スポンジケーキに生クリームや果物などのフィリングをくるっと巻いた「ロールケーキ」。
日本ではこの名前が定着していますが、イギリスをはじめとする英語圏では、一般的に「Swiss roll(スイスロール)」と呼ばれています。
この記事では、ロールケーキの英語での呼び方について、詳しくご紹介します。
「ロールケーキ」は日本独自の和製英語
日本では「ロールケーキ」という言葉が広く使われていますが、実はこれは日本で作られた「和製英語」なんです。
海外で「roll cake」と言っても、全く通じないわけではありませんが、ネイティブスピーカーにとっては少し不自然に聞こえることがあります。
なぜ「roll cake」だと不自然に聞こえるのか
英語の「roll」という単語は、動詞として「巻く」、名詞として「巻いたもの」や「巻き」を意味します。
しかし、「巻かれた状態」や「巻かれたもの」という完成品を指す場合には、別の表現を使うのが自然です。
例えば、「roll cake」とそのまま言ってしまうと、「ケーキを巻く」という動作や、単なる「巻物状のケーキ」といった直訳的な印象を与えてしまいます。
イギリスで一般的なロールケーキの呼び方
イギリスでは、私たちが「ロールケーキ」と呼ぶものに対して、主に以下の呼び方が使われています。
「Swiss roll(スイスロール)」
これが最も一般的で、広く使われている呼び方です。
なぜ「スイス」という名前が付いているのかは諸説ありますが、スイスが発祥というわけではないようです。
- 使用例:
「Roulade(ルーラード)」
これはフランス語由来の言葉で、少し洗練された印象を与える呼び方です。
元々は「巻いたもの」全般を指す言葉なので、料理にも使われることがあります。
- 使用例:
- Meringue roulade(メレンゲ・ルーラード): メレンゲ生地で巻いたロールケーキ
- Strawberry roulade(ストロベリー・ルーラード): いちごのルーラード
その他の呼び方
クリスマス時期の特別なロールケーキ
クリスマスシーズンには、特別な名前で呼ばれるロールケーキもあります。
「Bûche de Noël(ビュッシュ・ド・ノエル)」
「Bûche de Noël(ビュッシュ・ド・ノエル)」は、フランス語で「クリスマスの薪」という意味を持つ、フランス発祥のクリスマスケーキです。
まるで切り株のような見た目が特徴で、チョコレートクリームやバタークリームが使われることが多く、木の肌を模した模様や、キノコ、柊(ひいらぎ)などの飾り付けが施されます。
このケーキは、元々ヨーロッパの古い習慣に由来しています。
冬至に大きな薪を暖炉で燃やし、その灰を撒くことで、一年間の豊作や家族の健康を願うという風習がありました。
その薪が、時代とともにケーキへと姿を変え、クリスマスの象徴的な存在となったのです。
日本でもクリスマスケーキとして広く知られており、イギリスでもフランス語の名称そのまま「Bûche de Noël」と呼ばれることがあります。
「Christmas log(クリスマス・ログ)」や「Yule log(ユール・ログ)」
「Christmas log(クリスマス・ログ)」や「Yule log(ユール・ログ)」は、「ビュッシュ・ド・ノエル」が持つ「クリスマスの薪」という意味を英語に翻訳した呼び方です。
「log」は英語で「丸太」や「薪」を意味し、まさに切り株のようなケーキの見た目を表しています。
「Yule(ユール)」は、クリスマスの時期を指す古英語に由来する言葉で、特に北欧やゲルマンの伝統的な冬の祝祭を指すこともあります。
これらの名称は、クリスマスの薪を燃やす古来の習慣と、それが現代のケーキとして受け継がれていることを示しています。
イギリスでは、「Bûche de Noël」というフランス語の呼び方とともに、これらの英語名も使われ、親しまれています。
「Christmas roll(クリスマス・ロール)」
「Christmas roll(クリスマス・ロール)」は、クリスマスシーズンに食べられる、巻かれた形状のケーキや菓子全般を指す、より広範な呼び方です。
特定のレシピや見た目を限定するものではなく、例えばクリスマスらしい飾り付けがされたロールケーキや、クリスマス用のフルーツロールなど、幅広い種類の「巻物」のお菓子に使われることがあります。
この呼び方は、クリスマスという季節に特化した「巻物」のお菓子、という共通の認識を表現する際に用いられます。
シンプルで分かりやすく、クリスマスの食卓を彩る様々なロール状のお菓子を包括する表現と言えるでしょう。
ロールケーキ以外の「和製英語」にも注意
「ロールケーキ」のように、英語だと思っていた言葉が実は日本で独自に作られた「和製英語」だった、ということは意外とたくさんあります。
例えば、以下のような言葉も和製英語です。
- フライドポテト → アメリカ英語では「French fries(フレンチフライズ)」、イギリス英語では「chips(チップス)」
- シュークリーム → 「cream puff(クリームパフ)」
- ソフトクリーム → 「soft serve (ice cream)(ソフトサーブ・アイスクリーム)」
まとめ
イギリスでロールケーキについて話す際は「Swiss roll」を使うのが最も適切で、自然に伝わるでしょう。
「roulade」も使われますが、これは少しフォーマルな響きがあります。
もし英語圏の人とロールケーキについて話す機会があれば、ぜひこれらの表現を使ってみてくださいね。