バウムクーヘンが人気になった理由!昭和の百貨店と結婚式文化

目次

バウムクーヘンとは何か

バウムクーヘンは、層状に焼き上げられるドイツ発祥の伝統的なお菓子です。その名前は、ドイツ語で「木(Baum)のケーキ(Kuchen)」を意味し、切り口が年輪のように見える特徴からこの名前が付けられました。このお菓子は、しっとりとした食感とほんのりした甘さが魅力です。特に日本では、贈り物や結婚式の引き菓子として広く親しまれています。

バウムクーヘンが普及した背景

バウムクーヘンが日本に定着したのは、戦後から昭和時代にかけての洋菓子文化の普及が大きな要因です。戦後、日本では西洋文化が次第に浸透し、洋菓子もその一部として家庭に広がっていきました。特に昭和40年代は高度経済成長期に当たり、贅沢品として洋菓子が注目される時代でした。バウムクーヘンはその中でも特別な存在として定着していきました。

昭和40年代のトレンド「百貨店のバウムクーヘン」

昭和40年代、日本は高度経済成長期の真っただ中にあり、百貨店は人々の生活に欠かせない存在でした。百貨店では全国の特産品や輸入品、高級洋菓子が揃い、多くの人々が買い物や観光を兼ねて訪れました。その中で特に注目を集めたのが、バウムクーヘンという洋菓子です。

バウムクーヘンは、ドイツ発祥の伝統菓子で、何層にも重ねられた美しい年輪模様が特徴です。保存性が高く、包装次第では長期間品質を保てるため、贈答品として人気が急上昇しました。このころ、特別な日のギフトに「百貨店の洋菓子」を選ぶことが社会的なステータスともなっていました。

火付け役はバウムクーヘンの名店「ユーハイム」

日本にバウムクーヘン文化を広めた先駆者の一つが、ドイツ人菓子職人カール・ユーハイムによって設立された「ユーハイム」です。この店はバウムクーヘンを主力商品として販売し、その品質と知名度によって大きな成功を収めました。そして、同店は百貨店と提携し、商品を全国に広めましたのです。百貨店での販売を通じて、バウムクーヘンは日本において高級洋菓子としての地位を確立していきました。


結婚式文化と引き菓子の需要

昭和40年代は、日本の結婚式文化が大きく変化した時期でもありました。日本の結婚式は規模が大きくなり、披露宴には数百名が参加することも珍しくありませんでした。このころ、引き出物や引き菓子は「ゲストへの感謝を表す贈り物」として重要視され、式の内容と同じくらい慎重に選ばれており、ホテルや結婚式場ではその対応に追われる日々が続きました。

日本の文化において、披露宴に参加したゲストには必ず「引き出物」と「引き菓子」が贈られる習慣があります。引き出物には花瓶や置時計、朱塗りのお盆といった形として残る品が選ばれました。一方で、引き菓子には食べて楽しむための菓子が選ばれます。

引き菓子としての和菓子

和菓子では、杉折の箱に入った羊羹や練り切りが定番であり、松竹梅や鶴亀などの縁起の良い意匠が用いられていました。こうした和菓子の詰め合わせは、親が式から持ち帰る際、子どもたちが楽しみに待つ存在でもありました。

引き菓子としての洋菓子

引き菓子の洋菓子部門で人気を集めたのがバウムクーヘンです。バウムクーヘンは日持ちがし、遠方への持ち運びがしやすいだけでなく、その見た目の美しさからも特別感がありました。結婚式で配られる際には、専用のパッケージが用意されることもあり、その豪華さは当時の結婚式文化にふさわしいものでした。

バウムクーヘンの贈り物としての意味

昭和の日本には、贈り物に「意味」を込めることを大切にする文化が根強く残っていました。バウムクーヘンの年輪模様は「幸せが幾重にも重なる」という意味が込められています。「幸せの年輪」というキャッチフレーズが広まり、結婚式の贈り物として非常に縁起が良いとされ、多くの新郎新婦が選びました。

バウムクーヘン製造の苦労

バウムクーヘンの製造は見た目以上に過酷な作業でした。当時のオーブンは直火式のものが多く、回転する棒に生地を掛け、ガス火で焼きながら層を重ねていくという手間のかかる工程が求められます。昭和40年代には、工場の空調設備が十分ではなく、夏場の製造現場は過酷でした。職人たちは直火の熱さに耐えながら作業を進めなければなりません。

大量の汗をかく現場では、職人たちは塩分補給のために塩を舐めたり梅干しを食べたりする工夫をしていました。それでも夏場の作業は非常に過酷であり、下着やコックコートが汗でぐっしょりです。当時の職人たちの努力によって、バウムクーヘンは量産され、多くの人々に愛される洋菓子となりました。

現在のバウムクーヘン

昭和40年代以降、バウムクーヘンは百貨店や洋菓子専門店を通じて全国に広まりました。贈答用としてだけでなく、家庭で楽しむ高級菓子としても親しまれるようになり、その人気は不動のものとなりました。

現在でも、バウムクーヘンは特別な日のギフトとして選ばれることが多い洋菓子です。フレーバーの多様化やミニサイズの商品開発など、現代の消費者ニーズに応じた進化も遂げています。

まとめ

今日までにバウムクーヘンが日本で広まった背景には、職人たちの努力や百貨店の影響、そして昭和時代の結婚式文化が大きく関係していることは、ぜひ覚えていてもらいたいものです。昭和時代における特別な贈り物としての役割を踏まえながら、現代でも進化を続けるバウムクーヘンの魅力を再発見してみてください。

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