スイーツを食べることで得られる幸せと理想の喫食頻度

株式会社モンテールが実施した「スーパー・コンビニ スイーツ白書2025」では、スイーツを食べることで人々がどのような幸せを感じているのか、そしてどれくらいの頻度でスイーツを食べたいと思っているのかを調査しました。この調査は、立命館大学食マネジメント学部の和田有史教授の監修のもと、月に1回以上スーパー・コンビニのスイーツを購入する20代から60代までの男女2,000人を対象に実施されています。

調査では、スイーツを食べることでどのような心理状態になるのかを尋ねることで、スイーツがもたらす幸福感を多角的に測定しました。また、幸せを感じる理由についても詳しく聞くことで、なぜスイーツが人々に支持されているのかを明らかにしています。さらに、理想のスイーツ喫食頻度と実際の頻度の差を調べることで、人々がどれだけスイーツを我慢しているのかも浮かび上がってきました。

この調査結果からは、約9割の人がスイーツを食べることで幸せを感じており、その理由として甘いものが好きという味覚的満足に加えて、特別感やご褒美感、ストレス解消といった心理的効果を求めていることが明らかになりました。

しかし同時に、理想では週3.5回食べたいのに対して実際は週2.5回しか食べられておらず、3割以上の人が週に2回以上スイーツを我慢している実態も浮かび上がりました。自分へのご褒美や特別なイベントのときには我慢しないという人が多く、スイーツが日常の中での特別な存在として位置づけられていることがわかります。スイーツは単なる嗜好品ではなく、人々の心の健康を支える存在として、日常生活の質を高める役割を果たしているのです。

スイーツを食べることで感じる幸せ

88.3%が「幸せを感じる」と回答

スイーツを食べることで心理状態がどうなるかを尋ねた結果、「幸せを感じる」と答えた人は88.3%にのぼりました。約9割の人が、スイーツを食べることで幸せな気分になっていることが明らかになったのです。この高い割合は、スイーツが多くの人にとって確実に幸福感をもたらす存在であることを示しています。

「リラックス」と「嬉しい気分」を増幅する効果

「リラックスできる」と答えた人は85.5%、「嬉しい気分が増幅する」と答えた人は82.5%となっており、どちらも8割を超えています。スイーツを食べることで、ポジティブな気持ちが増したり、リラックスした状態になったりすることがわかります。

これは、前述の二次元気分尺度による測定結果とも一致しており、スイーツが実際に心理的な満足感をもたらすことを裏付けています。リラックス効果については、94.7%の人が実感していることが二次元気分尺度の測定で確認されており、今回の意識調査でも85.5%という高い割合で同様の効果が認識されています。

嬉しい気分が増幅するという効果は、スイーツが持つ独特の特徴です。すでに楽しい気分のときにスイーツを食べることで、その楽しさがさらに増すという経験を、多くの人がしています。誕生日やお祝いの席でケーキを食べることで、喜びがより大きくなるのは、この効果の表れといえるでしょう。

落ち込んだ気持ちを和らげる効果

「落ち込んだ気持ちが和らぐ」と答えた人は77.0%となっています。この結果は、スイーツが単に楽しいときに食べるものではなく、気分が沈んでいるときの助けにもなることを示しています。

落ち込んでいるときにスイーツを食べることで、気分が少し明るくなったり、心が軽くなったりする経験を、多くの人が持っているのです。この効果は、スイーツに含まれる糖分が脳のエネルギー源となることや、甘いものを食べることで気分が改善されるという生理的なメカニズムに加えて、スイーツを食べるという行為自体が自分を労る時間になることも関係していると考えられます。

二次元気分尺度の測定では、イライラが34.9%減少、無気力が26.4%減少するなど、ネガティブな心理状態が大幅に改善されることが確認されています。今回の意識調査でも、77.0%の人が落ち込んだ気持ちが和らぐと感じており、スイーツがネガティブな気分への有効な対処法として機能していることがわかります。

「モチベーション」と「エネルギー」の回復

「モチベーションが増幅する」と答えた人は75.6%、「エネルギーがみなぎる」と答えた人は71.8%となっており、どちらも7割以上の人が回答しています。気持ちが前向きになり、元気になれるという効果を実感している人が多いことがわかります。

これらの結果は、スイーツが持つ活力回復効果を示しています。疲れているときや、やる気が出ないときに、スイーツを食べることで気分が切り替わり、もう少し頑張ろうという気持ちになる人が多いのです。

スイーツは、日常生活の中で気分を立て直すための身近な手段として機能しています。仕事や家事の合間、勉強の休憩時間など、さまざまな場面でスイーツを食べることで、モチベーションを回復させたり、エネルギーをチャージしたりすることができます。この手軽さと効果の確実性が、スイーツが広く支持される理由の一つとなっています。

