『食品関連事業者の氏名又は名称及び住所』と『製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称等』の食品表示方法|かんたんに説明

加工食品の食品表示ルール
食品パッケージには「責任を持つ事業者」の情報が必要
私たちが購入する食品には、その食品に責任を持つ事業者の情報が、パッケージなどに表示されています。これは食品表示法により定められているルールです。
表示が義務づけられている内容(一例)
| 事業者名 | 株式会社〇〇食品 |
|---|---|
| 事業者の所在地 | 東京都〇〇区〇〇町1-2-3 |
| 輸入品の場合 | 輸入業者の氏名・住所 |
| 製造所固有記号 | 製造所を特定できる記号(※任意) |
この表示により、消費者は以下のような情報を把握できます。
表示される理由とそのメリット
- どこで作られた食品かがわかる
- 万が一のトラブル時に、問い合わせ先が明確になる
- 行政による調査がスムーズになる
- 商品の信用性・安全性の確保につながる
たとえば、以下のようなケースでも役立ちます。
| アレルギー表示の間違い | 製造元に連絡し、速やかに対応を求められる |
|---|---|
| 異物混入が見つかった | 行政が製造者を特定し、原因を調査しやすくなる |
| 商品に不備があった | 消費者が返品や問い合わせを行いやすくなる |
このように、事業者の表示は「食品のトレーサビリティ(追跡可能性)」を支える重要な情報です。
食品がどこで、誰によって、どのように作られたかをたどることができる仕組みが、安全と信頼を守っているのです。
表示される名称は「責任のある立場」によって決まる
食品表示に記載される事業者の「肩書き」にはいくつかの種類があります。
どの表記が使われるかは、その事業者がどのような責任を担っているかによって決まります。
| 表示例 | 表示される立場 | どんな場合? |
|---|---|---|
| 製造者 | 製造業者 | 原材料を仕入れ、自ら加工・包装を行っている会社 |
| 加工者 | 加工業者 | 一次加工済みの材料を仕入れ、調理や包装などの工程を行っている会社 |
| 輸入者 | 輸入業者 | 海外から食品を輸入し、日本国内で販売する立場の会社 |
| 販売者 | 販売業者 | 実際に製造などをしていなくても、表示の責任を販売側が持つことに合意した場合 |
たとえば、製造業者が小売業者に「表示はそちらでお願いします」と合意すれば、「販売者:〇〇株式会社」と記載しても問題ありません。
ただし、その場合でもトレーサビリティが確保できる体制を整えておく必要があります。
どこで作られたのか? 住所や所在地も忘れずに
表示義務があるのは、氏名や名称だけではなく、所在地(住所)も必ず表示しなければなりません。
これにより消費者が実際に問い合わせたり、必要に応じて事業者を特定することが可能になります。
表示内容は、食品の製造形態によって下記のように変わります。
| 食品の種類 | 表示が必要な所在地 | 表示が必要な氏名・名称 | 例(表示のイメージ) |
|---|---|---|---|
| 国内製造品 | 製造所または加工所の所在地 | 製造者または加工者の氏名・名称 | 製造所:埼玉県川越市○○町1-2-3 製造者:株式会社〇〇食品 |
| 輸入食品 | 輸入業者の営業所の所在地 | 輸入業者の氏名・名称 | 輸入者所在地:東京都港区△△1-1-1 輸入者:株式会社インポートフーズ |
| 乳製品(例:牛乳) | 乳処理場の所在地 | 乳処理業者の氏名・名称 | 処理場:北海道札幌市中央区××1-2-3 処理業者:○○乳業株式会社 |
| 特別牛乳 | 特別牛乳搾取処理場の所在地 | 特別牛乳搾取処理業者の氏名・名称 | 処理場:長野県松本市□□町3-4-5 処理業者:特選ミルクファーム株式会社 |
※なお、事業者の氏名や住所と製造所の所在地が同じ場合は、重複を避けるために製造所の所在地は省略できます。
このように食品の種類に応じて、所在地と責任者名をセットで表示することが義務づけられています。
表示を見ることで、消費者は「誰が、どこで、この食品を扱ったのか」を知ることができます。
それが安心して商品を選ぶ手がかりとなり、万が一のトラブルにもすぐ対応できる体制につながります。
製造所固有記号とは?
食品によっては、同じ商品が複数の工場で作られていることがあります。
このような場合、すべての工場の住所を記載するのは現実的ではありません。
そのため、決められた条件のもとで「製造所固有記号」を使うことが認められています。
なお、記号を使う場合でも、製造所が特定できる体制(問い合わせ対応)を整えておく必要があります。
| 表示方法 | 「+記号と英数字」の組み合わせ(例:「+AB1」) |
|---|---|
| 記載例 | 製造者:○○株式会社 +AB1 |
| 使用の目的 | 複数の工場で製造される商品の製造所を簡略化して表示するため |
| 消費者対応 | 記号の意味(どの工場か)を問い合わせに応じて開示する義務がある |
製造所固有記号を使える理由
- 同じ商品が複数工場で作られている
- パッケージにすべての工場名を載せるのが現実的ではない
- 規定に従えば、記号での表示が認められている


まとめ
食品に表示される事業者情報は、ただの「会社名」や「住所」ではありません。
それは消費者にとって、「誰がこの食品に責任を持っているのか」を示す大事な情報です。
また、食品の安全管理やトラブル対応においても非常に重要な役割を果たします。
表示のルールを守ることは、消費者の信頼を得る第一歩です。
販売する側も製造する側も、こうした表示がどれほど大切かを理解し、正しく記載することが求められています。





