チロルチョコの名前の由来|発祥起源や人気の理由

チロルチョコとは
チロルチョコは、1962年に発売された日本の小型個包装チョコレート菓子です。
手のひらに収まるほどのコンパクトなサイズで、一つ一つが個別に包装されているため、バッグやポケットに入れて持ち運ぶこともできます。
小型のパッケージは持ち運びが容易で、子供のおやつとしてだけでなく、大人がちょっとした休憩時間に口にする気分転換の一品としても利用されています。
この商品は全国のコンビニエンスストア、スーパーマーケット、駄菓子屋など様々な場所で購入することができます。
手頃な価格設定となっており、幅広い世代が気軽に購入できる商品となっています。
豊富なフレーバー展開も特徴の一つで、定番商品に加えて季節限定商品まで幅広く取り揃えられています。
チロルチョコという名前の意味
チロルという言葉の由来
| 地域名 | オーストリア・チロル州 |
|---|---|
| 位置 | アルプス山脈地域 |
| 特徴 | 山々と自然景観に恵まれた地方 |
チロルという言葉は、ヨーロッパのアルプス山脈に位置するオーストリアの一地方の名称です。
正確にはオーストリアのチロル州を指します。
この地域は高い山々と自然景観に恵まれた場所として知られています。
「チロルチョコ」という商品名は、このオーストリアのチロル地方に由来しているのです。
命名の経緯
松尾製菓の二代目社長であった松尾喜宣氏は、実際にこのオーストリアのチロル地方を訪れる機会がありました。
現地で目にした壮大な山々の景色と、その自然の美しさに感銘を受けたといいます。
そして、このチロル地方の豊かさや美しさのように、すべての子供たちにチョコレートという喜びを楽しんでもらいたいという願いを込めて、この商品に「チロルチョコ」という名前をつけました。
つまり、チロルという言葉には地名としての意味があり、同時にその土地が持つ豊かさという願いが重ねられているのです。
オーストリアとの関係
この命名の背景にある思いは、遠く離れたオーストリアにも伝わりました。
2002年には、オーストリア・チロル州観光局が松尾製菓に対して感謝状を贈っています。
日本の一企業が自社の製品にチロルという名前を使用し、結果としてチロル地方の名前を日本全国に広めることになったことへの感謝を表したものでした。
この思いが評価されたことで、一つの商品名が国境を越えて文化的なつながりを生み出した例として記録されています。
チロルチョコの発祥起源
チロルチョコが初めて市場に登場したのは1962年のことです。
昭和37年にあたるこの年から、この小さなチョコレートは日本の菓子市場に姿を現しました。
発売から60年以上が経過した現在も、継続して販売が続けられています。
チロルチョコをメーカー「松尾製菓」
チロルチョコを生み出した松尾製菓は、1903年、明治36年に福岡県で創業されました。
創業から約半世紀が経過した1948年、昭和23年になると、松尾製菓は「ばら売りキャラメル」という商品を発売しました。
ばら売りキャラメルとは、一粒ずつ個別に販売されるキャラメルのことで、当時の消費者は必要な分だけ購入できるという利便性がありました。
この商品により松尾製菓の業績は拡大していきました。
しかし、順調に見えた経営も永続するものではありませんでした。
その後の経済不況により、松尾製菓は苦境に直面し、厳しい状況に陥ることになります。
チョコレート事業への参入という転機
不況期には消費者の財布の紐が固くなり、嗜好品であるお菓子の売上も影響を受けやすくなります。
この難局を乗り越えるため、松尾製菓は新たな道を模索する必要に迫られました。
そこで会社が選んだのが、チョコレート事業への参入でした。
1962年、昭和37年のことです。
チョコレートの製造には専門的な技術とノウハウが必要でしたが、松尾製菓は神戸の洋菓子メーカーであるモロゾフの協力を得ることでこれを実現しました。
こうして誕生したのが「チロルチョコ」という商品でした。
チロルチョコ株式会社の設立
チロルチョコは発売当初から、高品質でありながら手頃な価格という特徴を持っていました。
小さなサイズでありながら味わいはしっかりとしており、子供でも購入できる価格帯に設定されていたことが、多くの人に受け入れられる要因となりました。
発売後、チロルチョコは市場で受け入れられていきました。
2004年、平成16年になると、チロルチョコは松尾製菓本体から独立し、「チロルチョコ株式会社」として新たな一歩を踏み出すことになりました。
一つの商品が独立した企業を生み出すほどの規模に成長したということは、市場においてこの商品が確固たる位置を占めるようになったことを示しています。
チロルチョコのサイズと価格設定
