食品の事故やリコールはどのくらい起きている?健康食品の相談とあわせて令和8年版消費者白書から読む
食中毒や、異物が混じったことによる商品の回収(リコール)のニュースを見かけると、ふだん口にしている食べ物は大丈夫かと気になるものです。この記事では、消費者庁が2026年6月に公表した「令和8年版消費者白書」をもとに、消費者庁に寄せられた食品にかかわる事故の情報と、健康食品をめぐる相談の状況、食品の安全についての意識を整理します。
この記事で分かること
- 2025年度に消費者庁に通知された生命・身体にかかわる事故(重大事故等を除く)のうち、食中毒などの「中毒」が約2割、食品リコールが多い「異物の混入・侵入」が約15%を占めた
- アレルゲン表示の欠落や消費期限の誤表示による食品リコールも多い
- 消費生活相談では「他の健康食品」が全体で4番目に多く、通信販売の「定期購入」の相談では最も多い
食品にかかわる事故の件数
事故の約2割が「中毒」、約15%が「異物の混入・侵入」
| 事故の内容(2025年度) | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 中毒 | 727件 | 18.4% |
| 異物の混入・侵入 | 616件 | 15.6% |
| 転落・転倒・不安定 | 201件 | 5.1% |
| 腐敗・変質 | 158件 | 4.0% |
| その他 | 2,252件 | 57.0% |
| 合計 | 3,954件 | 100% |
「中毒」は、そのほとんどがノロウイルスやカンピロバクターなどによる食中毒でした。「異物の混入・侵入」の多くは、食品衛生法に違反する、またはそのおそれがあることによる食品リコールです。主な原因として、製造や加工の途中でビニール片や金属片が混じったこと、包装の不良、保存方法の誤りが挙げられています。
※消費者安全法にもとづいて消費者庁に通知された「生命身体事故等」のうち、重大事故等を除いた件数で、食品以外の事故も含まれます。「その他」の割合は当サイトが計算しました。
引用:令和8年版消費者白書(6〜8ページ)|消費者庁
「中毒」の件数は、2022年度から毎年増えている

「中毒」は2022年度から3年続けて増え、2025年度は2022年度の約1.6倍になりました。いっぽう「異物の混入・侵入」は2023年度をピークに、2年続けて減っています。
※2021年6月から、食品衛生法と食品表示法の改正によって、食品リコールの届出が義務になりました。2021年度は年度の途中で制度が変わったため、この記事では2022年度からの値を示しています。
引用:令和8年版消費者白書(7ページ)|消費者庁
アレルゲン表示の欠落や、消費期限の誤表示による食品リコールも多い
白書によると、集計の上で「その他」に分類されている事故のなかには、アレルゲン表示が抜けていたり、消費期限を誤って表示していたりといった、食品表示法違反による食品リコールが多く含まれています。食物アレルギーのある人にとって、アレルゲン表示は食べられるかどうかを判断する大切な手がかりです。また白書は、消費者事故の例として「菓子のおまけの玩具の誤飲事故」も挙げています。
※「その他」のうち食品リコールが何件かは、白書には書かれていません。
引用:令和8年版消費者白書(5ページ、7ページ)|消費者庁
健康食品をめぐる相談
「他の健康食品」の相談は全体で4番目に多く、65歳以上では2番目
| 年齢層(2025年) | 「他の健康食品」の順位 | 件数 |
|---|---|---|
| 全体 | 4位 | 3万432件 |
| 20歳未満 | 3位 | 1,121件 |
| 40歳代 | 9位 | 2,081件 |
| 50歳代 | 4位 | 4,840件 |
| 60歳代 | 3位 | 6,549件 |
| 70歳代 | 2位 | 7,519件 |
| 80歳以上 | 3位 | 4,697件 |
| 65歳以上 | 2位 | 1万5,548件 |
2025年の消費生活相談は全体で約97万件ありました。そのなかで「他の健康食品」は、不動産の賃貸や化粧品などと並んで上位に入っています。20歳未満と40歳代以上の各年代で上位10位に入り、70歳代では2番目に多い相談でした。
