ロールケーキとは|定義・歴史・種類をわかりやすく解説

スーパーやコンビニで気軽に手に入るものから、専門店でしか味わえないこだわりの逸品まで、ロールケーキは日本人にとってなじみ深い洋菓子のひとつです。しかし「ロールケーキとは何か」と改めて問われると、意外に言葉に詰まる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ロールケーキの定義・基本的な構造・発祥の歴史・日本への伝来・バリエーションまでをひとつにまとめて解説します。
ロールケーキとは何か
ロールケーキの定義
ロールケーキは、薄く長方形に焼いたスポンジ生地にクリームやジャム・果物などを乗せ、渦巻き状に巻いたケーキです。完成すると円柱状になり、食べる際には適当な厚さに輪切りにして提供します。断面には美しい渦巻き模様が現れ、切り分けた瞬間の見た目の楽しさもこのお菓子ならではの魅力といえるでしょう。
生地にはプレーンのスポンジだけでなく、抹茶やきなこを練り込んだものも広く作られています。また、野菜を使った変わり種も存在し、アレンジの幅が広い点もロールケーキの特徴です。
ロールケーキという名前の意味
「ロールケーキ」という名称は、英語の「roll(巻く)」に由来します。生地を巻いて作るというシンプルな特徴が、そのままケーキの名前になったものです。
なお「スイスロール」という呼び名もよく耳にします。日本ではこの名称が山崎製パンの商品名として広まり、ロールケーキの代名詞として定着しました。
ロールケーキの歴史
発祥をめぐる複数の説
| 説の名称 | 内容の概要 |
|---|---|
| スイス・ルーラード説 | スイスの菓子「ルーラード」がイギリスへ伝わり、ケーキとして発展したとする説。ヴィクトリア女王がスイス旅行中に持ち帰ったともいわれる |
| スペイン・ジプシーの腕説 | スペインのカスティーリャ地方に伝わる「Brazo de Gitano(ジプシーの腕)」がロールケーキの原型になったとする説 |
| 中欧発祥説 | オーストリアやハンガリーで発達した巻き菓子が元になったとする説。スイスの影響を否定する立場もある |
ロールケーキの発祥については、現在もはっきりとした結論が出ていません。複数の説が並立している状況です。
「スイスロール」という名前から、スイス生まれの菓子とイメージされがちですが、スイス自身には「スイスロール」と呼ばれる菓子は存在しません。いずれの説が正しいかは断定できない状況ですが、スポンジを巻くという製法は19世紀のヨーロッパで広く親しまれていたことはわかっています。
1880〜90年代頃には、ヨーロッパの料理本に「スイスロール」という名称が記載されるようになりました。その後アメリカへ渡り「ジェリーロール」として広まり、再びヨーロッパで認知が高まるという変遷をたどっています。
日本とロールケーキの関係
16世紀のポルトガル経由での伝来
日本にロールケーキの原型が伝わったのは、16世紀半ばのことです。ポルトガルを経由して、果汁を加えたスポンジケーキを巻いた菓子が伝来したとされています。「カステラ巻き」とも呼ばれたこの菓子は長崎や京都などで作られるようになり、日本の食文化に静かに根付いていきました。
この伝来が後世の食文化に影響を与えた例として、おせち料理の定番「伊達巻」が挙げられます。ポルトガルのロールケーキ状の菓子をもとに考案されたと言われており、洋菓子が和食の伝統品に姿を変えた珍しい事例のひとつです。また、愛媛・松山の名物菓子「一六タルト」もカステラ生地に餡を巻いた和風ロールケーキとして誕生したもので、同様の背景を持ちます。
戦後の全国的な普及
第二次世界大戦以前にも日本でロールケーキ状の菓子は存在していましたが、全国的に広まったのは戦後のことです。1956年、山崎製パンの創業者・飯島藤十郎氏がイギリスのケーキ会社を視察した際に商品化を思い立ち、1958年頃から「スイスロール」の名で販売を開始しました。1964年には東京での大量生産ラインが完成し、山崎製パンの全国展開とともに日本中に浸透していきました。
スポンジの外側にクリームを飾るタイプのケーキとは異なり、ロールケーキはクリームを内側に巻き込む構造が菓子パンと同様の流通を可能にしました。これがスーパーやコンビニでの販売を後押しし、一般家庭のおやつとして定着する大きな要因になったと考えられています。
ロールケーキのバリエーション
日本でのスタイルの変化
初期の日本のロールケーキは、スポンジ生地でクリームやジャムを巻いたシンプルなものが主流でした。しかし時代とともに生地の風味や素材の使い方にこだわった商品が登場するようになり、スタイルは少しずつ多様化していきました。
2000年代に入ると、クリームをたっぷり入れた「ひと巻き」スタイルのロールケーキが大阪・堂島ロールの登場とともに一大ブームを巻き起こします。さらに2009年にはローソンが「プレミアムロールケーキ」を発売し、コンビニスイーツとしてのロールケーキに新たな注目が集まりました。
ロールケーキに似た世界各地の菓子
| 菓子名 | 出身地 | 特徴 |
|---|---|---|
| Brazo de Gitano(ジプシーの腕) | スペイン | 表面に焦がしカラメルを塗り、外側が褐色になるのが特徴 |
| ブッシュ・ド・ノエル | フランス | クリスマスの薪(丸太)を模した装飾が施されるクリスマス菓子 |
| マコヴィエツ | ポーランド | ケシの実をたっぷり使ったフィリングが特徴 |
| ジェリーロール | アメリカ | ジャムを使ったシンプルな巻き菓子 |
ロールケーキと同じ「巻く」という製法は、世界中でさまざまな形で発展しています。
フランスのクリスマス菓子「ブッシュ・ド・ノエル」はロールケーキを原型とする菓子で、日本でも冬の定番として親しまれています。
ロールケーキに関する記念日
6月6日「ロールケーキの日」
6月6日は「ロールケーキの日」として、一般社団法人・日本記念日協会に認定・登録されている記念日です。制定したのは、福岡県北九州市小倉でロールケーキによる町おこし活動を行う「小倉ロールケーキ研究会」(現:6月6日はロールケーキの日実行委員会)で、2005年のことです。
日付の由来は2点あります。ひとつはロールケーキの「ロ」が「6(ろく)」と読めることへの語呂合わせ、もうひとつはロールケーキの断面が数字の「6」の字に似ていることです。北九州市の小倉は古くからロールケーキを扱う洋菓子店が多い土地柄で、毎年6月には「ロールケーキフェスタ」も開催されています。
その他のロールケーキ関連の記念日
6月6日以外にも、ロールケーキにまつわる記念日がいくつかあります。
毎月6日は株式会社モンテールが制定した「手巻きロールケーキの日」
9月9日は同じくモンテール制定の「秋のロールケーキの日」
数字が持つ「6」「9」の丸みがロールケーキの断面に見えることが、共通した由来です。
まとめ
ロールケーキは、スポンジ生地にクリームや具材を巻いた円柱状のケーキです。発祥については諸説あり、19世紀のヨーロッパで広まった後、日本には16世紀にポルトガル経由で原型が伝来しました。戦後は山崎製パンのスイスロールを通じて全国へ普及し、現在ではコンビニから専門店まで多様なかたちで楽しまれています。
シンプルな構造だからこそアレンジの幅が広く、生地・クリーム・具材の組み合わせは無数に存在します。このライブラリでは、ロールケーキにまつわるさまざまなテーマを記事ごとに詳しく解説しています。関心のあるトピックからぜひ読み進めてみてください。




