抹茶の輸出はどのくらい増えた?世界的なブームと日本のお茶づくりの今をデータで読む
抹茶ラテや抹茶のスイーツは、いまや海外のカフェでも見かけるようになりました。日本から海外へ送り出されるお茶は、どのくらい増えているのでしょうか。この記事では、農林水産省の資料「茶をめぐる情勢」を中心に、野村證券が2026年6月に公表したレポート「抹茶需要の拡大と付加価値軸の変化」の見方もあわせて、抹茶を含む緑茶の輸出と、国内のお茶づくりの状況を整理します。
緑茶の輸出額の移り変わり
2025年の緑茶の輸出額は、前年のほぼ2倍に増えた

輸出額は2020年ごろから伸びが大きくなり、2025年は前年からほぼ倍増しました。2020年と比べると4倍を超える水準です。農林水産省は、健康志向や日本食への関心の高まりなどを背景に、抹茶を含む粉末茶の需要が広がったことを理由に挙げています。
※「緑茶」は財務省「貿易統計」の区分で、抹茶などの粉末状の緑茶と、それ以外の緑茶を合わせた値です。2026年1〜5月の輸出額は402億円でした。
参考:茶をめぐる情勢(令和8年7月)|農林水産省
輸出額の約8割は、抹茶を含む「粉末状の緑茶」
| 項目(2025年) | 粉末状の緑茶 | 緑茶の輸出全体 | 粉末状の緑茶の割合 |
|---|---|---|---|
| 輸出量 | 8,718トン | 1万2,612トン | 69% |
| 輸出額 | 603億8,400万円 | 720億9,400万円 | 84% |
量では7割ほどですが、金額では8割を超えました。1kgあたりの輸出単価は、粉末状の緑茶が6,927円で、それ以外の緑茶(3,007円)の約2.3倍です。同じ重さでも、抹茶などの粉末茶のほうが高い値段で取引されていることが分かります。
※粉末状の緑茶には、抹茶のほかに、粉末にした煎茶なども含まれる可能性があります。表の金額は、資料の「百万円」単位の値を書き換えたものです。
参考:茶をめぐる情勢(令和8年7月)|農林水産省
輸出先は、米国が全体の3割を超える
| 輸出先(2025年) | 輸出量に占める割合 |
|---|---|
| 米国 | 35% |
| ASEAN | 20% |
| EU・英国 | 19% |
| 台湾 | 13% |
| カナダ | 3% |
| その他 | 10% |
最大の輸出先は米国でした。野村證券のレポートは、輸出先の国や地域によって、求められるお茶の種類にも違いがあると指摘しています。
※割合は輸出量にもとづく値です。
参考:茶をめぐる情勢(令和8年7月)|農林水産省
参考:抹茶需要の拡大と付加価値軸の変化―日本の供給制約を踏まえた用途別戦略を考える―(NOMURA フード&アグリビジネス・レビュー Vol.52)|野村證券 フード&アグリビジネス・コンサルティング部
抹茶が広がる理由と使われ方
日本の文化への関心と健康のイメージが、抹茶を選ぶきっかけになっている
野村證券のレポートは、海外で抹茶が選ばれる背景として、日本の文化へのあこがれと健康志向の両方を挙げています。最近は抹茶ラテやお菓子、アイスなどの材料として使われる場面も増えており、材料として使う企業にとっては、品質がいつも同じであることや、安定して手に入ることも大切になっていると分析しました。
※リストと本文は、野村證券のレポートの見方を当サイトが短くまとめたものです。
参考:抹茶需要の拡大と付加価値軸の変化―日本の供給制約を踏まえた用途別戦略を考える―(NOMURA フード&アグリビジネス・レビュー Vol.52)|野村證券 フード&アグリビジネス・コンサルティング部
国内のお茶づくりの状況
抹茶の原料「てん茶」は、せん茶の約4.9倍の値段で取引されている
| 茶の種類 | 荒茶1kgあたりの価格(2025年) |
|---|---|
| てん茶(抹茶の原料) | 8,562円 |
| せん茶 | 1,746円 |
抹茶は、「てん茶」を茶臼などで細かい粉にしたものです。需要の高まりを受けて、てん茶の生産は2025年に2014年の約3.2倍まで増えました。野村證券のレポートによると、せん茶をやめててん茶をつくる産地も各地で増えています。
参考:茶をめぐる情勢(令和8年7月)|農林水産省
参考:抹茶需要の拡大と付加価値軸の変化―日本の供給制約を踏まえた用途別戦略を考える―(NOMURA フード&アグリビジネス・レビュー Vol.52)|野村證券 フード&アグリビジネス・コンサルティング部
てん茶の生産量は、鹿児島県が全国1位
| 項目 | 鹿児島県 | 京都府 | 静岡県 |
|---|---|---|---|
| 茶の栽培面積(2025年) | 8,040ha | 1,510ha | 1万1,600ha |
| てん茶の生産量の順位 | 1位 | 2位 | 3位 |
| 産地の特色 | 多様な品種構成 | 「玉露」と「てん茶」の生産が全国2位 | 「深蒸しせん茶」が主体 |
抹茶といえば京都・宇治を思い浮かべる方が多いかもしれません。鹿児島県は、2019年にはてん茶の生産量が京都府に次ぐ2位でしたが、その後に生産を大きく増やし、2024年からは1位になっています。荒茶全体の生産量でも、2025年は鹿児島県が3万トンで、静岡県の2万4,100トンを上回りました。