チロルチョコが長年にわたって選ばれ続けてきた理由として、まず挙げられるのは、その小型サイズとリーズナブルな価格設定です。
大きな板チョコレートを購入するほどではないけれど、ちょっとしたチョコレートが食べたいという時に、手を伸ばしやすい価格帯となっています。
手のひらサイズの小型チョコレートは、個包装による持ち運びやすさも兼ね備えており、手頃な価格帯での提供が実現されています。
チロルチョコのフレーバー
| フレーバー名 | 特徴 | 発売開始年 |
|---|---|---|
| ミルク | 生クリーム入りのまろやかなミルクチョコ | 1990年 |
| コーヒーヌガー | ほのかなコーヒーの苦味とヌガーの食感 | 1979年 |
| ビス | サクサクとしたビスケット風味 | 1984年 |
| ホワイト&クッキー | ホワイトチョコとブラッククッキーの組み合わせ | – |
| アーモンド | キャラメリゼされたアーモンド一粒入り | 1984年 |
| いちごゼリー | いちごゼリーが入った2層構造 | – |
| きなこもち | きなこ風味ともちグミの組み合わせ | – |
定番フレーバーの種類
チロルチョコには数多くの定番フレーバーが存在しています。
ミルクチョコレートの基本形に加え、キャラメル、抹茶、クッキー入りなど多彩なフレーバーが展開されています。
その中でも長く販売されているのが「ミルク」です。
ミルク
パッケージは牛を連想させる黒と白の配色で、赤い文字でmilkと書かれたデザインがトレードマークです。長く販売されていますが、発売当初からほとんどデザインを変えずに現在まで続いています。
コーヒーヌガー
一口サイズのチロルチョコとしては初期の商品にあたります。コーヒーという名前ですが、子供向けに開発されたこともあり、ほのかな苦味を感じる程度の味付けとなっています。ヌガーとは砂糖と水飴を煮詰めてナッツなどを入れて固めたキャンディの一種で、独特の食感が楽しめる仕様となっています。
ビワイト&クッキー
ホワイトチョコレートの甘さをブラッククッキーが程よく中和する味わいとなっています。定番商品の中でもバラ売りされる機会が多い商品の一つです。
アーモンド
一般的なチロルチョコの中に、アーモンドが一粒そのまま入っているという構造です。パッケージは「ジョージくん」というアーモンドタイプのキャラクターが描かれたアメリカンなデザインとなっています。
いちごゼリー
2層になったいちごチョコとミルクチョコの中に、甘酸っぱいいちごゼリーが入った商品です。いちごの爽やかな香りが楽しめる定番商品となっています。
きなこもち
ホワイトチョコレートにきなこ風味を加え、もちの食感を再現したグミが入った商品です。弾力のある食感と素朴な味わいが特徴で、秋冬シーズンを中心に販売されています。
その他の定番ラインナップ
プチロル
定番商品には、通常サイズより小さな「プチロル」というシリーズも存在します。
通常のチロルチョコの約24分の1サイズとなっており、カラフルで可愛らしい見た目が特徴です。
1袋にミルク、いちご、バナナ、メロン、きなこの5種類が入っており、小さいながらもそれぞれ本格的な味わいとなっています。
バラエティパック、アソートパック
バラエティパックやアソートパックという形で、複数のフレーバーが一つのパッケージに入った商品も販売されています。
ミルク、ビス、コーヒーヌガー、いちごゼリー、きなこもち、アーモンド、ホワイト&クッキーといった定番7種が27個入ったものや、50個入りの大容量パックなど、用途に応じた選択肢が用意されています。
季節限定フレーバーの展開
季節限定商品は、年間を通じて定期的に発売されています。
これらの商品は販売期間が終わると店頭から姿を消すため、その時期ならではの味わいとなっています。
春季
春季には、桜をテーマにした商品が展開されています。
「さくらもち」は桜もちチョコと小豆チョコの中にもちグミを閉じ込めた商品で、桜の葉の塩漬けパウダーを混ぜ込むことで、桜の葉の香りと塩味を再現しています。5種類の桜フレーバーが1袋で楽しめるアソートパックも販売されています。
ひなまつりの時期には「ビッグチロル〈ひなまつり〉」が登場します。外箱を組み立てると立体的なひな壇に変身する仕様となっており、限定フレーバー「ふんわりピーチ」「いちごバニラ」と定番「ビス」の3種類が入っています。
こどもの日には「ビス」「かしわもち」「バナナマシュマロ」の3種類が入ったビッグチロルが販売されています。
夏季
夏季には、さっぱりとした味わいの商品が展開されています。
2025年6月には「白桃アールグレイ」が発売されており、白桃の甘味とアールグレイの香りを1粒に凝縮した商品となっています。チョコレートにはアールグレイパウダーが入っており、白桃ゼリーと白桃ソースが含まれる仕様です。