コミュニケーションのきっかけとしての役割

「スイーツが友人とのコミュニケーションのきっかけになる」と答えた人は59.8%でした。他の項目と比べるとやや低い割合ですが、それでも約6割の人が、スイーツを通じて人とのつながりを感じていることがわかります。

スイーツを一緒に食べることで会話が弾んだり、お土産としてスイーツを渡すことで関係が深まったりする経験は、多くの人が持っているでしょう。スイーツは、味覚的な満足だけでなく、社会的なつながりを生み出す役割も担っているのです。

スイーツは、一人で楽しむこともできますが、誰かと一緒に食べることで、また違った楽しみが生まれます。同じスイーツを食べながら感想を言い合ったり、お互いのスイーツを少し分け合ったりすることで、その場の雰囲気が和やかになります。こうした社会的な効果も、スイーツが持つ幸福感の一部となっているのです。

スイーツで幸せを感じる理由

72.6%が「甘いものが好きだから」と回答

前の質問で「スイーツを食べることで幸せを感じる」と答えた1,765人に、その理由を尋ねました。最も多かったのは「甘いものが好きだから」で72.6%となり、2位以下に大きな差をつけて1位となりました。好きなものを食べることが幸せ感につながっている人が7割以上であることがわかります。

この結果は、味覚的な満足が幸福感の基本となっていることを示しています。甘味は人間にとって本能的に好まれる味であり、甘いものを食べることで直接的な喜びを感じることができます。スイーツの幸福感の土台には、この基本的な味覚の満足があるのです。

甘味を好むことは、人間の生物学的な特性の一つです。甘味は糖分を含む食べ物のサインであり、糖分は生きるために必要なエネルギー源です。そのため、人間の脳は甘いものを食べると報酬系が活性化し、快感を感じるようにできています。スイーツを食べて幸せを感じるのは、この生理的なメカニズムが働いているからなのです。

43.1%が「特別感やご褒美感を味わえるから」と回答

2位は「特別感やご褒美感を味わえるから」で43.1%となりました。スイーツに「ご褒美感」を求めている人が多いことは、毎年の調査結果とも合致しています。実際に、スイーツを食べる理由として「自分へのご褒美として」を挙げる人が多いことは、別の調査項目でも確認されています。

この結果が示しているのは、スイーツが日常の中での特別な存在として位置づけられているということです。毎日の食事とは違い、スイーツは「自分にとって良いこと」をしているという感覚をもたらします。

35.5%が「ストレスが解消されるから」と回答

3位は「ストレスが解消されるから」で35.5%となりました。スイーツでストレスや疲れた気分を乗り越えようとする人が多いことがわかります。この回答は、約3人に1人という高い割合を示しており、スイーツがストレス対処法として広く活用されていることを示しています。

この結果は、二次元気分尺度で測定されたネガティブな心理状態の減少とも対応しています。イライラや無気力といった状態が、スイーツを食べることで実際に改善されるため、人々はストレス解消の効果を実感しているのです。

日常生活では、さまざまなストレスに直面します。仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、時間に追われる焦りなど、現代人は多くのストレス源を抱えています。そうした中で、スイーツを食べることは、手軽に実践できるストレス対処法となっています。専門的なカウンセリングや長時間のリラクゼーションを必要とせず、数分で気分を改善できることが、スイーツの大きな利点です。

33.1%が「疲れが取れるから」と回答

4位は「疲れが取れるから」で33.1%となりました。疲労回復の効果を感じている人も約3人に1人という高い割合を示しています。この結果は、スイーツが単に心理的な満足だけでなく、身体的な疲労感を和らげる効果も持つことを示唆しています。

スイーツに含まれる糖分は、脳や身体のエネルギー源として迅速に利用されます。そのため、疲れているときにスイーツを食べることで、実際にエネルギーが補給され、疲労感が軽減されることがあります。

特に脳は、エネルギー源としてブドウ糖を多く消費します。長時間の集中作業や頭を使う仕事の後には、脳のエネルギーが不足している状態になります。このようなときにスイーツを食べることで、糖分が素早く吸収され、脳のエネルギーが補給されます。その結果、疲労感が和らぎ、再び活動する意欲が湧いてくるのです。

30.9%が「気分が良くなるから」と回答

5位の「気分が良くなるから」は30.9%で、約3割の人が回答しています。ストレス解消や疲労回復といった具体的な効果だけでなく、全般的に気分が改善されることを理由として挙げる人も多くいます。

この回答は、スイーツが持つ包括的な心理的効果を表しています。特定の問題を解決するというよりも、漠然とした気分の改善や、心の軽さを感じることが、スイーツを食べる理由となっているのです。