※鹿児島県がてん茶の生産量で1位になった時期は、野村證券のレポートによります。レポートは、京都と鹿児島はどちらが優れているかではなく、それぞれの強みを生かして役割を分け合えると見ています。
参考:茶をめぐる情勢(令和8年7月)|農林水産省
参考:作物統計調査 令和7年茶栽培面積(7月15日現在)|農林水産省
参考:令和7年産茶の摘採面積、生葉収穫量及び荒茶生産量(主産県)|農林水産省
参考:抹茶需要の拡大と付加価値軸の変化―日本の供給制約を踏まえた用途別戦略を考える―(NOMURA フード&アグリビジネス・レビュー Vol.52)|野村證券 フード&アグリビジネス・コンサルティング部
茶畑は減り続け、製茶業の廃業は過去最多に
| 項目 | 2025年の値 | 前年との比較 |
|---|---|---|
| 茶の栽培面積(全国) | 3万3,400ha | 1,700ha(5%)減少 |
| 製茶業の休廃業・解散 | 13件 | 前年の8件を上回り、過去最多 |
抹茶の原料が増えるいっぽうで、茶畑全体の面積は減っています。帝国データバンクによると、世界で需要が急に増えた抹茶向けの原料(てん茶)へ出荷が移る一方で、せん茶の供給は減り、せん茶の原料の値段が上がっています。抹茶以外のお茶の需要が落ち込んでいることも、製茶業の経営を苦しくしていると説明しました。
※休廃業・解散は、倒産とは別に集計されています。野村證券のレポートは、国内の生産が足りない分を海外産の緑茶が補う場面が増える可能性にもふれています。
参考:作物統計調査 令和7年茶栽培面積(7月15日現在)|農林水産省
参考:「製茶業」の倒産・休廃業解散動向(2025年)|帝国データバンク
参考:抹茶需要の拡大と付加価値軸の変化―日本の供給制約を踏まえた用途別戦略を考える―(NOMURA フード&アグリビジネス・レビュー Vol.52)|野村證券 フード&アグリビジネス・コンサルティング部
これからの抹茶
レポートは、用途ごとに合った売り方と安定した供給が大切だとまとめている
- 茶道や高級なお菓子向け:産地や伝統の価値を生かす
- ラテやお菓子などの材料向け:品質の安定や量、認証への対応も求められる
野村證券のレポートは、世界の抹茶市場はこれからも広がると見込む一方で、中国やベトナムなど近くの国でも緑茶の生産や輸出が増えていると指摘しています。そのうえで、抹茶をひとくくりに売るのではなく、用途ごとに求められる品質や条件に合わせて提案することが大切だとまとめました。海外では、有機栽培の抹茶への関心も高まっているとしています。
※リストと本文は、野村證券のレポートの見方を当サイトが短くまとめたものです。世界の市場の見通しは、レポートが引用した海外の市場調査によるもので、当サイトは元の調査を確認できていません。
参考:抹茶需要の拡大と付加価値軸の変化―日本の供給制約を踏まえた用途別戦略を考える―(NOMURA フード&アグリビジネス・レビュー Vol.52)|野村證券 フード&アグリビジネス・コンサルティング部
データを読むときに気をつけたい3つの点
まとめ
この記事で使った資料
資料の一覧と、数字の数え方を見る
| 資料名 | 茶をめぐる情勢 |
|---|---|
| 発信元 | 農林水産省 |
| 公表日 | 2026年7月(作成) |
| 集計の対象 | 緑茶の輸出額・輸出量・輸出先(財務省「貿易統計」)、てん茶の生産、茶の価格など |
| 集計の単位 | 年ごとの金額(億円)、量(トン)、割合、価格(円/kg) |
| 資料名 | 抹茶需要の拡大と付加価値軸の変化―日本の供給制約を踏まえた用途別戦略を考える―(NOMURA フード&アグリビジネス・レビュー Vol.52) |
|---|---|
| 発信元 | 野村證券株式会社 フード&アグリビジネス・コンサルティング部 |
| 公表日 | 2026年6月26日 |
| 集計の対象 | 抹茶の需要の変化と、国内の供給の状況についての分析(この記事では、見方の要点を紹介) |
| 集計の単位 | ― |
| 資料名 | 作物統計調査 令和7年茶栽培面積/令和7年産茶の摘採面積、生葉収穫量及び荒茶生産量(主産県) |
|---|---|
| 発信元 | 農林水産省 |
| 公表日 | 2025年10月14日/2026年2月20日 |
| 集計の対象 | 茶の栽培面積(2025年7月15日時点)と、主産県の荒茶生産量 |
| 集計の単位 | 面積(ha)、生産量(トン) |
| 資料名 | 「製茶業」の倒産・休廃業解散動向(2025年) |
|---|---|
| 発信元 | 株式会社帝国データバンク |
| 公表日 | 2026年3月6日 |
| 集計の対象 | 製茶業者の倒産と休廃業・解散 |
| 集計の単位 | 年ごとの件数 |
緑茶の輸出額は、財務省「貿易統計」をもとに農林水産省がまとめた値です。グラフの2016〜2025年の値は、「茶をめぐる情勢」の輸出実績のグラフに書かれた数値を使っています。

