冷凍食品の調査から見えたお菓子の動き|値上げで最初に減らされ、それでも選ばれ続けるもの

日本冷凍食品協会が2026年4月に「「冷凍食品」の利用状況と利用意識調査(2026年)」を公表しました。冷凍食品の利用実態を調べたものですが、値上げによる購買行動の変化も対象に含まれており、そのなかに菓子・スイーツ・デザートに関する数字がいくつも含まれています。
読み進めると、2つの対照的な姿が浮かび上がりました。ひとつは、値上げのなかで真っ先に買う量を減らされる存在としてのスナック菓子。もうひとつは、他の食品とはまったく違う理由で選ばれている冷凍デザートです。ここでは調査結果から、お菓子に関わる動向を5つに整理して紹介します。
この記事で読み解く資料
- 「冷凍食品」の利用状況と利用意識調査(2026年)日本冷凍食品協会|2026年4月9日公表
この調査はどういうものでしょうか
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- 「冷凍食品」の利用状況と利用意識調査(2026年)日本冷凍食品協会|2026年4月9日公表
対象は「冷凍食品を月1回以上使う人」です
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施時期 | 2026年2月14日〜15日 |
| 調査手法 | インターネット調査 |
| 調査対象 | 普段から冷凍食品を月1回以上利用している20歳以上の男女1,500人(男女各750人) |
| 公表日 | 2026年4月9日 |
ここで押さえておきたいのが、調査対象の絞り方です。回答者は全員、冷凍食品を月1回以上使っている人。値上げに関する設問も同じ1,500人が答えています。つまり消費者全体の平均ではなく、冷凍食品を使う層の傾向として読む必要があるでしょう。
菓子・スイーツに関わる設問は3種類あります
- 値上げによって購入量が減った・増えた食品(スナック菓子を含む14品目)
- 冷凍食品を購入する目的(デザートを含む10項目)
- 1年前と比べて利用が増えた冷凍食品(菓子類・冷凍果実を含む21メニュー)
この3つを追いかけると、お菓子がどう買われているかが見えてきます。
アイスクリームは選択肢に入っていません
「1年前と比べて利用が増えた冷凍食品」として提示された21のメニューに、アイスクリームは含まれていません。冷凍のデザートに関わる選択肢は「菓子類(今川焼き、パンケーキなど)」と「冷凍果実」の2つだけです。
つまり日本冷凍食品協会の調査からは、アイスクリームの動きは読み取れません。アイスについては日本アイスクリーム協会が別途「アイスクリーム白書」を公表しており、そちらはアイスクリーム白書2025の記事で取り上げました。
動向1:値上げで購入量が最も減ったのはスナック菓子でした

女性は13.1%、男性は9.5%が「減った」と回答しました
14品目のうち、購入量が「減った」と答えた割合が最も高かったのは、女性ではスナック菓子の13.1%でした。果物(11.6%)、米(10.7%)がこれに続きます。男性では米の12.3%が最多で、スナック菓子の9.5%が2番目でした。
主食である米や、生鮮品である果物と並んで、あるいはそれを上回って、スナック菓子が削られた形です。
減らした人は3〜4割ほど減らしています
「減った」と答えた人に、どのくらい減らしたかを聞いた結果も公表されています。
| 品目 | 女性の減少幅(平均) | 男性の減少幅(平均) |
|---|---|---|
| スナック菓子 | 3.7割 | 4.3割 |
| 果物 | 4.1割 | 4.9割 |
| 米 | 3.5割 | 3.9割 |
| 冷凍食品 | 3.7割 | 2.3割 |
減らすと決めた人は、半分近くまで落としているケースもあることが読み取れます。
「7割はほとんど変わらない」という読み方もできます
いっぽうで、スナック菓子の購入量が「ほとんど変わらない」と答えた人は女性67.3%、男性66.3%でした。減らした人は1割前後にとどまります。
嗜好品だから真っ先に削られる。けれども多数派は買う量を変えていない。この2つが同時に起きているのが2026年初頭の状況といえるでしょう。
動向2:買い続ける理由が他の食品と逆でした

