七用製作所のスーパーバッケン
七洋製作所は、理想の焼成を追求し続けた結果、究極の“密閉性”を実現した「南蛮窯バッケン」を誕生させました。
生地を浮かせ、しとらせ、口どけよく焼き上げるという焼成評価の概念も「南蛮窯バッケン」によって確立されました。
そして時代の変化とともに菓子のクオリティがさらに高いレベルで求められる中、七洋製作所は伝統の密閉性に火力の“パワー”を融合させた次世代のパワーオーブン「スーパーバッケン」を開発しました。
「スーパーバッケン」は菓子の品質をさらに進化させ、時代を切り拓く挑戦を続けています。
スーパーバッケンとは
七用製作所の「スーパーバッケン」は業界でも高い評価を受ける次世代型の高性能オーブンです。
最新技術を取り入れたこのオーブンは焼成時間の短縮と品質の均一化を実現し、製菓業界のニーズに応えています。
高い火力性能と精密な温度管理システムにより、職人の技を最大限に引き出し、理想的な焼き上がりを実現します。
大量生産や効率化が求められる現代の製菓現場において、スーパーバッケンは欠かせない設備となっています。
南蛮窯バッケンから受け継ぐDNA
七洋製作所のオーブン開発の原点となる「南蛮窯バッケン」は50年以上にわたり、理想的な焼成環境を提供してきました。
南蛮窯バッケンは生地をしっとりと焼き上げ、ふんわりとした口どけを実現する評価基準を確立しました。
「スーパーバッケン」はこの南蛮窯の技術を受け継ぎ、さらなる進化を遂げた次世代機です。密閉性の高さを維持しつつ、より効率的な焼成を可能にしています。
七用製作所のスーパーバッケンの特徴
特殊炉内構造
スーパーバッケンは独自の特殊炉内構造を採用しており、効率的な熱伝達と均一な焼成環境を提供します。
炉内の熱を均一に循環させる設計により、焼成ムラを防ぎ、全体が均等に焼き上がります。
また、特殊な断熱材を使用することで熱効率を高め、エネルギーの無駄を削減しています。
この構造により品質の高い焼成を維持しつつ、コストパフォーマンスにも優れています。
蒸気発生装置
スーパーバッケンには高性能な蒸気発生装置が搭載されており、焼成中に適切な蒸気量を供給します。
蒸気は焼成時に生地の表面をしっとりと保ち、理想的な焼き色と食感を実現します。
特にパンや焼菓子の仕上がりに大きな影響を与えるため、蒸気制御の精度は非常に重要です。
スーパーバッケンの蒸気システムは細かな調整が可能であり、製品ごとの最適な条件を設定できます。
菓子コード
「菓子コード」機能はスーパーバッケンの特徴の一つです。
50種類以上の焼菓子データが事前に登録されており、製品ごとの最適な焼成条件を自動で設定できます。
職人の経験や技術が必要だった焼成作業を簡略化し、誰でも高品質な焼き上がりを実現できます。
この機能は、生産効率の向上や人材不足の解消にも貢献しており、多くの製菓現場で重宝されています。
焼成中自動記憶システム
焼成中自動記憶システムは焼成過程をリアルタイムで記録し、次回の焼成に反映させることができる機能です
。炉内の温度や湿度、火力の変化を自動で記憶することで、再現性の高い焼成が可能になります。
製品の品質が常に安定し、手作業による誤差を最小限に抑えることができます。
特に大量生産の現場では、この機能が生産効率の向上に大きく寄与します。
全自動運転
スーパーバッケンは全自動運転に対応しており、設定した条件に基づいて自動で焼成を進めることができます。
温度管理や火力調整、蒸気供給など、すべての工程を自動化することで作業負担を大幅に軽減します。
オペレーターは作業の監視や品質確認に集中できるため、生産効率と品質の向上が同時に図れます。
自動ダンパー
自動ダンパー機能は炉内の空気循環を自動で制御し、理想的な焼成環境を維持します。
温度や湿度の微調整が可能で、焼成ムラを防ぐ効果があります。
特に繊細な焼菓子やパンの焼成において、この機能が大きな役割を果たします。
自動制御により職人の手間を省きながら高品質な製品を安定して提供することができます。
火の性質を選択
菓子の焼成では温度や時間だけでなく、菓子に合った“火力の性質”を選ぶことが重要です。
“荒火”はパンやクッキーに適し、“軟火”はジェノワーズやスフレに、そして“極軟”は長時間かけて焼くメレンゲ菓子に最適です。
例えば、パイの場合は上火を“軟火”で包むように焼き、下火は“荒火”の力強さで層を浮かせるといった絶妙な火力の組み合わせが可能です。
同じ焼成温度でも火の性質によって焼き上がりが大きく変わるため、菓子に合わせた適切な火力の選択が仕上がりの品質を左右します。
下火リセットシステム
「下火リセットシステム」は焼成中の下火をリセットして再調整する機能です。
この機能により下火の火力を一定に保ち、焼成ムラを防ぎます。
特に生地の底面に均一な焼き色をつけることができ、理想的な仕上がりを実現します。
焼成品質が向上することで製品全体のクオリティも高まります。
芯温センサー
芯温センサーは生地の中心温度をリアルタイムで測定するシステムです。
焼成中に生地の温度を正確に把握し、最適なタイミングで焼成を終了させることができます。
焼き過ぎや生焼けを防ぎ、理想的な品質を実現します。
