2010年頃、パフェという魅力的なデザートが改めて注目を集めました。これといった特別な理由があったわけではありませんが、「やっぱりパフェは美味しい」と多くの人が思い直す、いわば原点回帰のような現象が起きたのです。このような冷たいスイーツは時代を問わず愛されてきましたが、私たちは日々の忙しさや新しいトレンドに気を取られ、その魅力を忘れがちになるのかもしれません。
パフェとはどんなデザートか
パフェは、フランス語の「パルフェ(parfait)」という言葉を英語読みにしたものです。本来のパルフェは凍らせて作るスイーツでしたが、それが変化して現在私たちが知るパフェとなりました。アイスクリームを基本として、色とりどりのフルーツ、甘いシロップ、ふんわりと泡立てた生クリームなどを美しく盛り付けた冷製デザートです。
パフェとサンデーの違い
パフェによく似たデザートにサンデーがあります。両者には明確な違いがあります。サンデーは幅の広い器で作られるのに対し、パフェは縦長の器で作られます。この違いは単なる容器の形状だけでなく、食べる際の体験や見た目の印象にも大きく影響します。縦長の器に層を重ねて作られるパフェは、上から下へと食べ進めていく楽しさがあり、視覚的にも華やかな印象を与えます。
アメリカ生まれのデザート「サンデー」
パフェと並び、サンデーもまた冷製デザートとして世界中で愛されています。サンデーはパフェと同様に、アイスクリームにチョコレートソースやシロップをかけ、フルーツやクリームを添えて作られるアメリカ発祥のデザートです。しかし、その起源については複数の説があり、アメリカの各地が自らを発祥の地として主張しています。
サンデーの起源にまつわる諸説
サンデーがどのようにして生まれたのか、その起源にはいくつかの興味深い話が残されています。
ウィスコンシン州の二つの説
ウィスコンシン州のトゥーリバーズにあるアイスクリーム店の店主、エド・バーナーズは、当時日曜日にクリームソーダを売ることが宗教的な理由で禁じられていたため、その代替品としてチョコレートソースをかけたアイスクリームを売り始めました。これがサンデーの起源だとされています。また、同じウィスコンシン州のマニトワックという町でも、アイスクリーム店主のジョージ・ギフィーが日曜日限定で同様のデザートを売り出したところ大好評となり、ある少女の希望により、毎日販売するようになったという話も伝えられています。
ニューヨーク州イサカの説(1892年)
ニューヨーク州のイサカでは、ユニテリアン派の牧師ジョン・M・スコットと、薬局の店主チェスター・C・プラッドが、アイスクリームにチェリーシロップをかけ、シロップ漬けのチェリーで飾り付けをしたデザートを作りました。その日が偶然日曜日だったことから「サンデー」と名付けられたとされています。実際に、同年4月5日の『イサカ・デイリー・ジャーナル』紙にこの「チェリーサンデー」の広告が掲載されており、これが活字として残るサンデーの最古の記録とされています。
イリノイ州エヴァンストンの説(1890年)
イリノイ州のエヴァンストンには、1890年の起源説があります。この町では宗教上の理由から日曜日にソーダ水を売ることが禁じられていました。そこで、地元の店では、アイスクリームにシロップをかけただけの「ソーダ抜きのソーダ」を「サンデーソーダ」として販売しました。しかし、安息日と同じ名称を使うことへの反対意見が出たため、綴りを「sundae」に変更したという経緯があります。
サンデーの名の由来と進化
「サンデー」という名前の綴り(sundae)についても諸説あり、単なる書き間違いという説もあれば、意図的に安息日の「Sunday」と区別するために変更されたという説もあります。いずれにしても、宗教的な背景が深く関わっていることは間違いありません。
サンデーはその後、様々なフルーツやホイップクリーム、ナッツなどが加えられるようになり、どんどん進化を遂げ、今に至るまで世界中で愛され続けているデザートです。
パフェに再び注目が集まった理由
ここまでサンデーの話が中心になってしまいましたが、2010年頃の日本で流行していたのはパフェの方でした。縦長のグラスに美しく層を重ねて作られるパフェは、見た目の華やかさから多くの人々に愛され、改めてその美味しさが再発見されました。
一方で、サンデーについては、これから日本でも流行するかもしれません。アメリカでは既に長い歴史を持つ人気デザートですが、日本ではまだパフェほどには浸透していません。食文化の流行は循環することが多く、パフェの次はサンデーの番が来る可能性も十分にあるでしょう。
一見似ているパフェとサンデーですが、それぞれに独自の歴史と文化的背景を持っています。どちらも基本的にはアイスクリームを基調とした冷たいデザートでありながら、器の形状や盛り付け方、そして生まれた文化によって、異なる個性を持つお菓子として発展してきたのです。2010年頃の私たちは、こうした豊かなデザート文化の恩恵を受けて、改めてパフェの美味しさを再発見することができたのです。