パウンドケーキとは?
18世紀頃から作られており、長い歴史のあるお菓子として知られています。
基本の材料は4つだけ
パウンドケーキは、次の4つの材料だけで作るシンプルなケーキです。
これらはすべて、家庭でも手に入りやすい材料です。
味付けはとてもシンプルです。そのぶん、使う素材の味がダイレクトに伝わります。
バターの香ばしさや、卵のやさしい甘みが際立ちます。
香りづけにバニラエッセンスを加えることもありますが、派手さのない上品な味わいが特徴です。
発酵はしないけれど、ふんわり仕上がる
一般的なケーキには、ベーキングパウダーやイーストのような「膨らませるための材料(=膨張剤)」を使うことがあります。
しかし、パウンドケーキでは基本的に使いません。
代わりに、卵をしっかり泡立てて生地に空気を含ませることで、ふんわりとした食感に仕上げます。
見た目はずっしりとしていて重厚感がありますが、口に入れると軽やかさも感じられる、不思議なバランスのお菓子です。
パウンドケーキの魅力
パウンドケーキは、古くから多くの人に親しまれてきた焼き菓子です。
その理由は、シンプルな材料で作れる手軽さだけでなく、奥深い味わいやアレンジのしやすさにあります。
ここでは、パウンドケーキが長年愛されてきた魅力を、わかりやすく紹介します。
しっとりとした独特の食感
パウンドケーキのいちばんの特徴は、しっとりとした口当たりです。切ったときにはずっしりしていますが、食べるとやわらかく、なめらか。バターの風味が生地全体に行きわたり、口に入れた瞬間にふわっと広がります。
この食感は、泡立てた卵が生地に空気を含ませることで実現しています。発酵を必要としない焼き菓子でありながら、ふんわり感が出せるのは、この作り方のおかげです。
また、切り分けやすく、日持ちもしやすいため、ギフトや手土産としても重宝されています。焼いた当日より、1〜2日後のほうが味がなじみ、さらにおいしく感じられることもあります。
素朴でありながら上品な味わい
パパウンドケーキの味の基本はとてもシンプルです。主に卵のまろやかさとバターの香ばしさが味の中心になります。甘さは控えめで、何度食べても飽きがこない味に仕上がっています。
このシンプルさのなかにある「上品さ」は、材料の質の高さと丁寧な作り方によって生まれます。特にバターや卵は、質が味に大きく影響するため、新鮮で良質なものを選ぶことが大切です。
ときにはバニラビーンズやバニラエッセンスを加えることで、さらに香り高くなります。コーヒーや紅茶との相性も良く、ティータイムをちょっと特別にしてくれるお菓子です。。
アレンジで広がる楽しみ
パウンドケーキは、もともとがシンプルなつくりのため、さまざまなアレンジがしやすいという特長があります。家庭でも、好みに合わせて自由にアレンジを楽しむことができます。
フルーツ系のアレンジ
季節の果物や自然な甘さを生かした素材を加えることで、爽やかさややさしい風味が楽しめます。
- さつまいも:ホクホクした食感と優しい甘み
- レモン・オレンジ:皮や果汁を加えて爽やかな香りに
- ゆず茶:和の香りが加わり、落ち着いた味わい
リッチ系のアレンジ
濃厚な素材を使うことで、深みのある味わいになります。特別な日の一品にもぴったりです。
さまざまな形で楽しめる
昔ながらのパウンドケーキは、長方形の「パウンド型」で焼かれるのが一般的でした。しかし、最近ではさまざまな型が使われるようになっています。
- 丸型:ホールケーキのように見た目も華やか
- ハート型:贈り物や記念日にぴったり
- マフィン型:一人分ずつで食べやすく、お弁当やピクニックにも便利
形を変えるだけで、印象も大きく変わります。プレゼントやイベントのテーマに合わせて、自由に選ぶ楽しさもあります。
パウンドケーキという名前の由来
「パウンドケーキ(pound cake)」の「パウンド」とは、重さの単位「ポンド(pound)」を指します。
このケーキは、もともと次のようなレシピで作られていました。
つまり、「4つの材料をそれぞれ1ポンドずつ使うケーキ」=「パウンドケーキ」という名前になったのです。
正確には1ポンド=約453.6グラムです。
4つの材料をそれぞれ1ポンドずつ使うと、合計で約1.8kgにもなります。
これは家庭で焼くにはかなり大きなサイズです。
昔はなぜ、こんなに大きく作られていたの?
