生クリームの種類|乳脂肪分と原材料による分類をまとめて解説

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スーパーで生クリームを買おうとすると、「35%」「47%」という数字の違いと、「純生クリーム」「ホイップ」「フレッシュ」という商品名の違いが同時に目に飛び込んできます。この2つは「乳脂肪分の違い」と「原材料の違い」という別々の軸であり、どちらか片方だけ理解しても、売り場で迷わず選べるようにはなりません。

この記事では、乳脂肪分による分類と原材料による分類の両方を整理したうえで、それぞれの特徴と向いている用途を解説します。


目次

まず全体像を把握する

種類原材料添加物乳脂肪分の目安パッケージ表示
生クリーム乳脂肪のみなし18〜48%種類別:クリーム
純乳脂クリーム乳脂肪+安定剤などあり35〜48%乳等を主要原料とする食品
コンパウンドクリーム乳脂肪+植物性脂肪あり製品による乳等を主要原料とする食品
植物性クリーム植物性脂肪のみあり(乳脂肪なし)乳等を主要原料とする食品

2つの軸が交差している

生クリームの種類を理解するには、「乳脂肪が何%か(濃さ)」と「何から作られているか(原材料)」という2つの軸があることを最初に知っておく必要があります。

乳脂肪分の数字は、そのクリームの「濃さ・コク・泡立ちの速さ」を決めます。原材料の種類は、「添加物の有無・風味・加熱への耐性・価格」を決めます。どちらの軸も、用途を選ぶうえで欠かせない情報です。

法律上、「種類別:クリーム」と表示できるのは純生クリームだけです。それ以外の3種類はすべて「乳等を主要原料とする食品」という表示になるため、商品名だけで判断しようとすると混乱します。パッケージの種類別・原材料欄を見ることが確実な見分け方です。


乳脂肪分による分類

数字が変わると何が変わるのか

乳脂肪分の違いは、泡立ちのスピード・固さ・コク・口溶けに影響します。一般的に乳脂肪分が高いほど泡立ちが早く、固くコクのあるクリームになります。一方で泡立てすぎたときの分離も早くなるため、扱いにはより注意が必要になります。

ライトクリーム(乳脂肪18〜30%前後)

乳脂肪分が低いため、泡立てには脂肪球が少なすぎて向いていません。液状のまま使う用途に限られ、コーヒーや紅茶に加えるコーヒー用クリームとして知られています。泡立てを前提としたお菓子作りや料理への使用には適しません。加熱すると分離しやすい点も注意が必要です。

ミディアムクリーム(乳脂肪30〜35%前後)

家庭向けの市販品ではあまり見かけない帯域ですが、ソース作りや軽めのデザートには活用できます。泡立ては一応可能ですが、固くしっかりしたクリームには仕上がらず、時間が経つとすぐにヘタる傾向があります。ホイップとして使いたい場合は、35%以上のものを選ぶほうが安定します。

ヘビークリーム(乳脂肪35〜48%)

乳脂肪分味わい・口溶け泡立ちの特性向いている用途
35〜38%軽やかでさっぱりゆっくり泡立つ。失敗しにくいムース、サンドクリーム、軽いソース
40〜45%バランスのよいコク扱いやすく泡立ちも安定デコレーション全般、クリームパスタ
45〜48%濃厚でリッチ早く泡立つが、分離も早いしっかりした絞り飾り、夏場のデコレーション

家庭でのお菓子作りや料理に広く使われる帯域で、スーパーで目にする多くの製品がここに含まれます。泡立てにも加熱調理にも対応できる汎用性の高いタイプです。この帯域の中でも乳脂肪分によって特性に差があります。

乳脂肪分が高いほど泡立ちが早くなる分、ちょうどよい固さから分離まであっという間です。特に45%以上を使う場合は、泡立ての終盤を低速で慎重に進めることが大切です。


原材料による分類

4種類それぞれの特徴

純生クリーム

乳脂肪だけを原料とし、添加物をまったく含まないものです。日本の乳等省令では「生乳・牛乳から乳脂肪分以外を除去したもの」と定義されており、この定義を満たすものだけが「種類別:クリーム」と表示できます。

