食べ過ぎるデメリット|現代人は食べ過ぎやすい!

現代の私たちの暮らしは、食べ物に困ることがほとんどありません。

24時間営業のコンビニやファストフード、宅配サービスなどによって、いつでもどこでも食べたいものを手軽に手に入れられる時代です。

このような便利な環境は一見良いことのように思えますが、その裏で多くの人が無意識のうちに「食べ過ぎ」に陥っています。

実際、日本人の約4人に1人が肥満とされており、食べ過ぎが健康に悪影響を与えている現状が浮き彫りになっているのです。

ここでは、食べ過ぎがもたらす主な健康リスクについて、初心者にもわかりやすく解説します。

目次

食べ過ぎが引き起こすデメリット

血糖値が上がる

食べ過ぎると、食事に含まれる糖分が一気に体内に吸収され、血糖値が急激に上昇します。これを「血糖値スパイク」と呼びます。

血糖値が急に上がると、血液中にある糖を細胞に運ぶために、すい臓から「インスリン」というホルモンが大量に分泌されます。インスリンは血糖値を下げる働きをしますが、分泌が繰り返されると、すい臓に負担がかかります。

この状態が長く続くと、インスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が起こり、最終的に糖尿病のリスクが高まります。

中性脂肪が上がる

食べ過ぎによって体内で使いきれなかったエネルギーは、中性脂肪として蓄えられます。特に甘いものや脂っこい食べ物を多く摂ると、中性脂肪が増えやすくなります。

中性脂肪が増えると、血液がドロドロになりやすくなります。血液が流れにくくなると、心臓や脳への負担が増し、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高くなります。

健康な中性脂肪値は150mg/dL未満とされていますが、食べ過ぎの状態では300mg/dL以上になることもあり、非常に危険です。

内臓脂肪が増える

食べ過ぎによって余ったエネルギーは、内臓のまわりに脂肪として蓄えられます。これを「内臓脂肪」といいます。

内臓脂肪がたまると、そこから「炎症を起こす物質」や「血糖値を上げる物質」などが分泌されます。これがインスリンの働きを邪魔し、さらに糖尿病や高血圧、脂質異常症のリスクを高めてしまいます。

また、内臓脂肪が多い人は「メタボリックシンドローム」と診断されることがあり、将来的に心臓病や脳卒中のリスクが何倍にも跳ね上がるといわれています。

腸内環境が悪化する

食べ過ぎると、胃や腸が休む暇なく働き続けることになります。その結果、消化が追いつかなくなり、腸内に未消化の食べ物がたまりやすくなります。

未消化物は腸内で腐敗しやすく、「悪玉菌」が増える原因になります。悪玉菌が増えると、便秘や下痢などの腸トラブルが起こりやすくなり、腸内のバランスが崩れてしまいます。

腸は免疫力の約70%を担っているといわれています。腸内環境が悪くなると、風邪をひきやすくなったり、肌荒れが起きたり、慢性的な疲れを感じたりするようになります。

健康をくずしやすい食生活のパターン

毎日の食事のとり方によって、体の調子は大きく変わります。

食べる時間や食べる量、食べる内容に偏りがあると、知らないうちに体に負担をかけてしまいます。

ここでは、健康をくずしやすくする4つの食生活パターンについて、それぞれくわしく解説します。

食事や間食の回数が多すぎる

一日に何度も食べたり、間食をくり返したりすると、胃や腸などの消化器官がずっと働きっぱなしになります。

本来、食事と食事のあいだには「休む時間」が必要です。胃は食べ物を分解し、腸は栄養を吸収します。そのためには、食後3〜4時間ほどの消化時間が必要です。

でも、次の食事やおやつを早くとってしまうと、前の食べ物がまだ消化されていないのに新しい食べ物が入ってきます。そうなると消化しきれずに胃もたれやガスがたまり、腸内環境も悪くなってしまうのです。

