広島県尾道市にある万汐農園は、地域の果物を使った様々な加工品を製造しています。
この記事では、万汐農園の歴史と、自然農法へのこだわり、そして新たに発売された「まんちょう農園の瀬戸内ぷりん」の特徴について、一つずつ詳しく解説します。
まんちょう農園の瀬戸内ぷりん
2025年1月に発売された「まんちょう農園の瀬戸内ぷりん」は、これまでの単一フレーバーのレモンプリンから発展した商品です。
この新商品は、広島県産の柑橘類を丸ごと使用した自家製ピューレが使われています。
爽やかなレモン、ほろ苦いはっさく、甘みの強いみかんの3種類があり、それぞれの味の違いを楽しめるセットとして販売されています。
瀬戸内ぷりんの特徴
口に入れると、レモンの爽やかな香りが広がります。
レモンの果肉の自然な甘さと酸味のバランスが良く、後味がさっぱりとしています。
プリンの中には、細かく刻まれたレモンの皮が入っており、つぶつぶとした食感と皮の優しい苦みがアクセントになっています。
瀬戸内ぷりんの楽しみ方
このプリンは、そのまま食べる以外にも、様々な食べ方が提案されています。
トーストにジャムのように塗って食べることで、いつもとは違う朝食として楽しむことができます。
また、冷凍庫で凍らせて食べると、レモンの風味が際立ち、シャリシャリとしたシャーベットのような食感になります。
暑い季節にぴったりのデザートとして、異なる味わいを楽しむことができます。
瀬戸内ぷりんは常温で6か月間の長期保存が可能
完成したプリンは、瓶詰め後に熱殺菌処理が施されています。
この熱殺菌処理により、常温で6か月間という長期保存が可能になりました。
蓋を開ける際には「ポン」という音がしますが、これは熱殺菌と真空充填という技術が使われているためです。
この技術によって、お土産品として持ち運びやすくなり、今後、国内外での販売にも対応できる商品となりました。
瀬戸内ぷりんのパッケージ
商品の外観は、手のひらサイズの小瓶に金色の蓋という印象的なデザインです。
パッケージには、瀬戸内の柑橘畑をイメージしたイラストが描かれています。
空、海、島々、そして橋が描かれたこのデザインは、商品の地域性を表現し、贈り物としての価値も高めています。
瀬戸内ぷりんの販売状況
現在、このプリンは主に広島県内の道の駅やサービスエリア、土産物店で販売されています。
その他にも、楽天市場やAmazon、公式ホームページなどの通販サイトでも購入できます。
広島県内の50店舗以上のスーパーや宿泊施設でも取り扱われており、地域に根差した商品として定着しています。
瀬戸内ぷりんの価格
「まんちょう農園の瀬戸内ぷりん」の標準価格は、1400円(税込み)です。
この価格は、高品質な原材料の使用や、手間のかかる製造工程、そして長期保存を可能にする技術的な付加価値を考慮して設定されています。
瀬戸内ぷりんは独自の製法で作られている
このプリンは、一般的なプリンとは異なり、卵や牛乳を使用していません。
この製法が採用された理由は二つあります。
一つは、卵や牛乳を使うと食中毒のリスクが高まるため、傷みやすい素材を避けるためです。
もう一つは、卵の味が強すぎると、果物本来の繊細な風味が失われてしまうのを防ぐためです。
代わりに、生クリームに近い素材を使うことで、ヨーグルトのような味わいも表現し、さっぱりとした口当たりに仕上げています。
瀬戸内ぷりんの開発過程
レモンプリンの開発は簡単ではありませんでした。
レモンの強い酸味が原因で、プリンの表面に水分が浮き出たり、発酵してしまったりといった問題が発生しました。
これらの技術的な課題を解決するために、5年という長い期間を要しました。
開発が難航し、商品化をあきらめそうになった時もありましたが、瀬戸内のレモンを使ったプリンを完成させたいという思いが開発を続ける原動力となりました。
万汐農園の取り組み
万汐農園の創業
万汐農園は、広島県尾道市の向島町という島にある農園です。
1953年に農業生産を開始し、創業者は海苔の養殖を行いながら、柑橘類や除虫菊(殺虫剤の原料となる植物)を栽培していました。
その後、農業に専念するようになり、柑橘類の栽培に加えて、隣接する三原市でも梅の栽培を始めました。
万汐農園の家業の継承
現在は代表の濱浦志保香さんが、父親から家業を引き継いで運営する家族経営の農園です。
濱浦さんは、約40年前に農業学校で知識を学んだ後、いちじくの栽培から農園の仕事に関わるようになりました。
万汐農園は六次産業化に取り組んでいる
いちじくの栽培が順調に進む中で、どうしても形や大きさが不揃いな「規格外」のいちじくが発生するという問題に直面しました。
手間ひまをかけて育てた果実を無駄にしたくないという思いから、規格外のいちじくを有効活用する方法が模索されました。
この問題の解決策として見いだされたのが、農産物の加工と販売までを行う「六次産業化」です。
生産者が栽培から加工、販売まで一貫して手掛けることで、農産物に新しい価値を加えています。
最初に製造されたのはいちじくジャムで、これが現在の50種類以上の商品ラインナップの始まりとなりました。
万汐農園は自然農法にこだわっている
万汐農園では、化学肥料や農薬を一切使わない「自然農法」で果樹を育てています。
この方法は、環境への負担を減らすだけでなく、果物本来の味わいを引き出すことを目指しています。
代表の濱浦さんは、果樹が季節や環境に応じて様々なサインを出すため、長年の経験があっても学び続ける必要があると語っています。
まとめ
万汐農園の瀬戸内ぷりんは、地域の農業資源を有効に活用し、廃棄ロスの問題を解決するために開発されました。
この商品は、長期保存を可能にする技術や、様々な食べ方の提案によって、新しい価値を創造しています。
これは、農業者が栽培だけでなく加工や販売までを手掛ける六次産業化の成功事例の一つであり、農業の可能性を広げる取り組みといえるでしょう。
万汐農園では、これからも素材の味を大切にした新商品の開発を続けていく方針です。