ラクリッツシュネッケンとは
ドイツの老舗メーカー・ハリボー社が製造する「ラクリッツシュネッケン」
これは日本人にとって「世界一まずいグミ」との異名を持つ衝撃的な味わいのお菓子です。
その黒く渦巻いた見た目と独特の風味から、日本では「タイヤ味のグミ」とも呼ばれています。
ラクリッツシュネッケンの製造メーカー「ハリボー」
ハリボー(HARIBO)は1920年にドイツで創業された世界的に有名なグミ製造メーカーです。
社名は創業者ハンス・リーゲル(Hans Riegel)の名前と出身地ボン(Bonn)の頭文字から取られています(Hans Riegel Bonn)。
「ゴールドベア」など色とりどりのフルーティーなグミで知られる一方、伝統的なラクリッツ製品も製造しています。
ラクリッツシュネッケンの名前の由来
「シュネッケン(Schnecken)」はドイツ語で「カタツムリ」という意味。
ラクリッツシュネッケンはその名の通り黒い渦巻き状の形をしています。
まるでカタツムリの殻やタイヤのような見た目が特徴的です。
英語では「Licorice Wheels」(リコリスホイール)とも呼ばれ、車輪を連想させる形状から来ています。
ラクリッツシュネッケンの原材料と成分
ラクリッツシュネッケンの主な原材料は以下の通りです。
- 砂糖
- ブドウ糖シロップ
- 甘草(ラクリッツ)エキス(約2〜5%)
- 小麦粉
- アンモニアク塩
- 植物油
- ゼラチン
- 着色料(植物炭末)
甘草(ラクリッツ)エキスとアンモニアク塩が、これらが独特の風味を生み出しています。
ラクリッツシュネッケンが「世界一まずい」と言われる理由
ラクリッツ(甘草)の風味
ラクリッツシュネッケンの主成分である「ラクリッツ(甘草)」は、マメ科の多年草の根から抽出されるエキスです。この甘草に含まれるグリチルリチンという成分が、非常に強い甘味と同時に独特の風味を持っています。
- 砂糖の約50倍の甘さを持つグリチルリチン
- 漢方薬のような強烈な薬草味
- 独特の甘さと苦味が混ざった複雑な風味
- アニスやフェンネルに似た香り
- 日本人の味覚に合わない強烈なインパクト
多くの日本人が初めて口にすると「まるで漢方薬をそのまま食べているよう」「古いタイヤをかじっているよう」「醤油とアニスを混ぜたような味」と表現するほどの衝撃を受けます。
アンモニアク塩の存在
北欧のラクリッツ菓子には「サルミアッキ」と呼ばれるアンモニアク塩(塩化アンモニウム)が含まれていることがあります。
この成分が風味に塩味やわずかな刺激を加え、それは日本人にとって「化学薬品」のような印象を与えます。
見た目のインパクト
真っ黒な色と渦巻き状の形状が、日本人にとって食べ物としての印象を悪くしている側面もあります。
まさに「タイヤ」や「ゴム製品」を連想させる見た目は、味わう前から心理的なハードルを上げています。
ラクリッツシュネッケンがヨーロッパで人気の理由
驚くべきことに、このラクリッツ味は北欧やドイツなどヨーロッパの多くの国々では大人気です。
特にオランダ、フィンランド、スウェーデンなどでは国民的なお菓子として愛されています。
- フィンランド人の年間ラクリッツ消費量は約2.7kg/人
- オランダでは様々な形状のラクリッツ菓子(Drop)が400種類以上も存在
- ドイツやデンマークの伝統的なお菓子として長い歴史を持つ
歴史的背景
ラクリッツは古代エジプト時代から薬として使用されており、中世ヨーロッパでは咳止めや消化を助ける薬として重宝されていました。
16世紀頃から少しずつ菓子として普及し始め、特に北ヨーロッパで独自の食文化として発展しました。
味覚の文化差
同じ食べ物でも文化によって評価が大きく異なるのは、味覚の文化差によるものです。
日本人が当たり前に食べる納豆や生魚が西洋人に受け入れられにくいのと同様に、ラクリッツ味は日本人には馴染みのない味わいなのです。
ラクリッツシュネッケンも日本で人気になる?
SNSでの話題性
2010年代以降、SNSの普及とともに「世界一まずいグミ」「タイヤ味のグミ」として話題になり、チャレンジ動画が多数投稿されています。その極端な反応や「まずさ」が注目を集め、逆にカルト的な人気を博しています。
リアクション動画の流行
YouTubeなどでは「ラクリッツシュネッケンに挑戦」というコンテンツが人気で、初めて食べる日本人の衝撃的な反応を記録した動画が多数存在します。これにより、さらにその知名度と「まずい」という評判が広まりました。
マニアックなファン層
極端な味わいにもかかわらず、日本でも熱狂的なファンが存在します。一部の輸入菓子店では常連客に支えられ、リピート購入されるほどの根強い人気があります。
ラクリッツシュネッケンの健康効果と注意点
ラクリッツの薬効
甘草は古くから薬として使用されてきた植物で、以下のような効能があるとされています。
- 消化不良や胸やけの改善
- 咳や喉の痛みの緩和
- 抗炎症作用
- 抗ウイルス作用
過剰摂取の危険性
一方で、ラクリッツに含まれるグリチルリチンの過剰摂取には注意が必要です。
- 血圧上昇
- カリウム値の低下
- むくみ
- 不整脈のリスク
欧州食品安全機関(EFSA)は、成人の場合1日あたり100mg以上のグリチルリチンを含む食品の継続的な摂取は健康リスクがあるとしています。これは高濃度のラクリッツ菓子で約50g程度に相当します。
妊婦や特定の疾患を持つ人への注意
以下の方はラクリッツの摂取に特に注意が必要です。
- 高血圧の方
- 腎臓病や心臓病の方
- 妊婦(早産のリスクとの関連が報告されています)
- カリウム低下を引き起こす薬を服用中の方
ラクリッツシュネッケンにチャレンジしてみたい方へ
入手方法
「世界一まずい」という評判にも関わらず、あるいはその評判ゆえに、チャレンジ精神旺盛な方々の間では一度は試してみたいお菓子として人気があります。
以下の場所で入手できます。
- 輸入菓子専門店
- 一部の大型スーパーの輸入菓子コーナー
- オンラインショップ(Amazon、楽天市場など)
- ヨーロッパ雑貨を扱うセレクトショップ
価格は100g当たり300〜500円程度が一般的です。
試食のコツ
初めて食べる場合は覚悟して少量から試すことをおすすめします。
- 最初は小さく切って少量から
- 甘いお茶やコーヒーと一緒に食べると食べやすい
- 無理に一気に食べず、少しずつ味に慣れる
- 他の人と一緒に食べて反応を共有するのも楽しい
ラクリッツを楽しむ他の選択肢
純粋なラクリッツ味が強すぎる場合、以下のような入門編から試すのもおすすめです。
- フルーツフレーバーとミックスされたラクリッツ菓子
- チョコレートコーティングされたラクリッツ
- ラクリッツティー(甘草茶)
まとめ
「世界一まずいグミ」「タイヤ味のグミ」と称されるラクリッツシュネッケンは、日本人の味覚にとって大きな挑戦となるお菓子です。しかし、その独特の風味と食文化の違いを理解することで、新たな味覚体験として楽しむこともできます。
好みが分かれる独特の味わいですが、リピーターになる方も少なくありません。タイヤのような見た目と漢方薬のような味わいの「ラクリッツシュネッケン」で、あなたも世界のお菓子文化を体験してみませんか?