結婚式のためのケーキだった
パウンドケーキがこれほど大きかった理由のひとつは、「ウェディングケーキ」として使われていたからです。
18世紀のイギリスでは、結婚式は多くの人を招く一大イベントでした。
そのため、ゲスト全員に行き渡るよう、大きなケーキを用意する必要があったのです。
計量器がなかった時代の工夫
当時は、現代のような精密なキッチンスケールが家庭にある時代ではありませんでした。
そこで、「1ポンドずつ」という分量は、覚えやすく、誰でも簡単に作れるレシピとして重宝されていたのです。
世界で異なるパウンドケーキの呼び名
しかし、その呼び方や材料の配合には、国ごとの特色が見られます。
以下では、代表的な例を紹介し、それぞれの名前の意味や背景を丁寧に解説します。
国名 | 呼び方 | 特徴・意味 |
---|---|---|
イギリス | パウンドケーキ | 材料を1ポンド(約450g)ずつ使うというシンプルな計量方法から名付けられた |
フランス | カトル・カール | 「1/4が4つ」という意味。全材料を同じ割合で使うという配合法を表している |
イタリア | プルーム・ケイク | ドライプルーン入りケーキに由来するが、現在ではパウンドケーキ全般に使われることも |
フランス:カトル・カール(quatre-quarts)
フランスでは、パウンドケーキのことを「カトル・カール」と呼びます。
これはフランス語で「4分の1が4つ」という意味です。
なぜこの名前なのか
フランスのレシピでは、小麦粉・砂糖・バター・卵の4つの材料をすべて同じ割合(1/4ずつ)で配合します。
つまり、全体の重さを4等分し、それぞれの材料がそのうちの1つを占めるという考え方です。
この等しい配合比率を名前にしたのが「カトル・カール」です。
英語との違い
イギリスでは「1ポンドずつ」という重さの単位で材料を量っていましたが、フランスでは割合で考える点が大きな違いです。
発想は異なりますが、どちらも「材料を等しく使う」という基本は同じです。
イタリア:プルーム・ケイク(plum cake)
イタリアでは、パウンドケーキに似た焼き菓子を「プルーム・ケイク」と呼びます。
直訳すると「プラム(すもも)のケーキ」という意味になります。
名前の由来と実際の違い
本来の「プルーム・ケイク」は、干したプラム(=ドライプルーン)を使ったケーキを指していました。
しかし、現在のイタリアではプラムが入っていなくても、同じような形や食感のケーキをすべて「プルーム・ケイク」と呼ぶ傾向があります。
この背景には、昔ながらのレシピでドライフルーツ、特にプラムをよく使っていたという食文化があります。
その名残で、名前だけが残り、現代では広く焼き菓子の総称のようになっています。
パウンドケーキの発祥起源・歴史
現在では身近な焼き菓子となっているパウンドケーキですが、その誕生には長い歴史があります。ここでは、ヨーロッパにおける甘いお菓子の発展とともに、パウンドケーキの起源や変化をわかりやすく解説します。
甘いお菓子のはじまり(10世紀頃〜)
ヨーロッパで「甘いお菓子」が広まり始めたのは、10世紀以降のことです。それ以前、ヨーロッパでは甘味料といえば蜂蜜が一般的でした。
ところが、10世紀頃からアラブ諸国を通じてサトウキビ由来の砂糖がヨーロッパに伝わり、徐々に広まっていきます。
砂糖はそれまでにない強い甘みと保存性を持っており、砂糖の普及するにつれておこる下記の変化は、お菓子作りは一気に発展させました。
- 蜂蜜では難しかった細かい甘さの調整ができるようになる
- 保存性の高い焼き菓子や飴細工が発展する
- 宗教行事や祭礼に合わせた特別なお菓子文化の形成される
ケーキの原型が誕生(1200年頃)
12世紀ごろのイギリスでは、現在のケーキの原型といえるような焼き菓子が登場します。
ただし、当時のケーキはふんわりと軽いスポンジ状のものではなく、パンのようにどっしりと重みのある生地でした。見た目や食感は、現代でいう菓子パンやフルーツブレッドに近かったと考えられています。
