オランダ菓子とは|ストロープワッフルとドーナツの源流を深掘り

オランダ菓子とは、オランダで生まれ、親しまれてきたお菓子の総称です。キャラメルをはさんだストロープワッフル、年越しに食べる揚げ菓子オリボーレン、ひとくちサイズのパンケーキ「ポッフェルチェス」など、素朴で家庭的なお菓子が中心です。じつは、いま世界中で食べられているドーナツの源流もオランダにあるとされ、パンに”お菓子”をかけて食べる独特の朝食文化もあります。このページでは、オランダを代表するお菓子を、その誕生の背景まで掘り下げて紹介します。
ストロープワッフル|ゴーダのパン屋が生んだ名物
残り物から生まれた「ゴーダのワッフル」
ストロープワッフルは、薄く焼いた2枚のワッフル生地の間に、キャラメルシロップ(ストロープ)をはさんだお菓子です。「ストロープ(シロップ)」と「ワッフル」を合わせたこの名前は、1810年に記録に登場します。誕生の地は、チーズで有名なオランダの街ゴーダ。パン職人のヘラルド・カンプハウゼンが売り出したものとされ、開発は18世紀後半までさかのぼるという説もあります。
面白いのは、これがパン屋の残り物の材料で作った「安いお菓子」として広まったこと。当初は「ゴーダのワッフル」と呼ばれ、庶民のおやつとして愛されました。素朴な出自を持つお菓子が、いまやオランダを代表する銘菓になっているのです。
コーヒーの上で温める食べ方
本場ならではの楽しみ方が、温かいコーヒーや紅茶のカップの上にしばらくのせること。カップから立ちのぼる湯気で中のシロップがとろりと溶け、生地もやわらかくなって、いっそうおいしくなります。ちょっとした知恵が効いた、オランダらしい味わい方です。
オリボーレン|ドーナツの祖先
大晦日の縁起菓子
オリボーレンは、生地を丸めて揚げ、粉砂糖をふりかけたオランダの揚げ菓子です。名前は「油(オリ)のボール」を意味します。レーズンなどを入れることも多く、とくに大晦日から新年にかけて食べる縁起物として親しまれています。年の変わり目に揚げたてを頬張り、新しい年を迎える——オランダの冬の風物詩です。
ドーナツの源流
このオリボーレンのような、油で揚げる丸い生地菓子が、後のドーナツの原型になったとされています。オランダからアメリカへ渡った移民たちがこの菓子を伝え、やがて真ん中に穴のあいた現在のドーナツへと発展していきました。世界中で愛されるドーナツの歴史は、意外にもオランダの揚げ菓子から始まっているのです。
ポッフェルチェス|ひとくちのふわふわパンケーキ
ポッフェルチェスは、丸いくぼみがたくさん並んだ専用の鉄板で焼く、ひとくちサイズのふわふわパンケーキです。焼きたてにバターと粉砂糖をたっぷりかけて食べるのが定番で、マーケットやお祭りの人気者。ころんと小さくてかわいらしい見た目と、外はカリッ・中はふわっの食感が魅力です。屋台で焼きあがるのを眺めるのも、楽しみのひとつです。
ドロップ|オランダ人が世界一愛するリコリス菓子
オランダのお菓子を語るなら、「ドロップ(drop)」を外せません。これは、リコリス(甘草)で作る真っ黒なグミのような菓子で、オランダ人は世界一のリコリス消費国として知られています。甘いタイプもありますが、名物は塩気の強い「ザウテ・ドロップ(塩リコリス)」。強烈な塩味と独特の風味は、初めての人には衝撃的ですが、オランダの人々にとっては子どもの頃から親しんだソウルフードです。スーパーには色も形もさまざまなドロップがずらりと並びます。
パンにかけるお菓子|ハーゲルスラッハ
オランダには、「ハーゲルスラッハ(hagelslag)」という、チョコレートやカラフルな砂糖のスプレー(つぶつぶ)があります。驚くのはその食べ方——バターを塗ったパンの上に、これをたっぷりふりかけて食べるのです。しかも、子どものおやつではなく、大人も日常的に食べる朝食の定番。パンにお菓子をかけて食べるという、オランダならではのユニークな食文化です。誕生を祝う日には、特別なピンクや青のハーゲルスラッハを用意する習わしもあります。
まとめ
オランダ菓子は、ゴーダの残り物から生まれたストロープワッフルや、ドーナツの祖であるオリボーレンなど、素朴で家庭的なお菓子の一族です。世界一のリコリス好きが生んだドロップや、パンにかけるハーゲルスラッハなど、独特の食文化も見どころ。お菓子の歴史と、暮らしの工夫が詰まった国です。
ドーナツの発祥の物語は、本文中の個別記事で詳しく紹介しています。