気分が良くなるという表現は、幸福感、リラックス、活力など、さまざまなポジティブな心理状態を包含しています。スイーツを食べることで、これらの複数の要素が同時に改善されるため、「気分が良くなる」という総合的な実感につながっているのでしょう。

24.0%が「空腹が満たされるから」と回答

6位の「空腹が満たされるから」は24.0%となっており、他の理由と比べると低い割合です。この結果は、スイーツが食べ物として空腹を満たすことによる幸せ感よりも、食べることによる気分の変化から幸せを感じている人が多いことを示しています。

つまり、スイーツを食べる主な動機は、お腹を満たすことではなく、心を満たすことにあるのです。スイーツは、栄養を摂取するための食事というよりも、心理的な満足を得るための特別な食べ物として位置づけられています。

この結果は、スイーツと通常の食事との大きな違いを明確に示しています。食事の主な目的は栄養補給と空腹の解消ですが、スイーツの主な目的は心理的な満足です。空腹を満たすことが理由の最下位に近い順位となったことは、スイーツが持つ特別な位置づけを改めて確認させる結果といえます。

コミュニケーションと懐かしさの要素

7位の「人との会話やコミュニケーションのきっかけになるから」は11.2%、8位の「懐かしい気持ちになれるから」は6.1%となりました。これらの理由を挙げる人は少数派ですが、スイーツが持つ社会的な機能や、思い出と結びつく要素も、一部の人にとっては重要な幸福感の源泉となっていることがわかります。

特に、懐かしさを感じるという回答は、スイーツが個人の記憶や経験と深く結びついていることを示しています。子どもの頃に食べたお菓子や、特別な日に食べたケーキなど、スイーツにまつわる思い出が、現在の幸福感にもつながっているのです。ある特定のスイーツを食べることで、過去の幸せな時間を思い出し、その記憶から幸福感を得るという体験は、多くの人が持っています。

理想と現実の喫食頻度

理想は週3.5回、実際は週2.5回

幸せな気分やリラックス状態をもたらしてくれる効果が明らかになったスイーツについて、1週間あたりの喫食回数を調査しました。その結果、スイーツを食べたいと思う平均は週3.5回であったのに対し、実際に食べている回数の平均は週2.5回となりました。食べたいと思う回数よりも週1.0回少ないことがわかったのです。

このギャップは、多くの人がスイーツを食べたいという欲求を抱えながらも、何らかの理由で我慢していることを示しています。週に1回という差は小さく見えるかもしれませんが、1ヶ月で考えると約4回、1年では約52回の差になります。年間を通じて見ると、かなりの回数のスイーツを我慢していることになるのです。

週2.5回という現実

実際に食べている回数が週2.5回ということは、2〜3日に1回程度の頻度でスイーツを食べていることになります。この頻度でも決して少ないわけではありませんが、理想と比べると物足りなさを感じている人が多いことがわかります。

週1回の差は、年間では52回の差になります。つまり、1年間で52個分のスイーツを我慢していることになるのです。この数字は、日々の小さな我慢が積み重なって、大きな欲求不満につながっている可能性を示唆しています。

週3.5回という理想

週3.5回という理想の頻度は、1日おきよりやや少ない程度の頻度です。これは、毎日は食べないけれど、週に3〜4回程度はスイーツを楽しみたいという人々の希望を表しています。この頻度は、日常的にスイーツを取り入れたいという願望と、食べすぎには注意したいという意識のバランスを示しているといえるでしょう。

週に3〜4回という頻度は、スイーツを特別な日だけのものではなく、日常生活の一部として楽しみたいという意識を表しています。月に1〜2回の特別な日だけでなく、週に数回程度の頻度で、気分転換やリフレッシュの手段としてスイーツを活用したいと考えている人が多いのです。

半数以上が満足している

55.7%の人が理想通りにスイーツを食べられているという結果は、半数以上の人がスイーツとの付き合い方に満足していることを示しています。これらの人々は、自分の欲求と生活の制約のバランスを上手く取ることができているといえます。

理想より多く食べている人も存在

5.9%の人は理想より多く食べているという結果も出ています。これは、スイーツを我慢する必要がない環境にいるか、あるいは当初の理想設定が控えめだった可能性があります。

31.0%が週に2回以上我慢している

理想の回数と実際に食べている回数の差を詳しく見ていくと、約半数の55.7%の人は、1週間のうちスイーツを理想の回数通りに食べていることがわかりました。しかし、31.0%の人が「理想より2回以上少ない」と回答しています。このことから、3割以上の人が週に2回以上スイーツを食べるのを我慢しているといえます。

週に2回以上の我慢というのは、かなり大きな制約です。週3.5回食べたいと思っているのに、実際には週1.5回以下しか食べられていない人が3割もいるということになります。