こうした初期のケーキは、次のような特別な場で用いられていました。
- 宗教行事
- 王族や貴族の祝い事
- 収穫祭や婚礼などの村の行事
材料が高価だったため、一般家庭ではなく、一部の裕福な層に限られた「ハレの日のお菓子」でした。
パウンドケーキの誕生(18世紀後半)
現在の「パウンドケーキ」と呼ばれる形が生まれたのは、18世紀後半のイギリスです。
当時のパウンドケーキは、結婚式やクリスマスなど、特別な祝いの席で食べられることが多く、現在よりも格式の高いお菓子とされていました。
また、レーズンやオレンジピールなどの砂糖漬けフルーツ(ピール)を加えて作られることが一般的で、フルーツケーキに近い形だった点も特徴です。
日常のお菓子として広まる(20世紀前半)
20世紀に入ると、パウンドケーキは特別なお菓子から、日常的に楽しめる家庭のお菓子へと変化していきます。
この変化の背景には、次のような社会的要因がありました。
1. 砂糖の価格が下がった
製糖技術が進歩し、砂糖がより安く手に入るようになりました。一般家庭でもたくさん使えるようになったのです。
2. 家庭用オーブンの普及
それまでの家庭にはなかった電気オーブンやガスオーブンが、都市部を中心に普及しました。これにより、家庭でも焼き菓子を簡単に作れるようになります。
3. 日持ちのよさ
パウンドケーキは水分が少なく、比較的長期間保存が可能です。この特性により、贈答用のお菓子としても重宝されました。
たとえば、以下のような用途で使われるようになります。
- 季節の贈り物
- 手土産やお中元・お歳暮
- 遠く離れた親戚・友人への発送
こうして、パウンドケーキは「特別な日のもの」から、「誰でも気軽に楽しめるお菓子」へと進化していきました。
パウンドケーキの各国への広がり
パウンドケーキは18世紀のイギリスで誕生したあと、ヨーロッパ各国やアメリカに広まりました。その過程で、各地域の食文化や好みに合わせて少しずつ形を変え、独自のアレンジが加えられていきます。
フランスでの発展
フランスでは、パウンドケーキは「ケーク(cake)」という名前で親しまれています。もともとの素朴なレシピに、フランスならではの工夫が加えられ、より洗練されたスタイルへと進化しました。
たとえば、次のような工夫が加えられています。
- 洋酒(リキュール)を生地に加えて香りを引き立てる
- ドライフルーツやナッツを混ぜ込んで風味に深みを出す
- 焼き上がりにシロップを染み込ませ、しっとりとした食感を保つ
これにより、見た目も味も美しく仕上げられた「フランス流パウンドケーキ」が生まれました。ティータイムや贈り物など、さまざまな場面で楽しまれています。
アメリカでの発展
アメリカに渡ったパウンドケーキは、より手軽で家庭的なお菓子として広まりました。分量の柔軟な調整や、ベーキングパウダーの使用などにより、軽やかでふんわりとした食感が特徴となります。
アメリカでの主な特徴は以下の通りです。
ベーキングパウダーの使用 | 発酵力を加えることで、よりふくらみやすく軽い仕上がりに |
分量の柔軟な調整 | 材料をきっちり1ポンドにこだわらず、好みで調整 |
甘さや香りのバリエーション | バニラエッセンスやレモンの皮など、家庭ごとの工夫が豊富 |
アメリカではパウンドケーキは日常的なおやつとして定着し、家庭ごとの「ママの味」として親しまれています。大量に作って保存できるため、ピクニックやホームパーティーなどにも重宝される存在です。
パウンドケーキの5つの製法とその特徴
同じ材料と分量を使っても、混ぜる順番や方法によって、食感や風味が大きく変わります。これは、生地の構造に違いが生まれるためです。
ここでは、代表的な5つの製法を取り上げ、それぞれの特徴と作り方、仕上がりの違いを分かりやすく解説します。
それぞれの製法には個性があり、仕上がりの食感や風味に違いが生まれます。作る目的や好みに合わせて、製法を使い分けてみましょう。
1. シュガーバッター法(全卵式)