乳本来のコクと風味が豊かで、加熱調理にも対応できます。反面、温度変化や振動に弱く、扱いには注意が必要です。賞味期限は短く(未開封で約2〜3週間)、価格も最も高めです。

純乳脂クリーム(安定剤入り)

原料は乳脂肪のみですが、安定剤・乳化剤などの添加物が加えられています。風味は純生クリームとほぼ変わらないとされており、添加物の働きで保形性と安定性が高まり、分離しにくくなっています。業務用でよく使われるほか、家庭向け製品でも「純乳脂」や「生クリーム100%使用」と表記されているものがこれにあたる場合があります。

生クリームに近い風味を持ちながら扱いやすいというバランスから、デコレーション重視のお菓子作りに向いています。パッケージは「乳等を主要原料とする食品」の表示になるため、原材料欄で「乳化剤」「安定剤」が記載されているかどうかで純生クリームと区別できます。

コンパウンドクリーム

配合の傾向特性
乳脂肪多め(70%以上)生クリームに近い風味。コクが強い
乳脂肪・植物性脂肪が同程度風味と作業性のバランスタイ
植物性脂肪多め植物性クリームに近い安定性。コストも低め

乳脂肪と植物性脂肪(ヤシ油・パーム油・大豆油など)を混合したものです。動物性の風味と植物性の作業性・安定性を両立させる目的で作られており、乳脂肪の割合が多いほど風味が豊かに、植物性脂肪の割合が多いほど扱いやすく低コストになります。

家庭向けのスーパーでは「コンパウンド」と明記していない製品も多く、原材料欄に「植物油脂」と「クリーム」が両方記載されていればこのタイプです。

植物性クリーム

乳脂肪を使わず、植物性油脂のみを原料とします。乳化剤・安定剤・香料などの添加物を加えることで、クリームに近い質感と泡立ちを実現しています。

動物性クリームより価格が低く、賞味期限が長く、保形性が高いため崩れにくいという特徴があります。一方で加熱すると分離しやすく、料理への使用は基本的に向きません。また乳脂肪特有のコクと口溶けは動物性に劣ります。

植物性クリームの使い分けについては「植物性クリームの使い分けガイド」の記事で詳しく解説しています。


原材料・乳脂肪分ともに日本独自の分類「ヴィーガンクリーム」

近年、乳製品アレルギーへの対応やヴィーガン志向の広がりにより、豆乳やオーツ麦・ coconut miilkを原料とした完全植物性のクリームが登場しています。日本ではまだ流通量が限られていますが、海外ではスーパーマーケットで一般的に入手できる製品も増えています。泡立ての安定性や風味は製品によって大きく異なりますが、乳製品を一切使わないという特性から、アレルギー対応のお菓子作りに使われることがあります。


まとめ:2つの軸を組み合わせて選ぶ

生クリームの種類は、乳脂肪分(濃さ)と原材料(何から作られているか)という2つの軸の組み合わせで理解するのが最も整理しやすい方法です。

乳脂肪分については、泡立てを前提とするなら35%以上が必須で、デコレーション用には40%前後が扱いやすく、仕上がりのコクと固さを重視するなら45%以上が向いています。原材料については、風味重視なら純生クリーム、扱いやすさと風味のバランスなら純乳脂クリーム、長時間のデコレーションやコスト重視なら植物性・コンパウンドという考え方が基本です。

「どれを選べばいいかわからない」という場合は、乳脂肪40%前後の純生クリームから試すのが失敗が少なく、用途の幅も広いためおすすめです。選び方の詳細な判断軸は「生クリームの選び方」の記事で、使い分けの実践については「植物性クリームの使い分けガイド」の記事でそれぞれ補足しています。

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