長く続くと、お腹の調子が悪くなったり、疲れやすくなったりと、体全体に不調が出やすくなります。

朝ごはんを抜いてしまう

朝ごはんは、寝ている間に空っぽになった体にエネルギーを補給する大切な食事です。

朝ごはんを食べることで、脳や筋肉がしっかり働き始め、一日のスタートがスムーズになります。

朝ごはんを抜くと、次の食事でお腹がすきすぎて、つい食べすぎてしまうことがあります。結果的に、摂取カロリーが増えてしまう可能性があります。

また、朝の光と朝食は体内時計をリセットする働きがあります。

朝ごはんをとらないと、体内のリズムが乱れて、眠れなくなったり、疲れやすくなったりすることもあります。

夜遅い時間に食事をとる

夜は体を休める時間です。消化や代謝(栄養を使ってエネルギーに変えるはたらき)もゆるやかになります。

この時間に食べ物をとると、消化に時間がかかり、胃や腸が夜になっても働き続けることになります。その結果、寝つきが悪くなったり、睡眠の質が下がったりします。

さらに、夜遅くに食べると、エネルギーとして使いきれなかった分が脂肪として体にたまりやすくなります。これが続くと、太りやすい体質になってしまいます。

また、睡眠の質が落ちると、翌日の食欲を増やすホルモンが多く分泌されるようになり、次の日も食べすぎてしまうという悪循環に陥ることもあります。

脂っこいものや甘いものが多い

からあげ、ポテト、スナック菓子、ケーキ、ジュースなど、脂質(あぶら)や糖分(さとう)が多い食べ物をよく食べていると、体の中でいろいろなトラブルが起きます。

特に問題となるのが「血糖値(けっとうち)」の急な変化です。血糖値が一気に上がると、それを下げるために「インスリン」というホルモンがたくさん出ます。

この状態がくり返されると、インスリンが効きにくくなり、血糖値をうまくコントロールできなくなってしまいます。これは「インスリン抵抗性」と呼ばれ、糖尿病のリスクが高まるサインです。

また、インスリンには脂肪をためる働きもあるため、太りやすくなります。さらに、血糖値の上下が激しいと、イライラしやすくなったり、集中力が続かなくなったりすることもあります。

現代人は食べ過ぎやすい

私たちの体の仕組みは、長い人類の歴史の中で培われてきました。

その歴史を振り返私たちの体は、約200万年にわたる人類の進化の中で、飢餓に耐える仕組みを発達させてきました。

しかし現代社会では、食料が豊富にあり、いつでも好きなだけ食べられる環境が整っています。このギャップこそが、食べ過ぎを引き起こす大きな要因です。

コンビニ、ファストフード、スイーツ、24時間営業の飲食店など、手軽に食べ物を得られる現代。

忙しい生活の中で「とりあえず食べる」「ながら食べをする」といった行動も増え、無意識のうちに摂取カロリーが増加している人も少なくありません。

昔の人は1日2食が当たり前

江戸時代以前の日本では、1日2食が一般的な食事パターンでした。特に平安時代の貴族でも、朝は湯だけ、昼と夕方に1回ずつの食事というスタイルが多く見られました。

庶民や農民の生活では、日の出とともに働き始め、昼と夜に簡単な食事を摂るのが基本でした。収穫期や行事の際には例外もありましたが、1日3回食事をすることはまれでした。

さらに遡って狩猟採集時代では、食事の回数や時間は獲物の有無に左右され、1日食べられないこともあれば、手に入った時に大量に食べることもありました。

このような生活に体が適応していたため、「空腹が普通」であり、「満腹は特別」だったのです。

身体が食べ過ぎに対応できていない

人類の体は、長い進化の歴史の中で飢餓に強くなりました。脂肪としてエネルギーを蓄えたり、飢えに備えて基礎代謝を下げたりする仕組みが備わっています。

しかし、近代になってからの急激な食習慣の変化、つまり飽食状態にはまだ対応できていません。

過剰なカロリー摂取によって、体は血糖値を調整するインスリンを大量に分泌しますが、その働きがうまくいかなくなると「インスリン抵抗性」が生じます。この状態が続くと糖尿病のリスクが高まり、脂肪も蓄積されやすくなります。

また、肝臓や膵臓、腸などの臓器に常に負担がかかることで、消化・吸収・解毒の機能が落ち、疲れやすい体になってしまうのです。

1日3食の弊害

現代の「1日3食+間食」が、健康に良いとは限りません。実際には、体を休ませる時間が極端に短くなり、内臓がフル稼働し続けることでさまざまな不調を引き起こします。

内臓の休息不足

食べ物の消化には約8時間がかかるとされています。朝7時、昼12時、夜7時と食事をする生活では、常に消化器官が働いている状態です。これでは内臓が休む時間がなく、胃酸や酵素の分泌が追いつかず、消化不良や腸内環境の悪化を招きます。