購入量が変わらない、または増えたと答えた人に、その理由を聞いた設問があります。ここでスナック菓子だけが、他の13品目とはっきり違う結果を示しました。
「必要性が変わらない」は14品目で最も低い数字です
| 品目 | 「値上げ後も必要性が変わらないため」(女性) |
|---|---|
| 野菜 | 55.9% |
| 精肉 | 53.6% |
| 卵 | 53.4% |
| 鮮魚 | 51.5% |
| 米 | 49.7% |
| 冷凍食品 | 43.2% |
| スナック菓子 | 34.1% |
多くの食品では「必要だから買い続ける」が5割前後を占めます。ところがスナック菓子は34.1%で、14品目のなかで最も低い水準でした。男性でも31.7%と、やはり14品目で最下位です。
かわりに「好きなものだから」が突出しています
スナック菓子の32.2%は14品目で最も高く、2位のパンに9ポイント近い差をつけました。男性でも18.1%で最高値です。
「必要だから」ではなく「好きだから」買われています
同じ「買い続ける」でも、野菜や卵とスナック菓子では動機がまるで違います。前者は生活に要るから、後者は好きだから。
この構図は、値上げに対する強さと弱さの両方を説明してくれます。必要性で支えられていないぶん、家計が苦しくなれば最初に削られる。けれども好きで買っている人は、値上がりしても買い続ける。動向1で見た「1割は大きく減らし、7割は変えない」という分かれ方は、ここに理由があるのではないでしょうか。
動向3:冷凍デザートは「時短」ではなく「おいしさ」で選ばれています

冷凍食品を何のために買うかによって、感じている魅力は変わります。目的別に「おいしい」を挙げた割合を見ると、デザートが際立っていました。
デザート目的では女性70.4%、男性69.2%が「おいしい」を挙げました
| 使用目的 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| デザート | 70.4% | 69.2% |
| 間食・夜食 | 56.3% | 63.5% |
| 自宅で食べる夕食 | 40.7% | 45.7% |
| 自宅で食べる昼食 | 42.8% | 43.3% |
| お弁当用 | 38.5% | 45.6% |
| 料理に使う素材として | 19.8% | 27.1% |
夕食用や弁当用では4割前後にとどまる「おいしい」が、デザート用では7割に達しました。間食・夜食もこれに次ぐ水準です。お菓子として食べる用途では、味そのものが決め手になっていることがうかがえます。
夕食用と比べると理由が入れ替わります

| 魅力 | デザート用(女性) | 夕食用(女性) |
|---|---|---|
| おいしい | 70.4% | 40.7% |
| 調理の手間が省ける | 15.5% | 47.0% |
| 調理時間が短縮できる | 14.1% | 34.5% |
| 自然解凍で使える | 15.5% | 1.8% |
| 自分で作るのは難しい | 11.3% | 7.6% |
| 品数が足りない時に便利 | 1.4% | 18.3% |
同じ冷凍食品でも、夕食用では「手間が省ける」が47.0%で首位に立ちます。デザート用ではそれが15.5%まで下がり、かわりに「おいしい」が最上位へ。時短のために買うものと、おいしいから買うものが、はっきり分かれました。
「自分で作るのは難しい」も相対的に高めです
デザート用では「自分で作るのは難しい」が女性11.3%、男性15.4%でした。夕食用の7.6%/11.9%と比べると高い水準です。ケーキやプリンのように、家庭でつくるにはハードルがある品目が含まれているためと考えられます。
「自然解凍で使える」はデザートが最も高い数字でした
もうひとつ目を引くのが「自然解凍で使える」です。デザート用では女性15.5%、男性12.8%が挙げており、これは9つの使用目的のなかで最も高い割合でした。夕食用ではわずか1.8%です。
冷凍庫から出して置いておくだけで食べられる。調理という工程を挟まないぶん、この点が評価されやすいのでしょう。
動向4:冷凍果実の伸びが目立ちます

1年前と比べて利用頻度が増えた冷凍食品を21メニューから選んでもらう設問には、菓子類(今川焼き、パンケーキなど)と冷凍果実が含まれています。
冷凍果実は女性12.7%、男性10.3%まで上がりました
| 年 | 冷凍果実・女性 | 冷凍果実・男性 | 菓子類・女性 | 菓子類・男性 |
|---|---|---|---|---|
| 2022年 | 9.9% | 6.4% | 10.2% | 10.1% |
| 2023年 | 8.6% | 8.2% | 9.9% | 10.7% |
| 2024年 | 8.8% | 7.5% | 12.3% | 13.4% |
| 2025年 | 12.6% | 6.9% | 12.3% | 10.2% |
| 2026年 | 12.7% | 10.3% | 12.1% | 11.9% |
冷凍果実は、女性で2024年の8.8%から2025年に12.6%へ跳ね上がり、その水準を保ちました。男性は2026年に6.9%から10.3%へ上がっています。5年前と比べると、女性で2.8ポイント、男性で3.9ポイントの上昇です。
菓子類は横ばい圏で推移しています
菓子類(今川焼き、パンケーキなど)は、女性が12%前後、男性が10〜13%の範囲で動いており、はっきりした方向は読み取れません。冷凍果実のような伸びは見られない、というのが現状でしょう。
果物の購入減と重ねると見え方が変わります
動向1で触れたとおり、値上げによって購入量が減った食品として、女性では果物が11.6%で2番目に挙がっていました。減らした人の平均は4.1割減です。
生の果物を買う量が減る一方で、冷凍果実の利用は増えている。この2つを並べると、置き換えが起きている可能性が浮かびます。ただし調査はその因果までは尋ねていないため、あくまで推測の域を出ません。
動向5:デザート目的での購入は女性で5年間の最高水準です

