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添加物とは?【食品表示における意味】
食品添加物とは、食品を「より安全に」「おいしく」「きれいに」仕上げるために使われる成分です。例えば、次のような目的で使用されます。
- 保存性を高める(例:腐りにくくする)
- 色を鮮やかにする(例:お菓子やジュースの色をきれいに)
- 味を整える(例:甘みやうまみを加える)
日本では、添加物を使うこと自体は法律で認められていますが、「何を・どれくらい・どんな目的で使っているか」を、消費者にしっかり伝えるルールが決められています。
添加物の種類と表示義務の有無
添加物にはいくつかの分類があり、それぞれ表示のルールが異なります。
種類 | 表示義務 | 説明 |
---|---|---|
栄養強化目的の添加物 | 表示 不要 | ビタミンやミネラルなど、体によい栄養を補う目的で入れるもの(例:カルシウム、ビタミンCなど) |
加工助剤(かこうじょざい) | 表示 不要 | 食品の加工中に使うが、最終的にはほとんど残らないもの(例:豆腐を作るときのにがりなど) |
キャリーオーバー | 表示 不要 | 原材料にすでに入っていた添加物が、製品にも微量残ってしまった場合(例:調味料の中の添加物が最終製品に残っている) |
上記以外の添加物 | 表示 必要 | もっとも一般的な添加物。使った量の多い順に表示が必要です(例:保存料、着色料、甘味料など) |
添加物の表示ルール(3つの基本)
1. 原材料とは別扱い
食品の表示ラベルには「原材料名」と「添加物」は分けて記載されます。
通常、「/(スラッシュ)」の後ろに添加物をまとめて書くことが多いです。
原材料名:小麦粉、卵、砂糖/膨張剤、香料
2. 表示の順番は使用量の多い順
添加物は、使った量が多いものから順に表示されます。
表示の方法には3パターンあります
- 物質名で表示:
→ 「膨張剤」「着色料」など、そのまま書く - 一括名で表示:
→ 「香料」「甘味料」など、まとめて書いてもOK - 用途名+物質名:
→ 効果もわかるように書く(例:甘味料(ステビア)、着色料(赤色102号))
3. 食品が「複数のパーツ」でできている場合
どら焼きのように、皮と中身(あん)など「部品」が分かれている食品では、それぞれのパーツごとに原材料・添加物を表示できます。
例1:構成ごとの表示
原材料名:皮(卵、小麦粉、砂糖)、つぶあん(砂糖、小豆、水あめ、寒天)/膨張剤
例2:すべて一括で表示
原材料名:砂糖、卵、小麦粉、小豆、水あめ、寒天/膨張剤
どちらも法律上は問題ありません。企業が分かりやすさを考えて、どちらかを選んでいます。
「無添加」表示に関するルール
「無添加」「○○不使用」という言葉は、とても安心感がありますよね。
しかし、使い方を間違えると、消費者に誤解を与えてしまうことがあります。
そこで、消費者庁は2022年(令和4年)に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を出しました。
表示で注意が必要な例
表示 | 問題点 |
---|---|
保存料不使用 | 他の保存効果のある添加物(例:pH調整剤)を使っている場合、保存料を使っていないだけで実質は同じ働きをしているので、消費者が勘違いしやすい。 |
保存料不使用(おにぎり) | もともと保存料をほとんど使わない食品に、あえて「不使用」と書くと「特別に安全」と思わせてしまう。 |
「不使用表示」は一律で禁止されているわけではない
「無添加」や「○○不使用」と書くこと自体は、必ずしも違反ではありません。
しかし、以下のような表現はNGです。
- 使っていない添加物の名前をあえて大きく表示し、「特別感」や「安全性」を強調する。
- もともと使われない食品に「不使用表示」をして、差別化を演出する。
- 他の添加物で同じ効果を得ているのに、「一部だけ不使用」と書く。
まとめ
- 添加物は、保存・色・味などを整えるために使われる成分です。
- 表示ルールは「使う目的」「使い方」によって異なります。
- 一般的な添加物は、重量順に/マークの後ろに表示されます。
- 「無添加」「不使用」表示は便利ですが、誤解を与えないようなルールが厳しく決められています。