韓国菓子とは|韓菓の伝統から屋台・K-スイーツまで一品ずつ解説

韓国菓子とは、韓国で生まれ、親しまれてきたお菓子の総称です。米を主食としてきた朝鮮半島では、米や蜂蜜を使った伝統菓子「韓菓(ハングァ)」が、婚礼や祖先供養、名節(旧正月や秋夕)に欠かせないものとして発達しました。その一方で、いまの韓国は、SNSを通じて世界の流行を動かすスイーツ大国でもあります。しかも近年は、伝統菓子の薬菓(ヤックァ)が若者の間で再ブームになるなど、「古さ」と「新しさ」が混じり合うのが韓国菓子の面白さです。このページでは、伝統・屋台・トレンドの三つの顔から、韓国菓子を一品ずつ掘り下げて紹介します。
| 意味 | 韓国生まれのお菓子の総称 |
|---|---|
| 伝統菓子 | 韓菓(ハングァ)=薬菓・花煎・江米(カンジョン)など |
| 屋台のスイーツ | ホットク、プンオパン、パッピンス |
| トレンド菓子 | センイルケーキ、トゥンカロン、クロッフル、トゥンワッフル |
| 特徴 | 名節・儀礼と結びついた伝統と、SNS発の発信力の両立 |
韓菓(ハングァ)|米の国の伝統菓子
韓国の伝統菓子は、まとめて「韓菓(ハングァ)」と呼ばれます。米を主食としてきた朝鮮半島で、米粉や蜂蜜、ごま油などを使って発達したお菓子で、婚礼や祖先供養、旧正月(ソルラル)や秋夕(チュソク)といった名節には欠かせない存在でした。単なるおやつではなく、儀礼や祈りと結びついた「ハレの日のお菓子」だったのです。
薬菓(ヤックァ)|高麗時代から続く揚げ菓子
韓菓を代表するのが、薬菓(ヤックァ)です。小麦粉にごま油・蜂蜜・酒などを混ぜた生地を油で揚げ、甘い蜜に浸して仕上げます。その歴史は古く、高麗時代から伝わるとされ、重要無形文化財に指定された伝統製法も残っています。「薬」の字が付くのは、蜂蜜やごま油が薬のように体に良いと考えられていたことに由来します。
面白いのは、この古い伝統菓子が近年、若者の間で大ブームになっていることです。古いものを新しく楽しむ「ニュートロ(ニュー+レトロ)」の流行や、韓屋(ハノク)をリノベーションしたカフェの人気、そしてモッパン(食べる動画)の拡散を追い風に、2020年頃から薬菓が再び脚光を浴びました。伝統が最先端になる——韓国らしい現象です。
花煎(ファジョン)|花を焼く春の餅菓子
花煎(ファジョン)は、もち米の粉で作った生地に食用の花びらをのせて焼いた、韓菓の一種です。韓国語で「ファ(花)」と「ジョン(焼いたもの)」を合わせた言葉で、春にはツツジ(チンダルレ)の花がよく使われます。旧暦3月3日の節句に、野山へ出て花を摘み、その場で焼いて味わう「花煎遊び(ファジョンノリ)」という風習と結びついてきました。新羅時代から続くとされる、自然を愛でる風流な行事です。
屋台とカフェのスイーツ
ホットク|冬の屋台の甘いおやき
ホットクは、小麦粉やもち粉の生地に黒糖・シナモン・ナッツを包んで、鉄板で押し焼きにした屋台のおやつです。かじると中からとろりと甘い黒糖蜜があふれ出す、寒い冬の風物詩。街角の屋台から立ちのぼる甘い香りは、韓国の冬の情景そのものです。
プンオパン|韓国版のたい焼き
プンオパン(붕어빵)は、フナの形の焼き型で作る、あんこ入りの焼き菓子です。「プノ(フナ)」+「パン(パン)」で、直訳すると「フナパン」。日本のたい焼きが韓国に伝わって根づいたものとされ、こちらも冬の屋台の定番です。魚の形も、あんこの甘さも、どこか懐かしい——日本と韓国の食文化のつながりを感じさせるお菓子です。
パッピンス|韓国式のあずきかき氷
パッピンス(팥빙수)は、削った氷に甘く煮たあずき(パッ)や餅、練乳をのせた韓国式のかき氷です。「パッ(あずき)」+「ピンス(氷水)」が名の由来。近年はフルーツや、ミルクを凍らせて削る「ソルビン(雪氷)」など、進化系が続々と登場し、夏のカフェの主役になっています。
SNSが生んだK-スイーツ
センイルケーキ|誕生日を祝うレタリングケーキ
「センイル(생일)」は韓国語で「誕生日」を意味します。センイルケーキは、パステルカラーのクリームでシンプルに仕上げ、表面にメッセージやイラストを描く「レタリングケーキ」のスタイルが特徴の、韓国式の誕生日ケーキです。余白を生かしたミニマルなデザインが人気を集めました。
背景には、韓国ならではの誕生日文化があります。韓国では誕生日に、ケーキとともに「わかめスープ」を飲む習慣があります。これは、出産した母親がわかめスープで体を癒す風習に由来し、「産んでくれた母への感謝」を込める意味があるとされます。日本ではSNS映えするおしゃれなケーキとして広まりましたが、その根には家族を思う温かな文化があるのです。
トゥンカロン|太っちょマカロン
トゥンカロンは、フランスのマカロンを韓国風にアレンジした、クリームたっぷりの厚いマカロンです。「トゥン(뚱)」は韓国語で「太った」を意味し、ぷっくり分厚い見た目からこの名が付きました。本場フランスの上品な薄さとは対照的に、はさむクリームは段違いに多く、キャラクターやフルーツで豪華に飾り付けます。味だけでなく、見た目の楽しさで勝負するのが韓国流です。
クロッフル・トゥンワッフル・スムージーボンボン
クロッフルは、クロワッサンの生地をワッフルメーカーで焼いたハイブリッド菓子。外はカリッ、中はバター香る層状で、アイスやフルーツをのせてカフェデザートにするのが定番です。ほかにも、クリームをたっぷり挟んだ「トゥンワッフル」、凍らせたスムージーを重ねた「スムージーボンボン」など、韓国のカフェは次々と新しいスイーツを生み出しています。「かわいい」と「新しい」を追い求める姿勢こそ、K-スイーツの原動力です。
まとめ
韓国菓子は、名節や儀礼に根ざした韓菓(ハングァ)の伝統、冬の屋台のホットクやプンオパン、そしてSNSで世界を動かすK-スイーツが同居する、奥行きのある世界です。しかも薬菓の再ブームのように、古い伝統が最先端としてよみがえるダイナミズムも持っています。誕生日にわかめスープを添える文化のように、華やかさの奥には家族や自然を思う温かな心が息づいています。
それぞれのお菓子の詳しい由来は、本文中の個別記事でさらに紹介しています。



