生チョコとは|発祥起源と名前の意味・由来【なぜ生と呼ぶ】

生チョコとは
| 形状 | 四角いサイコロ形 |
|---|---|
| 外側 | コーティングなし |
| 食感 | 口どけがなめらか |
| 特徴 | 体温で溶け出す柔らかさ |
生チョコとは、外側をチョコレートでコーティングせず、中身だけで作られた四角いサイコロ形のチョコレート菓子のことです。
一般的なチョコレートは固くてしっかりとした食感がありますが、生チョコは口に入れると体温でふわっと溶け出すなめらかな口どけが特徴となっています。
このとろけるような食感が、通常のチョコレートとの大きな違いです。
通常のチョコレートとの違い
生チョコと普通のチョコレートの違いをもう少し詳しく説明すると、一般的なチョコレートは固形で、噛んで食べることを前提に作られています。一方、生チョコは非常に柔らかく、指で触れるとすぐに形が崩れるほどデリケートな質感をしています。
この柔らかさは、チョコレートに生クリームを多く加えることで実現されています。生クリームの水分と油分が加わることで、チョコレートは固くならず、なめらかでとろける食感になるのです。
「生」という名前の由来・理由
- コーティングがなく加工が少ない印象
- 柔らかく生っぽい質感
- 新鮮さや特別感を連想させる効果
なぜ「生」という言葉が使われているのでしょうか。
実際のところは分かりませんが、この「生」という表現には、いくつかの意味合いが考えらえています。
- 食感
外側に固いチョコレートのコーティングがないため、通常のチョコレートよりも柔らかく、生っぽい印象があることが理由として挙げられます。
- 鮮度
私たちが普段使う「生クリーム」や「生パスタ」といった言葉と同じように、「生」という言葉には新鮮さや加工が少ないという意味合いがあります。
- 加工
生チョコも、コーティングという加工が施されていないため、チョコレート本来の味わいをそのまま楽しめるという意味で「生」という言葉が結びついたと考えられています。
「生」という言葉の効果
さらに、「生」という言葉には特別感や贅沢感を連想させる効果もあります。
生という表現は、新鮮で高品質なものを想像させる傾向があり、消費者に対して「これは普通のチョコレートとは違う特別なもの」というメッセージを伝えることができます。
この言葉の持つイメージが、生チョコという商品の魅力を高める役割を果たしたと考えられています。
ただし、「生チョコ」という名前は厳密に定義されたものではなく、当時の人々が柔らかくとろける食感から自然に「生」という言葉を結びつけたものだといえます。
生チョコの誕生と歴史
1980年代後半のバレンタイン市場
当時のバレンタイン市場の特徴
- トリュフチョコレートの登場
- ボンボン・オ・ショコラの流行
- 義理チョコやパロディーチョコの登場
- 各メーカーによる商品開発競争
生チョコが誕生した時代背景を理解するには、1980年代後半から1990年代初頭の日本のバレンタイン市場を知る必要があります。
この時期、日本ではバレンタインデーが大きなブームとなっており、各菓子メーカーは競ってさまざまなチョコレート商品を開発していました。
トリュフチョコレートやボンボン・オ・ショコラなど、工夫を凝らした商品が次々と登場していました。
また、義理チョコやパロディーチョコも流行し、バレンタイン市場全体が活気づいていた時代でした。
シルスマリアと「公園通りの石畳」
| 店舗名 | シルスマリア |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県平塚市 |
| 商品名 | 公園通りの石畳 |
| 特徴 | 外側のコーティングなし、四角いサイコロ形 |
このような活発な市場の中で、神奈川県平塚市にある「シルスマリア」という洋菓子店が新たな提案をしました。
それが「公園通りの石畳」という名前のチョコレートです。
この商品は、従来のチョコレートとは異なるアプローチで作られていました。
外側にコーティングがなく、中身だけで勝負する新感覚のチョコレートだったのです。
四角いサイコロのような形と、なめらかな口どけが話題を呼び、多くの人々の関心を集めました。
生チョコブームの始まり
この「公園通りの石畳」の成功は、後に「生チョコ」と呼ばれるチョコレートブームのきっかけとなりました。
シルスマリアの商品は、その新鮮な食感と味わいで消費者の心をつかみ、多くの菓子店やメーカーが類似の商品を発売するようになりました。
「どこそこの石畳」という名前の商品が次々と登場し、どこのお店が本家本元なのかという議論も巻き起こりました。
