生クリームの種類
生クリームには、乳脂肪の割合や原材料の違いによってさまざまな種類があります。
料理やお菓子作りの目的に応じて、適切なクリームを選ぶことが美味しさを引き出すポイントです。
純粋な生クリームは風味に優れていますが、扱いが難しいという側面があります。
一方で、植物性脂肪を使った製品は安定性やコスト面で優れており、用途によっては非常に便利です。
ここでは、生クリームの種類とそれぞれの特徴について、分かりやすく説明します。
乳脂肪分による分類
生クリームは乳脂肪の含有量によっておおまかに4つに分けられます。
それぞれのクリームには、味わいや使用目的に適した特徴があります。
ライトクリーム(乳脂肪分18~30%)
ライトクリームは、あっさりとした味わいが特徴です。
泡立てるには脂肪分が足りないため、液状のまま使う用途に限られます。
主にコーヒーや紅茶に加えて楽しむもので「コーヒー用クリーム」と呼ばれることもあります。
- 軽い口当たり
- 加熱に弱く、温めると分離しやすい
- 泡立てには不向き
ミディアムクリーム(乳脂肪分30~35%)
家庭ではあまり見かけないタイプですが、ソース作りや軽い料理には向いています。
泡立てることも可能ですが、安定性は高くありません。
- 料理や軽いデザートに使用可能
- 泡立ては可能だが、すぐにヘタりやすい
ヘビークリーム(乳脂肪分35~48%)
一般的な生クリームとしてよく使われており、泡立てにも料理にも使える万能タイプです。
脂肪分が高くなるほど濃厚なコクが出ます。
脂肪分 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
35〜38% | 軽やかな食感 | ムースや軽めのホイップ |
40〜45% | バランスの取れた泡立ちと保形性 | 一般的なケーキのデコレーション |
45〜48% | しっかりとした泡立ちと高い保形性 | プロ用デコレーションや夏場の使用 |
エクストラヘビークリーム(乳脂肪分48%以上)
プロ仕様の高脂肪クリームです。
とても濃厚でコクがあり、泡立てても型崩れしにくいため、高温環境でも美しい仕上がりを保てます。
- 非常にコクがある
- 泡立ちが安定し、長時間保形可能
- 高級パティスリーで使用されることが多い
原材料による分類と製品の違い
市販されているクリームには、原料や添加物の有無によっていくつかの種類があります。
それぞれの特徴を理解して、使い分けることが大切です。
純粋な生クリーム(「種類別:クリーム」と表示)
乳脂肪だけを原料とした、最もナチュラルなタイプのクリームです。
添加物を一切使用せず、乳本来の風味やコクを味わうことができます。
- 原料:乳脂肪100%
- 添加物なし
- 風味が豊かだが、振動や温度変化に弱く扱いが難しい
添加物入りの乳脂クリーム(「名称:乳等を主要原料とする食品」と表示)
乳脂肪に安定剤や乳化剤を加えたタイプです。
風味は生クリームとほぼ同じで、泡立ちや保形性が安定しており、作業性に優れています。
主に業務用として使われます。
代表的な添加物とその役割は下記です。
添加物名 | 役割 |
カラギーナン | 増粘安定剤。クリームが垂れにくくなる |
グリセリン脂肪酸エステル | 泡立ちを助ける乳化剤 |
ショ糖脂肪酸エステル | なめらかな口当たりに仕上げる乳化剤 |
コンパウンドクリーム(乳脂肪+植物性脂肪)
乳脂肪に植物性脂肪(ヤシ油、パーム油など)を加えたタイプで、「コンパウンドクリーム」と呼ばれます。
風味と作業性のバランスをとった製品が多くあります。
配合比率 | 特徴 |
乳脂肪70%以上 | 風味重視タイプ(コクが強い) |
乳脂肪40~60% | バランスタイプ |
乳脂肪30%以下 | 作業性重視タイプ |
植物性脂肪の割合が多いほど、泡立ちや保形性が高まり、扱いやすくなります。
植物性脂肪100%タイプ(ホイップ・フレッシュなど)
乳脂肪をまったく使わず、植物性脂肪のみで作られた製品です。
コストが低く、保存性にも優れているため、業務用や家庭用でよく使われています。
- 原料:植物性脂肪のみ
- 添加物として、安定剤・乳化剤・香料などを使用
- 表示:「乳等を主要原料とする食品」
- 乳製品特有のコクは少ないが、あっさりした風味で安定性が高い
- パーム油:保形性が高く、形が崩れにくい
- ヤシ油:さっぱりした風味で口溶けが良い
- 大豆油:安価で使いやすい
植物性クリームの新しい動き:ヴィーガンクリーム
近年では、乳製品アレルギーへの対応やヴィーガン志向の高まりにより、完全植物性の「ヴィーガンクリーム」も登場しています。
豆乳やココナッツミルクを原料としたものが一般的で、乳製品を使用せずにクリームのような滑らかさを再現しています。
植物性脂肪の加工技術が進化したことで、ヴィーガンクリームでも十分な泡立ちや保