ポリフェノールブーム|菓子で健康を意識するきっかけ

2000年前後、日本で「ポリフェノール」という成分が大きな注目を集めました。

これは、健康への意識が高まったことがきっかけで、食品業界にも大きな変化をもたらしたためです。

この記事では、なぜポリフェノールが話題になったのか、そして私たちの健康や食生活にどんな影響があったのかを、順を追って分かりやすく解説します。

目次

ポリフェノールとは?

ポリフェノールは、植物が自身を守るために作り出す「天然の成分(化合物)」です。

たとえば、果物や野菜、お茶、ワインなどに多く含まれており、植物の色や苦味、渋みのもとにもなっています。

実は、自然界には5,000種類以上ものポリフェノールがあると考えられています。

それぞれの種類によって、特徴や働きが異なります。

なぜこれほど急に注目されたのかははっきりしていませんが、その種類の多さや、健康に良いと期待されたことが理由だと考えられるでしょう。

ポリフェノールの抗酸化作用効果

ポリフェノールが特に注目された理由は、その「抗酸化作用(こうさんかさよう)」にあります。

抗酸化作用とは、体の中で発生する「活性酸素(かっせいさんそ)」という物質から体を守る働きのことです。

活性酸素は、体の細胞を傷つけたり、老化(年を取ること)や生活習慣病(糖尿病や動脈硬化など)の原因になることがあります。

ポリフェノールは、この活性酸素の働きを抑え、体を守ると考えられているため、健康維持に役立つでしょう。

ビタミンCやビタミンEにも同様の抗酸化作用がありますが、ポリフェノールは種類が非常に多いのが特徴です。

たとえば、緑茶には「カテキン」、大豆には「イソフラボン」、ブルーベリーには「アントシアニン」など、様々な種類があり、それぞれが健康に良い影響を与えるとされています。

ポリフェノールを摂取するコツ

ポリフェノールは**「水に溶けやすい(水溶性)」**成分なので、体の中に長く留まることができません。

そのため、一度にたくさん摂取するよりも、毎日少しずつ、こまめに摂ることが大切です。

この性質が知られるようになると、毎日の食事にポリフェノールを含む食品を取り入れる人が増えました。

これは、効率的にポリフェノールを摂取するための工夫だと言えます。

ポリフェノールブームの立役者

ポリフェノールブームを語る上で、特に注目された食品が赤ワインチョコレートです。

赤ワイン

赤ワインには「レスベラトロール」というポリフェノールが含まれており、これが強い抗酸化作用を持つと話題になりました。

今までお酒を控えていた人も、健康に良いかもしれないと赤ワインに興味を持つようになり、ワイン売り場では特設コーナーや試飲サービスが増えました。

これによって、ワインを飲む人が増え、ワイン業界も大いに盛り上がったのです。

チョコレート

チョコレートにも**「カカオポリフェノール」が豊富に含まれています。

健康に良いというイメージが広まったことで、特にカカオの割合が高い「高カカオチョコレート」**が人気を集めました。

カカオ70%や80%、90%といった苦味の強いチョコレートが売れるようになり、従来の甘いチョコレートとは違った新しい味わいが好まれるようになったのが特徴です。

ポリフェノールの魅力

高カカオチョコレートは苦味が強いですが、健康に良いというイメージが広まったことで、「苦いもの=体に良い」という考え方が定着し始めました。

これにより、苦味を楽しむという新しい味の価値観が広がったと言えるでしょう。

また、コーヒーやビール、緑茶など、もともと苦味のある飲み物や食べ物も人気が高まり、消費者の味の好みがより多様になりました。

このブームは、単に健康志向を高めただけでなく、食の楽しみ方にも広がりを与えました。

ポリフェノールブームによる影響

ポリフェノールブームは、単なる一時的な流行にとどまらず、日本の食文化を大きく変えました。

かつては「甘いものが美味しい」という認識が一般的でしたが、今では「苦味や渋みも美味しい」と感じる人が増えています。

健康を意識する人が増えたことと、様々な味を楽しむ人が増えたことで、日本人の食生活はより豊かで多様になったと言えるでしょう。

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