最初にバターと砂糖を混ぜるため、「シュガーバッター法」と呼ばれます。バターに空気を含ませる「クリーミング性」を活かした方法で、しっとり重厚な生地に仕上がります。
作り方の手順
- 室温に戻した柔らかいバターに砂糖を加え、白っぽくなるまでハンドミキサーで混ぜます。
- 卵(人肌程度に温めたもの)を少しずつ加えて乳化させます。
- 最後に薄力粉をふるい入れ、ゴムベラで切るように混ぜます。
卵とバターの温度差が大きいと分離しやすくなります。バターが溶けすぎると空気を抱き込めず、ふくらみに影響します。
メリット | 完成品の特徴 |
---|---|
少ない器具で作業できる | しっとり、どっしり。バターの風味が強く出る |
2. シュガーバッター法(別立て)
卵を卵黄と卵白に分け、卵白でメレンゲを作って混ぜ込む方法です。卵白の泡立ち(起泡性)を活かし、軽やかな食感に仕上げます。
作り方の手順
- 柔らかいバターに砂糖の半量を加えてすり混ぜ、卵黄を加えます。
- 別のボウルで卵白を泡立て、残りの砂糖を3回に分けて加えながらメレンゲを作ります。
- バター生地にメレンゲの半量を加え、薄力粉をふるって混ぜ、残りのメレンゲをさっくりと合わせます。
メリット | 完成品の特徴 |
分離しにくく、軽やかな食感になる | ふんわりと軽い口当たり |
3. フラワーバッター法
最初にバターと薄力粉を混ぜる製法です。粉が水分を吸収することで分離を防ぎ、安定した生地になります。
作り方の手順
メリット | 完成品の特徴 |
初心者でも扱いやすく失敗が少ない | きめが細かく、ふんわりとした仕上がり |
4. ジェノワーズ法(共立て法)
スポンジケーキと同じ製法で、全卵と砂糖を泡立ててふんわりとした生地を作ります。泡立てることで生地に空気を含ませます。最も軽くふんわりとした食感。バターカステラのような口当たりになります。
作り方の手順
- 全卵と砂糖を人肌まで温めてから、ハンドミキサーでリボン状になるまで泡立てます。
- 薄力粉をふるって加え、ゴムベラでやさしく混ぜます。
- 60℃に溶かしたバターを加えて手早く混ぜます。
ふくらみが強いため、材料は少なめ(120g→90g)で調整します。バターは最後に加えますが、しっかり混ぜるのがコツです。
5. オールインワン法(マドレーヌ法)
すべての材料を一つのボウルで順番に混ぜる方法です。作業がシンプルで時短にもなります。
作り方の手順
- 全卵に砂糖を加え、約30℃に温めながら泡だて器で混ぜます。
- ふるった薄力粉とベーキングパウダーを加えて混ぜます。
- 40℃に溶かしたバターを3回に分けて加え、その都度よく混ぜます。
卵やバターの泡立てを行わないため、自然に膨らむ力が弱くなります。必ずベーキングパウダー(粉の1〜2%)を加えてください。
メリット | 完成品の特徴 |
手順が簡単で初心者にもおすすめ | ふんわり感は控えめだが、素朴で優しい味わい |
家庭で作れる基本のパウンドケーキレシピ
お菓子作りに不慣れな方でも失敗しにくく、材料も手に入りやすい「ホットケーキミックス」を使った基本のパウンドケーキレシピをご紹介します。家庭にある道具と材料で、ふんわり香ばしいケーキを焼き上げましょう。
材料(18cmパウンド型1本分)
ホットケーキミックス | 200g | ベーキングパウダー入りが便利 |
卵 | 3個 | 常温に戻しておくと混ざりやすい |
砂糖 | 100g | お好みで減らしてもOK |
無塩バター | 100g | 室温に戻す(やわらかくする) |
アーモンドスライス | 10g | トッピング用(省略可) |
作り方:6つのステップでやさしく解説
【事前準備】
オーブンは必ず180℃に予熱しておく
オーブンを使う際は、あらかじめ設定した温度までしっかり温めておくことが大切です。
予熱が不十分だと、焼き始めたときに生地がうまく膨らまず、中心が生焼けになったり、表面だけ焦げたりすることがあります。
バターと卵は室温に戻す
