シャトレーゼとは|4坪の甘太郎から「ぶどうの城」へ【安さの仕組み】

シャトレーゼとは、山梨県甲府市に本社を置く菓子メーカー・スイーツチェーンです。ケーキ、アイス、和菓子、パン、さらには糖質カットスイーツまで、「おいしいのに手頃」な品ぞろえで全国に店舗を広げています。その原点は、1954年に甲府に生まれた、わずか4坪の焼き菓子店「甘太郎」。行列のできる今川焼から始まった小さな店が、なぜ日本を代表するスイーツチェーンになれたのか——このページでは、シャトレーゼの歩みと、安さとおいしさを両立させる仕組みを掘り下げて紹介します。
シャトレーゼの基本情報
| 会社名 | 株式会社シャトレーゼ |
|---|---|
| 創業 | 1954年(昭和29年)12月20日(甲府の焼菓子店「甘太郎」) |
| 設立 | 2010年4月1日(ホールディングス体制への移行にともなう事業会社として) |
| 創業者 | 齊藤寛(1934〜2024) |
| 代表者 | 代表取締役社長 古屋勇治 |
| 本社所在地 | 山梨県甲府市下曽根町3440-1 |
| 資本金 | 5,000万円 |
| 従業員数 | 単体2,700名(2026年3月期時点) |
| 事業内容 | 洋菓子、和菓子、アイスクリーム、パン、飲料の製造・販売およびFC店の全国展開 |
| 社名の意味 | シャトー(城)+レザン(ぶどう)=「ぶどうの城」 |
現在は持株会社「シャトレーゼホールディングス」(代表取締役社長・齊藤貴子、資本金7,000万円、連結4,450名)のもとに、菓子の事業会社シャトレーゼが置かれる体制です。グループはワイン・日本酒やホテル、ゴルフ事業まで手がけています。創業者の齊藤寛氏は、2024年8月に逝去されました。甘太郎から70年、その理念はグループ全体に受け継がれています。
参考:会社概要|シャトレーゼ
シャトレーゼの歩み|4坪の「甘太郎」から
行列を生んだ今川焼(1954年)
シャトレーゼの物語は、1954年(昭和29年)、甲府に開いた焼き菓子店「甘太郎」から始まります。当時はまだ砂糖が統制され、人工甘味料のお菓子が出回っていた時代。そんな中で甘太郎は、本物の砂糖と北海道産の小豆を使った今川焼風のお菓子を実演販売し、店頭に二重三重の行列ができるほどの人気を呼びました。「おいしいものを、お値打ちで」——創業のこの精神は、いまのシャトレーゼにそのまま受け継がれています。
「ぶどうの城」の誕生(1967年)
創業者の齊藤寛は、1964年に故郷・勝沼(現在の甲州市)でアイスクリームの「大和アイス株式会社」を設立します。そして1967年、甘太郎と大和アイスを合併して生まれたのが「株式会社シャトレーゼ」。社名は、フランス語のシャトー(城)とレザン(ぶどう)を組み合わせた造語で、「ぶどうの城」を意味します。ぶどうの名産地・山梨への誇りが込められた名前です。
参考:沿革|シャトレーゼ
シャトレーゼのあゆみ年表
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1954年 | 甲府に焼菓子店「甘太郎」を開店(創業) |
| 1964年 | 齊藤寛が勝沼に大和アイス株式会社を設立 |
| 1967年 | 甘太郎と大和アイスを合併し、「株式会社シャトレーゼ」が誕生 |
| 2010年 | ホールディングス体制へ移行。事業会社の株式会社シャトレーゼを設立 |
| 2024年 | 国内外あわせて1,000店舗を達成(同社発表)。創業者・齊藤寛氏が逝去 |
4坪の焼き菓子店から、70年で1,000店舗へ。数字で追うと、その歩みの大きさがいっそう実感できるのではないでしょうか。
安くておいしい仕組み|ファームファクトリー構想
シャトレーゼの持ち味は、「この品質でこの値段?」という驚きです。それを支えるのが「ファームファクトリー構想」。契約農家から新鮮な卵や牛乳、果物を直接仕入れ、山梨の自社工場(南アルプスの名水で知られる白州など)でお菓子に仕上げ、全国の自社チェーンで直接販売します。問屋や小売を挟まないぶん中間コストが抑えられ、素材に妥協せずに手頃な価格を実現できるのです。
百貨店ではなく郊外に店を構える戦略も独特です。家賃を抑え、家族が車で買いに来られる立地に徹したことが、「日常のごほうびスイーツ」という独自の立ち位置を築きました。
ケーキから糖質カットまで|広すぎる品ぞろえ
シャトレーゼの売り場には、ホールケーキ、シュークリーム、アイス、どら焼きやおはぎなどの和菓子、パン、ワイン(グループの地の利を生かした山梨ワイン)までが並びます。バターをはさんだ「バタどら」のようなヒット作や、糖質を抑えたケーキ・ピザなどの健康対応商品も看板です。せんべい・あられといった米菓まで揃うのは、和洋の垣根を作らないシャトレーゼらしさです。
シャトレーゼグループの規模と展開
グループの事業構成
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| グループ連結売上高 | 1,613億円(2025年3月期) |
| 店舗数 | 国内外あわせて1,000店舗超 |
| 海外展開 | 8カ国で約180店舗(シンガポール・台湾・マレーシア・中国・韓国・UAEなど) |
| 菓子以外の事業 | ワイナリー2カ所、ホテル11施設、ゴルフ場20コース |
お菓子のイメージが強い会社ですが、グループはワイナリーやホテル、ゴルフ場まで手がけています。ぶどうの産地・山梨を拠点とする企業らしい広がりといえるでしょう。海外進出は2015年のシンガポールが最初で、いまでは8カ国に店舗網を広げています。
洋菓子チェーンの中での立ち位置
| 企業・ブランド | 主な業態 | 特徴 |
|---|---|---|
| シャトレーゼ | 郊外型のFCチェーン | 自社農場・工場からの直販で低価格を実現 |
| 不二家 | 洋菓子店+菓子メーカー | ペコちゃんのブランド力とスーパー向け菓子 |
| 銀座コージーコーナー | 駅ビル・百貨店中心 | ジャンボシュークリームなど手土産需要 |
| モンテール | スーパー・コンビニ向け | 店舗を持たず量販店の棚で勝負 |
同じ洋菓子でも、駅前か郊外か、店舗販売かスーパー納品かで戦い方はまるで違います。シャトレーゼが選んだのは、家賃の安い郊外に店を構え、農場から店頭までを自前でつなぐやり方。この仕組みが、あの価格を可能にしているのです。
高級業態と海外展開
近年は、高級業態「YATSUDOKI(ヤツドキ)」を都心に展開し、八ヶ岳山麓の素材を使った上質路線にも挑戦しています。また、海外にも店舗網を広げ、日本発のスイーツチェーンとしてアジアを中心に存在感を高めています。4坪の甘太郎から始まった「おいしいものを、お値打ちで」は、いまや世界に向けた合言葉になりつつあります。
まとめ
シャトレーゼは、行列のできる今川焼「甘太郎」から始まり、「ぶどうの城」の名を掲げて、農場から店頭まで一気通貫のものづくりを築いた菓子メーカーです。素材への本気と、徹底したコスト設計の両立——ショーケースの手頃なケーキの裏には、70年かけて磨かれた仕組みがあります。
シャトレーゼの米菓については、本文中の記事で紹介しています。