また、3種類のソーダ味のチロルチョコが楽しめる星形BOXの商品も展開されています。
秋季
秋季には、栗やさつまいもといった秋の味覚を使用した商品が登場します。
「さつまいもアソート」は、焼き芋と芋けんぴをイメージして作られたもので、焼き芋味には芋あん風味のチョコが、芋けんぴ味にはカラメルチップが入っています。
2023年8月には「アップルパイ」味が発売されており、4種類のパッケージデザインとなっています。
「抹茶もち」は宇治抹茶を使用したチョコレートの中に、もちの食感を再現したグミが入った商品です。抹茶の香りと弾力のある食感が特徴となっています。
冬季
冬季には、もちグミを使用したシリーズが中心となります。
「生もちきなこ」は北海道産大豆100%の「金のきなこ」を使用しており、きなこの風味ともっちりとした食感が楽しめる商品です。通常の「きなこもち」とは異なる配合となっています。
「生もちチーズ」も冬季に登場するもちグミシリーズの一つです。
冬のバラエティパックには、冬季限定の「冬ちろる」、「ショコラオランジュ」、パック限定の「ザクザクいちご」、「キャラメルコーヒーアーモンド」、「ホワイトビス」の5種類21個が入っています。
「冬ちろる」は口どけの良さが特徴で、「ショコラオランジュ」はオレンジの風味、「ザクザクいちご」はワッフルクランチの食感が含まれる商品です。
コラボレーション商品
企業や有名ブランドとのコラボレーション商品も展開されています。
2020年には下記のような、様々な商品とのコラボレーションが行われました。
これらのコラボレーション商品は、元の商品の味わいをチロルチョコで再現したもので、限定パッケージとともに発売されます。
また、アニメやゲーム、キャラクターとのコラボレーションも行われており、限定デザインのパッケージやオリジナルフレーバーが登場することもあります。
地域限定フレーバー
地域限定フレーバーも発売されています。
その地域ならではの食材を使用したチョコレートは、地元の人々にとっては身近な味わいの再発見となり、観光客にとってはその土地ならではのお土産として機能しています。
「ほうじ茶ラテ」と「抹茶わらびもち」の2種類が入った和のアソートなど、日本らしいフレーバーも展開されています。
地域限定商品の発売や観光地とのコラボレーションも行われており、地域経済の活性化に寄与する側面も持っています。
復刻商品の企画
過去に販売されていた商品を復刻する「チロルの復活祭BOX」という企画も行われています。
歴代の商品が懐かしい当時のパッケージのままセットになって復刻されるもので、フレーク、エッグタルト、ナッツクランチといった商品が含まれています。
当時を知る世代にとっては懐かしさを感じ、初めて食べる世代にとっては新鮮な味わいとして楽しめる商品展開となっています。
これまでに発売されたチロルチョコは400種類以上とされており、定番商品、季節限定商品、コラボレーション商品、地域限定商品、復刻商品と、多様な展開が行われてきました。
チロルチョコのパッケージデザイン
| デザインの種類 | 特徴 |
|---|---|
| 子供向けデザイン | 明るい色使いで親しみやすい |
| 大人向けデザイン | 落ち着いた色調でシンプル |
| 限定デザイン | コラボレーションや季節のテーマ |
パッケージデザインも多様で、カラフルな子供向けデザインから、大人向けの落ち着いたデザインまで幅広く用意されており、年齢や性別を問わず楽しめる商品として、様々な世代に選ばれています。
様々なパッケージデザインが存在することで、それらを集めるという楽しみ方も生まれています。
チロルチョコの現在
チロルチョコは、いまも日本の駄菓子文化を象徴する存在として、多くの人に親しまれています。
発売から60年以上が経った今もなお、手頃な価格と確かな品質を守りながら、新しい味やコラボレーションを次々と展開してきました。
SNSでは新商品の登場が話題となり、写真や感想が広く共有されることで、その魅力はさらに広がっています。
地域との連携にも積極的で、ご当地の特産品を使った限定フレーバーは観光客にも人気です。こうした取り組みは、地域経済を支えるとともに、各地の魅力を発信する役割も果たしています。
「すべての子どもたちにチョコレートを楽しんでもらいたい」という創業者の願いは今も息づき、一粒の中に温かな物語が込められています。
時代に合わせて変化しながらも、変わらぬ思いで作られ続けるチロルチョコは、これからも日本の定番スイーツとして愛されていくでしょう。





の意味-1024x576.png)