アイスクリームに様々なトッピングを施した冷たいデザート、サンデー。その甘く華やかな見た目からは想像もつかないほど、興味深い歴史と文化的背景を持っています。サンデーはどのようにして生まれ、そしてどのように世界中で愛されるようになったのでしょうか。
サンデーとはどんなデザートか
サンデーは、アイスクリームを基本として、チョコレートソースやシロップ、フルーツ、クリームなどを添えて作られる、アメリカ発祥のデザートです。パフェとよく似ていますが、大きな違いはその器にあります。パフェが縦長の器で層を重ねて作られるのに対し、サンデーは幅の広い器で作られるのが一般的です。
サンデーとパフェの違い
両者は見た目や食べる体験にも違いがあります。パフェは縦長の器に層を重ねることで、上から下へと食べ進める楽しさや、視覚的な華やかさを持ちます。一方、サンデーは幅の広い器にアイスクリームとトッピングを盛ることで、一度に様々な具材を味わいやすいという特徴があります。
サンデー誕生にまつわる諸説
サンデーの起源については複数の説があり、アメリカの各地が自らを発祥の地として主張しています。いずれの説も、当時の宗教的な慣習が深く関わっている点が共通しています。
宗教的慣習とサンデーの誕生
19世紀後半のアメリカでは、安息日である日曜日に、一部の地域でソーダ水を販売することが宗教上の理由から禁じられていました。こうした慣習が、サンデーというデザートを生み出すきっかけとなったのです。
ウィスコンシン州の二つの説
ウィスコンシン州のトゥーリバーズでは、1881年にエド・バーナーズというアイスクリーム店の店主が、日曜日にクリームソーダが売れないため、その代わりにチョコレートソースをかけたアイスクリームを売り始めました。これがサンデーの始まりだという説です。
また、同じウィスコンシン州のマニトワックという町でも、アイスクリーム店主のジョージ・ギフィーが日曜日限定で同様のデザートを売り出したところ大好評となりました。ある少女の希望により、毎日販売するようになったという話も伝えられています。
ニューヨーク州イサカの説
ニューヨーク州のイサカには、より具体的な話が残されています。1892年4月3日の日曜日、ユニテリアン派のジョン・M・スコット牧師と、薬局の店主チェスター・C・プラッドが、アイスクリームにチェリーシロップをかけ、シロップ漬けのチェリーを飾ったデザートを作りました。その日が日曜日だったため「サンデー」と名付けられたとされています。同年4月5日の地元新聞に「チェリーサンデー」の広告が掲載されており、これが活字として残るサンデーの最古の記録とされています。
イリノイ州エヴァンストンの説
イリノイ州のエヴァンストンでも、1890年に同様の経緯でサンデーが誕生したという説があります。日曜日にソーダ水が禁止されていたため、地元の店ではアイスクリームにシロップをかけただけの「ソーダ抜きのソーダ」を「サンデーソーダ」として販売しました。しかし、安息日と同じ名称を使うことへの反対意見が出たため、綴りを「sundae」に変更したと伝えられています。
サンデーの名前の由来
「サンデー」という名前の綴りが「Sunday」ではなく「sundae」となったことにも意味があります。単純な書き間違いから生まれたという説もありますが、安息日の神聖さを守るため、意図的に綴りを変えたという説が有力です。宗教的な配慮が、このデザートのユニークな名前を生み出したと言えるでしょう。
次のトレンドはサンデー!?
サンデーはその後、様々なフルーツやホイップクリーム、ナッツなどが加えられるようになり、どんどん進化を遂げました。数えきれないほどのバリエーションが存在し、今や世界中で愛され続けています。
一方で、日本では2010年頃にパフェが改めて注目を集めるブームがありました。縦長のグラスに美しく層を重ねて作られるパフェは、見た目の華やかさから多くの人々に愛されていました。
サンデーについては、これから日本でも流行するかもしれません。アメリカでは長い歴史を持つ人気デザートですが、日本ではまだパフェほどには浸透していません。食文化の流行は循環することが多く、パフェの次にサンデーの番が来る可能性も十分に考えられます。
サンデーとパフェは、一見似ていますが、それぞれに独自の歴史と文化的背景を持っています。どちらもアイスクリームを基本とした冷たいデザートでありながら、器の形状や生まれた文化によって、異なる個性を持つお菓子として発展してきたのです。