栄養吸収の効率低下

疲弊した内臓では、ビタミンやミネラル、タンパク質の吸収がうまくいかず、肌荒れや疲労感、免疫力の低下などが起こりやすくなります。また、毒素や老廃物の排出もスムーズに行えず、代謝が滞りがちです。

睡眠やホルモンバランスへの影響

夜遅くの食事は、体の修復を担う成長ホルモンの分泌を妨げます。睡眠の質が低下し、日中の集中力や食欲のコントロールにも悪影響を与えることが知られています。

食べ過ぎのサイン

人は知らず知らずのうちに「食べ過ぎ」が習慣になっていることがあります。

以下のような体や心の変化がある場合、あなたの体がサインを送っているかもしれません。

食後に強い眠気やだるさを感じる

食後にどうしても眠くなったり、体が重く感じたりすることはありませんか?

これは食べ過ぎによって、消化に大量のエネルギーが使われているためです。

とくに脂っこいものや糖分の多い食事を大量にとると、血液が消化器官に集中し、脳や筋肉への血流が減ります。

そのため、頭がぼんやりしたり、集中力が低下したりするのです。

最近、疲れやすいと感じる

「よく寝ているのに疲れが取れない」「日中に眠くなる」といった症状が続く場合、内臓が疲れているサインかもしれません。

食べ過ぎが続くと、胃や腸、肝臓などが常に働き続ける状態になります。

すると、栄養の吸収や老廃物の処理が追いつかず、体全体がだるく感じやすくなります。

胃腸が弱くなった気がする

以前は平気だった食べ物で、胃もたれを起こしたり、お腹がゴロゴロすることはありませんか?

これは、食べ過ぎによって消化機能が弱まっている可能性があります。

胃酸や消化酵素の分泌が追いつかず、便秘や下痢、膨満感などが起こりやすくなります。

イライラ、不安、無気力など、気分が安定しない

精神面にも影響が出ている場合、腸内環境の乱れが関係しているかもしれません。

腸は「第二の脳」とも呼ばれ、感情をコントロールするセロトニンの約90%が腸で作られています。

食べ過ぎで腸内の悪玉菌が増えると、イライラや不安感、無気力などの症状が出ることもあります。

食べていない時間が快適になる

「お腹が空くのはつらいこと」と思われがちですが、実は空腹には、体と心を整える大きなメリットがあります。

食事のリズムに適応する

食事の時間を制限すると、最初は空腹に不快感を覚えるかもしれません。しかし数日経つと、体が自然にそのリズムに慣れていきます。

たとえば「8時間ダイエット」のように、1日のうち8時間だけ食べる方法を続けていると、空腹時間のつらさが徐々に減り、逆に「空腹の心地よさ」に気づく人も多いのです。

体は非常に順応性が高く、食事のリズムを整えることで、空腹感も自然に落ち着いてきます。

始めてすぐは「食べたい!」という気持ちが強く出るかもしれませんが、それは習慣の名残です。1週間ほど続けると、空腹を感じる時間帯が限られたり、少量でも満足できるようになります。

体が「本当に必要な食事」と「なんとなくの食欲」を区別できるようになり、自然な食欲コントロールができるようになるのです。

体と心のポジティブな変化

食事をしていないときは、消化に使われるエネルギーが脳にまわりやすくなります。

そのため、頭がすっきりとして考えがまとまりやすくなり、集中力もアップします。

実際、空腹時のほうが仕事や勉強がはかどると感じる人も多いです。

また、食べすぎると体が重く感じたり、動きが鈍くなったりしますが、適度な空腹時は体が軽やかになります。

胃腸が休まることで、内臓の動きがスムーズになり、全身のバランスが整うためです。

まとめ

食べ過ぎは単なる体重増加だけでなく、血糖値や脂肪の異常、腸内環境の乱れなどを引き起こし、生活習慣病や内臓疲労、消化不良などさまざまな健康リスクを高めます。

現代の「1日3食」や好きなときに好きなだけ食べる習慣は、人によっては体に負担をかける原因となりやすいため、「本当に必要な分だけを適切なタイミングで食べる」ことや、食べる時間・量・内容を見直し、空腹の時間を意識的につくることが大切です。

無理のない範囲で食生活を見直し、バランスの良い食事と適度な空腹を取り入れることで、健康を守り、日々の不調や疲れの改善につながります。

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