冷蔵庫から出したばかりのバターや卵は冷たいため、他の材料と混ざりにくく、生地が分離してしまう原因になります。
作り始める30分ほど前には取り出し、室温(20〜25℃前後)に戻しておきましょう。
手順①:卵をといておく
ボウルに卵を割り入れ、泡立て器でよくほぐしておきます。
この工程は、あとで生地に卵を加える際にムラなくなじませるために必要です。
※卵は冷たいままだとバターと混ざりにくく、分離しやすくなります。必ず室温に戻してから使いましょう。
手順②:バターと砂糖をすり混ぜる(クリーミング)
別のボウルにやわらかくした無塩バターと砂糖を入れます。
ハンドミキサーを使い、白っぽくなるまでよく混ぜます。この状態を「クリーミング」と呼びます。
- バターに空気を含ませることで、焼き上がりがふっくら軽い食感になります。
- 混ぜが足りないと、密度が高く、重たい仕上がりになってしまいます。
- 逆に混ぜすぎるとバターが溶けすぎて分離しやすくなるため、見た目が白くふんわりしたタイミングでやめましょう。
手順③:卵液を少しずつ加える
溶いておいた卵を数回に分けて、バターと砂糖のボウルに加えていきます。
加えるたびにしっかり混ぜ、全体がなじんだことを確認してから次を加えましょう。
- 一度にたくさん加えると、バターと卵が分離して油っぽくなってしまいます。
- 分離しそうな場合は、少量のホットケーキミックス(小さじ1程度)を加えて一緒に混ぜると安定します。
手順④:ホットケーキミックスを加える
ホットケーキミックスを一度に加え、ゴムベラに持ち替えて混ぜます。
粉っぽさがなくなるまで、底からすくい上げるように「切るように」混ぜましょう。
- 粉が見えなくなったら、それ以上は混ぜすぎないようにしましょう。
- 混ぜすぎると生地に粘りが出て、焼き上がりが固くなってしまいます。
手順⑤:型に入れて下焼きする
パウンド型にクッキングシートを敷き、生地を流し入れます。
表面をゴムベラで軽くならし、180℃に予熱したオーブンでまず10分間焼きます。
最初に少しだけ焼くことで、生地の表面にうっすらと膜ができ、後の工程で切り込みを入れやすくなります。この一手間で、きれいな割れ目のある仕上がりになります。
手順⑥:切り込みを入れて仕上げ焼き
10分後にオーブンから取り出し、生地の中央に縦に一本、包丁などで切り込みを入れます。
この切り込みがあることで、焼成中に生地が均等に膨らみ、美しい割れ目になります。
切り込みを入れたら、再びオーブンに戻し、さらに30〜35分焼きます。
焼き時間はオーブンによって若干前後するため、竹串を刺して中まで火が通っているか確認しましょう。
竹串に生地がついてこなければ完成です。
伝統的な基本配合のパウンドケーキ作り
ホットケーキミックスを使わず、材料をすべて自分で計量して作る本格的なレシピもご紹介します。こちらは洋菓子店でも基本とされる配合です。
材料(18cmパウンド型1本分)
無塩バター | 120g |
粉砂糖 | 120g |
全卵 | 120g |
薄力粉 | 120g |
すべての材料が「同量(1:1:1:1)」となっているのが特徴です。これが「パウンドケーキ(=1ポンドずつ)」の名前の由来でもあります。
焼き方の目安
- 170〜180℃のオーブンで約15分焼く
- 表面が乾いてきたら、中央にナイフで切り込みを入れる
- さらに30〜40分焼く
焦げやすいので、途中でアルミホイルをかぶせて様子を見ると安心です。
まとめ
パウンドケーキは、卵・砂糖・バター・小麦粉のたった4つの材料で作る、イギリス発祥のシンプルな焼き菓子です。泡立てた卵でふんわりと仕上げるため、発酵なしでも軽やかな食感が楽しめます。素材本来の味が引き立つ上品な甘さが魅力で、日が経つほどにしっとりと味がなじみます。アレンジも豊富で、果物やチョコレートを加えることで、季節や好みに合わせた楽しみ方ができます。形やサイズも自由自在で、家庭用から贈り物まで幅広く活躍する、長く愛されてきたお菓子です。