業界の中では「シルスマリア」が生チョコの元祖であるとの認識が広まっており、新しい市場を切り拓いたシルスマリアの功績は、同業者からも評価されることになりました。
明治製菓のメルティーキッス
生チョコのブームは、やがて大手メーカーにも影響を与えました。
1992年、明治製菓(現・株式会社明治)が「メルティーキッス」という商品を発売したのです。
この商品は、生チョコの特徴を活かしながら、さらに工夫を加えた冬季限定チョコレートでした。
メルティーキッスの特徴
メルティーキッスは、通常のチョコレートよりも5度低い、23度で溶け始めるよう設計されています。
一般的なチョコレートは28度程度で溶け始めるのですが、メルティーキッスはそれよりも低い温度で溶けるため、冬の寒さの中でも口に入れた瞬間にとろける食感を楽しめる仕様になっています。
メルティーキッスは発売直後から多くの消費者に受け入れられました。
口の中で優しく溶けるその感覚は、従来の市販チョコレートとは異なる体験を提供し、多くのスイーツファンの関心を集めました。
冬季限定という販売スタイルも特別感を演出し、毎年の楽しみとして待ち望む人を増やす要因となっています。
このように、生チョコという新しいジャンルは、大手メーカーの商品開発にも影響を与え、日本のチョコレート市場全体に変化をもたらしたのです。
生チョコがもたらした影響
日本のチョコレート文化への影響
生チョコの登場は、日本人のチョコレートに対する味覚の幅を広げることになりました。
それまでのチョコレートは「固くて甘い」ものが主流でしたが、生チョコによって「なめらかでとろける」という新しい楽しみ方が加わりました。
この変化は、消費者の好みを多様化させ、高品質なカカオを使用したチョコレートや、口どけにこだわる商品が増えるきっかけにもなりました。
カカオ本来の風味をダイレクトに楽しめる生チョコは、贅沢なスイーツとして幅広い層から支持されるようになったのです。
手作り文化への影響
生チョコの人気は家庭での手作りスイーツ文化にも影響を与えました。
生チョコは比較的シンプルな材料と手順で作ることができるため、バレンタインデーの手作りチョコレートとしても広く作られるようになりました。
作り方も複雑ではありません。
チョコレートを湯煎で溶かし、温めた生クリームと混ぜ合わせます。
その後、冷蔵庫で冷やし固め、適当な大きさに切り分けてココアパウダーをまぶせば完成です。
この手作りのしやすさが、生チョコを身近なスイーツとして定着させる一因となりました。
バレンタインの贈り物としての生チョコ
生チョコが贈り物として選ばれる理由
- 手間をかけて作られる繊細なお菓子
- 柔らかくとろける食感が優しい印象を与える
- 「生」という言葉の持つ新鮮さと特別感
- カカオ本来の風味を楽しめる贅沢さ
バレンタインデーに生チョコを贈ることには、特別な意味が込められているとも言えます。
生チョコは手間をかけて作られる繊細なお菓子であり、その柔らかくとろける食感は、贈る人の優しい気持ちを表現するのに適したものです。
また、「生」という言葉が持つ新鮮さや特別感も、大切な人への贈り物として選ばれる理由のひとつとなっています。
このように、生チョコは単なるお菓子としてだけでなく、気持ちを伝える手段としても日本のバレンタイン文化の中で位置を占めるようになりました。
チョコレートという言葉の由来
チョコレートという言葉の由来についても触れておきましょう。
チョコレートという名前は、カカオ豆を使った飲み物を指すアステカ語の「ショコラトル」に由来しています。
この言葉がスペイン語を経て英語の「チョコレート」となり、日本にも伝わりました。
長い歴史の中で、チョコレートは飲み物から固形のお菓子へと形を変え、世界中でさまざまなバリエーションが生まれてきました。
日本で誕生した生チョコも、この長いチョコレートの歴史の中で生まれた新しい形のひとつなのです。
まとめ
生チョコは、1980年代のバレンタインブームの中から生まれた日本発祥のスイーツです。
神奈川県平塚市の「シルスマリア」が生み出した「公園通りの石畳」がきっかけとなり、全国にその人気が広がりました。
外側のコーティングを持たず、なめらかな口どけを楽しめる生チョコは、「生」という言葉のもつ特別感とも相まって、多くの人々に愛される存在となりました。
現在でも生チョコは日本のチョコレート文化に影響を与え続けており、バレンタインデーをはじめとする贈り物の定番として、また家庭で手作りするスイーツとして、私たちの生活に根付いています。





