNSで報告され、2026年も継続して展開される可能性があります。
飲む場面に合わせた商品
| 商品名 | メーカー | 想定シーン | 設計の特徴 |
|---|---|---|---|
| ノマナイトウォーター | サラヤ | 熱帯夜の就寝時 | 体に水分が緩やかに吸収される設計 |
飲むタイミングに着目したアイテムも登場しています。「ノマナイトウォーター」は熱帯夜の就寝時を想定した商品で、体に水分が緩やかに吸収される設計となっています。夜間のトイレを懸念して水分摂取を控えることで熱中症を招く課題に対応して生まれた商品で、長時間の運転などトイレに行きにくい場面でも使用されます。
熱中症対策食品を販売する時期
2025年は夏だけ多く販売していた
| 時期 | 販売状況 |
|---|---|
| 5~6月 | 気温上昇に合わせて販売開始 |
| 7~8月 | 売場が塩関連商品で埋まる時期も |
| 9月以降 | 急速に商材が減少する傾向 |
手軽な塩あめや塩タブレットは2025年も活況を呈しました。店舗によっては気温上昇が始まる5月から6月にかけて販売を開始し、売場が塩関連商品で埋まる時期もありました。一方で、最盛期を過ぎると急速に熱中症対策の商材が減少する傾向が見られます。
【課題点】10月になっても暑い日が続いている
2025年は10月にも猛暑日や真夏日が観測されたエリアが複数あります。猛暑日は最高気温が35度以上、真夏日は最高気温が30度以上の日を指します。本来であれば涼しくなるはずの10月でも、熱中症のリスクがある暑さが続いているのが近年の傾向です。しかし季節感を重視するあまり、最盛期を過ぎると急速に熱中症対策の商材が減少する傾向が指摘されています。
官民一体で熱中症予防や暑さ対策を推進する「熱中症予防声かけプロジェクト」の山下太郎代表は「季節感を大切にするあまり最盛期を過ぎると急速に熱中症対策の商材が減ってしまう」と指摘しています。
熱中症対策食品の販売時期を長くする必要性
| 従来の考え方 | 実態 |
|---|---|
| 夏季(7~8月)が中心 | 5月や10月でも熱中症リスク |
| 秋口(9月)で終了 | 10月にも猛暑日や真夏日 |
| 季節商品として扱う | 生活必需品としての側面 |
熱中症対策食品が増えることで、おいしさと同時にあらゆるシーンで塩分を補給するという生活スタイルが広がってきました。従来からの季節性を重視した商品開発や売場づくりを大切にしつつも、単なる季節イベントに終わらせない提案を通じた、生活支援としての熱中症対策食品の定着が求められます。
気候変動により、従来の季節区分が実態と合わなくなってきています。5月や10月であっても熱中症リスクが高い日が増えており、対策食品の必要期間は延びています。販売期間の延長は、在庫管理や商品回転率といった小売側の課題とのバランスも必要となります。
熱中症対策食品市場のこれから
商品の種類が増え続けている
2025年にカテゴリーが飛躍的に拡大した熱中症対策食品は、2026年も進化が続く見込みとなっています。キャンデーや飲料といった従来からあるカテゴリーに加え、アイススラリーのような新しい形態の商品も登場しました。「おいしく命を救う」食品の進化は続いていきます。各メーカーが新しい商品を開発し続けることで、消費者はより多くの選択肢の中から自分に合った商品を選べるようになっています。
販売する期間を長くするべき
気温上昇の早期化と秋口の高温継続という実態を踏まえ、販売期間の設定を見直す動きが今後重要になります。従来は7月から8月を中心とした販売でしたが、4月から11月にかけての長期間での展開を検討する必要性が高まっています。開始時期を4月まで早め、終了時期を11月まで遅らせることで、実際に暑い期間をカバーできるようになります。販売期間の延長は、在庫管理や商品回転率といった小売側の課題とのバランスも必要となります。
生活に欠かせないものになっていく
熱中症対策食品は一時的な商品ではなく、高温化する日本での生活に必要な商品として定着していく段階に入っています。塩分補給を日常的な習慣として取り入れることが、猛暑が常態化した環境での生活の一部となりつつあります。