| 年 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 2022年 | 8.5% | 3.8% |
| 2023年 | 7.5% | 5.1% |
| 2024年 | 8.3% | 5.3% |
| 2025年 | 9.1% | 7.0% |
| 2026年 | 9.5% | 5.2% |
女性は3年続けて上昇しました
冷凍食品を買う目的として「デザート」を挙げた女性は9.5%で、公表されている5年間で最も高い数字です。2023年の7.5%を底に、3年続けて上がりました。
男性は前年から下がっています
男性は2025年に7.0%まで伸びたあと、2026年は5.2%へ下がりました。ただし2022年の3.8%と比べれば高い水準にあります。なお2026年から調査対象に20〜24歳が加わり、サンプル数が男女各625人から750人へ増えているため、前年との比較には幅を持たせて見たほうがよさそうです。
年齢による違いもあります
デザート目的の割合を年齢別に見ると、女性では45〜54歳と65歳以上がともに11.2%で高く、35〜44歳は6.4%にとどまりました。一方「間食・夜食」は20〜24歳が24.0%と若い層ほど高くなっています。
同じ甘いものでも、デザートとして買う層と間食として買う層では、年齢の重心が違うようです。
他の統計と突き合わせるとどうでしょうか
「減らした」と「出荷は横ばい」は矛盾しません
日本スナック・シリアルフーズ協会の統計では、2025年のスナック菓子の出荷数量は27万1,033トンで前年比100.1%、ほぼ横ばいでした。今回の調査で「購入量が減った」と答えた人が1割前後いたことと、一見すると食い違って見えます。
ただ、動向1で確認したとおり、「ほとんど変わらない」と答えた人は7割近くを占めました。減らした人が1割、変えない人が7割という構成なら、全体の出荷数量が横ばいになるのは自然な帰結でしょう。
家計調査とも方向は重なります
全日本菓子協会が公表した資料によると、2025年の1世帯当たりの菓子支出金額は名目で5.9%増だった一方、物価変動の影響を除いた実質では2.8%減でした。支出額は増えているのに、買えた量は減っている構図です。
今回の消費者調査が示した「値上げでスナック菓子を減らした」という回答は、この実質マイナスと同じ方向を指しています。集計の仕方も対象もまったく異なる調査が、似た絵を描いた形です。
菓子市場全体の動きについては2025年のお菓子市場を統計で読み解く記事で、スナック菓子の出荷データについてはスナック菓子の出荷データの記事で、それぞれ詳しく取り上げました。
読むときに気をつけたい3つの点
回答者は冷凍食品のユーザーに限られます
冒頭で触れたとおり、日本冷凍食品協会の調査の回答者は、全員が冷凍食品を月1回以上使う人です。値上げに関する設問も同じ層が答えています。消費者全体の平均ではない、という前提は外せません。
サンプル数が年によって違います
2025年までは25歳以上の男女計1,250人、2026年からは20歳以上の男女計1,500人が対象です。協会も時系列比較はこの異なるサンプル数で行っていると明記しています。年ごとの小さな増減を読み込みすぎないほうがよいでしょう。
「デザート」の中身は定義されていません
購入目的の選択肢にある「デザート」が具体的に何を指すのかは、資料に説明がありません。アイスクリームなのか、ケーキなのか、ゼリーなのかは回答者の解釈に委ねられています。数字の動きは追えても、どの商品が動いたかまでは分からない点に注意が必要です。
まとめ|冷凍食品の調査から見えたお菓子の姿
今回の調査から読み取れる動向を、あらためて整理しました。
- 値上げで購入量が「減った」割合は、女性でスナック菓子が13.1%と14品目中で最も高かった
- 減らした人の平均は女性3.7割、男性4.3割。ただし7割近くは「ほとんど変わらない」と答えている
- スナック菓子を買い続ける理由は「必要性が変わらない」が14品目で最も低く、「好きなものだから」が最も高い
- デザート目的では「おいしい」を挙げた人が7割に達し、「調理の手間が省ける」は15.5%にとどまった
- 「自然解凍で使える」はデザート用が9つの目的中で最も高い
- 冷凍果実の利用増加は5年で女性2.8ポイント、男性3.9ポイント上昇した
- デザート目的での購入は、女性で5年間の最高水準となる9.5%
必要だから買われるのではなく、好きだから買われる。おいしいから選ばれる。冷凍食品という切り口の調査でありながら、お菓子という商品の性格がはっきり表れた結果になりました。
値上げに弱く、それでも手放されない。この二面性が、いま菓子に起きていることを言い当てているのかもしれませんね。