名称とは【食品表示における意味】
食品を販売するときに必ず表示しなければならない項目のひとつが「名称(めいしょう)」です。
この「名称」とは、その食品が何であるかを一言で伝えるためのものです。消費者がパッケージを見たとき、最初に目に入る情報であり、その食品の中身や特徴をイメージする手がかりになります。
名称の表示ルール
「名称」にはいくつかの決まりがあります。これは消費者が食品を正しく理解できるようにするためのルールです。
① 一般的な名称を使うこと
名称には、だれが見てもすぐに内容がわかる言葉を使います。例えば下記です。
これらはすべて、商品を見ただけで「何か」がわかるような一般的な名称です。
② 紛らわしい名称は使ってはいけない
食品の内容と合っていない名称をつけることはNGです。
たとえば、チョコレートがほんの少ししか使われていないのに「チョコレートケーキ」と表示すると、消費者は「チョコがたっぷり入っている」と思ってしまうかもしれません。これは誤認(ごにん)、つまり勘違いにつながります。
そのため、実際の成分や内容に基づいた正しい名称をつける必要があります。
名称表示の目的
名称表示はただの「名前」ではありません。いくつかの重要な目的があります。
・消費者の誤認を防ぐため
→ 実際の中身と違うイメージを与えないようにする。
・食品の成分や品質をわかりやすくするため
→ 表示を見るだけで、ある程度の内容が分かるようにする。
・法律を守り、安全で公正な取引を行うため
→ 表示ルールは法律で決められており、これを守ることが販売者の責任です。
特別な決まりがある食品の名称
食品の中には、さらに細かいルールが決められているものがあります。
「乳」や「乳製品」の場合
牛乳やヨーグルトなどの乳製品については、厚生労働省が出している「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(しょうれい)」というルールに従う必要があります。
この中で、「種類別」という表示が義務づけられています。例えば下記です。
- 牛乳(ぎゅうにゅう)
- 乳飲料(にゅういんりょう)
- 発酵乳(はっこうにゅう) ← プレーンヨーグルトなど
- 加工乳(かこうにゅう) ← 脂肪分やたんぱく質の量が調整されたもの
「ヨーグルト」とだけ書くのではなく、「発酵乳」や「乳飲料」など、法律で定められた正しい名称を表示します。
これは、成分や製造方法によって分類が決められているためです。
基準別表に記載された食品
食品表示法では、「基準別表第4」や「第5」という一覧表が用意されており、そこには「こういう食品には、こういう名称を使うこと」といった具体的なルールが書かれています。
基準別表第4に記載された食品
この表に載っている食品は、それぞれに個別の名称表示ルールが定められています。必ずそのルールに従って表示します。
基準別表第5に記載された食品
ここに載っている名称は、指定された食品だけに使える特別な名称です。ほかの食品に使ってはいけないと決められています。
たとえば「チョコレート」と名乗るには、カカオ分や糖分などの含有量が一定の基準を満たしていることが条件です。基準に足りないのに「チョコレート」と表示するのは違反です。
まとめ
「名称」は、食品の正体を消費者に伝えるとても重要な情報です。
- 中身と一致する「一般的な名前」を使う
- 誤解を招かないよう注意する
- 特定の食品には、法律で決められた名称を守る必要がある
正しい名称の表示は、消費者の信頼を守り、安全な食品を届けるための初歩です。
必ずルールを覚えておきましょう。