31.0%の人が週に2回以上我慢しているということは、この人々にとってスイーツを食べることが、かなり制限された行為になっていることを意味します。本当は週に3〜4回食べたいのに、実際には週に1〜2回程度しか食べられない状況です。

スイーツが幸福感をもたらすことが明らかになっているにもかかわらず、多くの人がその恩恵を十分に受けられていない状況が浮かび上がってきます。週に2回多くスイーツを食べられれば、それだけ多くの幸福感やリラックス効果を得られる可能性があるのです。

我慢する理由

健康面での配慮

なぜ多くの人がスイーツを我慢しているのでしょうか。調査では直接的には尋ねていませんが、健康面での配慮が大きな理由の一つと考えられます。糖分やカロリーの摂取を控えたいという健康意識が、スイーツの摂取頻度を抑える要因となっています。

経済面での制約

毎日スイーツを買うことの経済的負担も、我慢につながっている可能性があります。1個のスイーツが200円前後だとすると、週に1回多く買うだけで月に約800円、年間では約1万円の支出増になります。この経済的な負担を考えて、スイーツの購入を控えている人もいるでしょう。

特別感を保ちたい意識

「スイーツは特別なもの」という意識も影響している可能性があります。日常的に頻繁に食べてしまうと特別感が薄れるという感覚や、頑張ったときのご褒美として取っておきたいという気持ちが、頻度を抑える要因となっているかもしれません。この意識は、スイーツの価値を維持するための自己制御ともいえます。

スイーツを我慢しないシチュエーション

1位は「自分へのご褒美をするとき」（51.9%）

スイーツを食べている頻度が理想よりも実際は少ない人が多い状況が明らかになりましたが、「スイーツを食べるのを我慢しなくてもいいと思うシチュエーション」について調査しました。その結果、1位は「自分へのご褒美をするとき」で51.9%となり、何かを頑張った後など、ご褒美のときには我慢しないでスイーツを食べるという人が約5割となりました。

この結果は、前述の「スイーツで幸せを感じる理由」で「特別感やご褒美感を味わえるから」が2位だったことと対応しています。多くの人がスイーツをご褒美として位置づけており、自分を労うタイミングでは我慢せずに食べることを許容しているのです。

「自分へのご褒美」というシチュエーションでは、スイーツを食べることに対する罪悪感が軽減されます。頑張ったことへの報酬として、あるいは達成したことへのお祝いとして、スイーツを食べることが正当化されるのです。この心理的なメカニズムが、普段は我慢していても、特定のタイミングではスイーツを楽しむことを可能にしています。

2位は「特別な日」（34.4%）

2位は「特別なイベントがあるとき（誕生日、クリスマス、結婚式など）」で34.4%となりました。特別感を大切にしたいときには、スイーツを我慢しない人が多いことがわかります。誕生日やクリスマスといったイベントでは、ケーキやお菓子が欠かせない存在となっており、こうした日にはスイーツを楽しむことが当然と考えられているのです。

3位は「元気を出したいとき」（34.3%）

3位は「元気を出したいとき」で34.3%となり、2位とほぼ同じ割合です。約3人に1人が、気分を上げたいときにはスイーツを我慢しないと答えています。この回答は、スイーツがストレス解消や気分改善の手段として機能していることを改めて示しています。落ち込んでいるときや疲れているときに、スイーツの力を借りて気持ちを立て直すことを、多くの人が実践しているのです。

4位は「友人や家族と一緒に楽しむとき」（28.0%）

4位は「友人や家族と一緒に楽しむとき」で28.0%となりました。約4人に1人が、誰かと一緒にいるときにはスイーツを我慢しないと答えています。スイーツを共有することで、その場の雰囲気が和やかになったり、会話が弾んだりする効果を期待しているのでしょう。

5位は「限定スイーツが食べられるとき（季節限定など）」で26.7%となりました。「今しか食べられない」という特別なタイミングでは、我慢せずに食べる人が約4人に1人という結果です。季節限定や期間限定の商品は、その時期を逃すと次にいつ食べられるかわからないという希少性があります。この希少性が、普段は我慢している人でもスイーツを購入する動機となっているのです。

その他のシチュエーション

6位の「旅行先」は22.6%でした。旅行という非日常の場面では、いつもより自分に甘くなり、スイーツを楽しむことを許容する人が多いようです。旅先での特別な体験の一部として、スイーツが位置づけられているのです。

7位の「落ち込んでいるとき」は19.3%となりました。気分が沈んでいるときに、スイーツで気持ちを和らげようとする人が一定数いることがわかります。8位の「何かの前で気合を入れたいとき（仕事前、試験前など）」は12.4%で、スイーツでエネルギーを補給したり、気持ちを切り替えたりする人もいます。