上火を4つのブロックに分けて調整できる
スーパーバッケンでは、上火を4つのブロックに分けて個別に調整することが可能です。
焼成中の生地の状態や焼き色に応じて細かく火力をコントロールできるため、均一な焼き上がりが実現します。
また、各ブロックごとに火力を微調整できるので、焼きムラが発生しにくく、焼き色を好みに合わせて仕上げることができます。
特に繊細な温度調整が必要な焼き菓子やスポンジケーキなど、火加減が品質を左右する製品に対して大きな効果を発揮します。
オハヨータイマー
「オハヨータイマー」は指定した時間にオーブンを自動で予熱開始する機能です。
作業開始時には炉内が適温に保たれているため、作業効率が向上します。
早朝や忙しい時間帯でもオーブンがすぐに使える状態になるため、余計な待ち時間を省けます。
また、事前にタイマー設定を行うことで効率的なスケジュール管理が可能です。
早朝から大量の製品を焼成する製菓現場やパン工場で作業をスムーズに進行できる点も大きなメリットです。
ワイドガラス
炉内の状況が一目で確認できるワイドガラスを採用しています。
視認性が高く、焼成中に生地の膨らみ具合や焼き色を素早くチェックできるため、焼き加減を細かく管理することができます。
特に、繊細な焼成が求められる製品においては、焼きムラや焼きすぎを防ぐためにも視認性は重要です。
また、ガラス面のクリアな設計により、オーブン内の確認作業がストレスなく行える点も利便性を高めています。
七用製作所のスーパーバッケンのメリット
火力が30%アップ
従来のオーブンに比べて火力が30%アップし、焼成時間が短縮されます。
これにより、製品の仕上がりにかかる時間を削減し、大量生産が可能になります。
短時間で一気に火が通るため、生地が乾燥しにくく、しっとりとした食感を保つことができます。
また、火力の向上によって温度の立ち上がりも早くなるため、忙しい現場でも高い効率性を発揮します。
立ち上がりが早い
スーパーバッケンは素早い予熱が可能です。
従来のオーブンに比べ、短時間で設定温度まで達するため、無駄な待ち時間が発生しません。
作業開始直後から効率よく焼成作業に取りかかることができ、作業時間の短縮にもつながります。
特に、多品種の製品を連続して焼成する場合、予熱の速さは現場の大きな強みになります。
連続焼成しても炉内温度が下がらない
連続して焼成しても炉内温度が安定しています。
複数回の焼成作業を行っても品質のばらつきが発生しにくく、安定した焼き上がりを維持することができます。
炉内温度の変動が少ないため、製品の焼きムラや焼きすぎを防ぎ、生産効率と製品の品質向上に貢献します。
特に大量生産を行う現場では、この安定性が大きな利点です。
温度管理しやすい
自動温度管理システムにより簡単に温度が調整できます。
オーブン内の温度を一定に保つことで、焼成中の温度変化による品質のばらつきを最小限に抑えられます。
また、設定温度を維持する精度が高いため、長時間の焼成や複雑な製品でも安定した仕上がりが可能です。
作業者が手動で温度調整を行う手間も省けるため、効率よく焼成作業を進めることができます。
強制排気能力が2倍
強制排気能力が従来の2倍となり、蒸気を素早く排出します。
オーブン内の湿度を適切に調整することで、製品の表面に余分な湿気が残らず、理想的な焼き上がりを実現します。
特に、焼き菓子やパンなど、表面のサクサク感やパリッとした食感が求められる製品において、この排気能力は重要です。
排気時間が短縮されることで、次の焼成工程への移行もスムーズになります。
七用製作所のスーパーバッケンの使用例「小山ロール」
パティシエ エス コヤマのオーナーシェフ小山進氏は、「小山ロール」の進化が「バッケン」の進化と深く関わっていると語ります。
開店当初から同じレシピで作り続けているにもかかわらず、焼き上がりや口どけは飛躍的に向上しました。
その背景には「バッケン」の密閉性や温度管理の進化があり、四季の湿度や気温の変化にも対応し、1日1600本を安定して焼成できるオーブンへとバージョンアップを重ねたことが大きく貢献しています。
特に「小山ロール」の水分が多い生地は難易度が高く、一般的なオーブンでは焼成が困難ですが、「バッケン」の優れた密閉性とダンパー機能による蒸気コントロールが、“ふんわり、しっとり”とした理想の仕上がりを実現します。
さらに小山氏は、蒸気を抜くタイミングや火力復帰力を求め続け、七洋製作所とともに「バッケン」の強制排気能力や火力性能を進化させました。
こうした職人とオーブンの対話から生まれた「スーパーバッケン」は、レシピの可能性を最大限に引き出し、「小山ロール」のさらなる高みを支え続けています。
まとめ
七用製作所のスーパーバッケンは、現代の製菓現場に欠かせない高性能オーブンです。
火力の向上や温度管理の正確性、そして自動化された機能により、製品の品質と生産効率が大幅に向上します。
また、連続焼成や多品種製造にも対応できる柔軟性を備えており、職人の技術を最大限に引き出すサポートが可能です。
スーパーバッケンは、今後の製菓業界における革新的な製品として、多くの現場で活躍し続けるでしょう。