※「他の健康食品」は相談を分類するときの品目名で、「健康食品(全般)」「酵素食品」などとは別に数えられています。20歳代と30歳代では、上位10位に入っていません。
引用:令和8年版消費者白書(22ページ、26ページ)|消費者庁
通信販売の「定期購入」の相談では、健康食品が最も多い

「定期購入」の相談は、2025年に8万7,284件ありました。「他の健康食品」はそのうち25.3%を占め、品目別では最も多くなっています。白書は、1回限りのつもりで買ったら定期購入だった、お試しで買ったら2回目が届いた、解約したくても事業者と連絡がとれない、といった相談の例を紹介しました。
※2021年3月までは、化粧品、健康食品、飲料の定期購入に限って集計されていました。
引用:令和8年版消費者白書(34〜35ページ)|消費者庁
国は、健康食品のおおげさな広告や、だますような定期購入の売り方に対応している
| 対応(2025年度) | 内容 |
|---|---|
| 健康食品などの虚偽・誇大な表示への改善指導 | 589事業者の641商品(健康増進法) |
| 詐欺的な定期購入商法への対応 | 行政処分7件、行政指導3件(特定商取引法の最終確認画面のルール) |
インターネットなどで売られる健康食品の広告は、消費者庁が監視しています。定期購入については、2021年に改正された特定商取引法で、申し込みの最終確認画面で消費者に誤解を与えるような表示が禁止されました。申し込む前に、最終確認画面で総額や続けて届く条件、解約の条件を確かめることが大切です。
※最後の一文は、白書に掲載された有識者のコラム「デジタル取引で注意したい五つのポイント」をもとに当サイトがまとめたものです。
引用:令和8年版消費者白書(63ページ、113ページ、140ページ)|消費者庁
食品の安全についての意識
「流通している食品は安全・安心」と感じる人は6割を超える
| 項目(当てはまる計) | 2019年度 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|---|
| 流通している食品は安全・安心である | 65.0% | 60.0% | 62.3% |
| 商品などの表示・広告の内容は信用できる | 38.0% | 26.6% | 30.3% |
食品の安全については6割以上の人が安心と感じている一方、表示や広告を信用できると答えた人は3割ほどでした。どちらも2024年度より上がったものの、2019年度の水準には戻っていません。
※消費者庁「消費者意識基本調査」の結果で、「かなり当てはまる」と「ある程度当てはまる」の合計です。
引用:令和8年版消費者白書(58〜59ページ)|消費者庁
表示や説明を確かめてから選ぶことを、約8割が心掛けている
「表示や説明を十分確認し、その内容を理解した上で商品やサービスを選択する」ことを心掛けている人は、2025年度の調査で77.9%でした。2019年度の76.1%から少しずつ増えています。食品のリコールや健康食品のトラブルを避けるうえでも、表示を確かめる習慣は役に立ちそうです。
※最後の一文は当サイトの読み方です。
引用:令和8年版消費者白書(60ページ)|消費者庁
データを読むときに気をつけたい3つの点
- 事故の件数は、消費者庁に通知された件数です。 実際に起きた食中毒や異物の混入のすべてを数えたものではありません。
- 「中毒」「異物の混入・侵入」には、食品以外の事故も含まれる場合があります。 白書は、そのほとんどが食中毒や食品リコールだと説明していますが、すべてが食品とは限りません。
- 相談の件数は、相談が寄せられた件数です。 健康食品を買った人のうち、どのくらいがトラブルに遭ったかを示す割合ではありません。
まとめ
2025年度に消費者庁に通知された事故では、食中毒などの「中毒」と、食品リコールが多い「異物の混入・侵入」が合わせて3割を超えました。アレルゲン表示の欠落などによるリコールも多く、表示のミスも食の安全にかかわる問題です。
健康食品では、定期購入をめぐる相談が目立っています。申し込む前に条件を確かめ、困ったときは消費生活センターに相談するようにしましょう。
この記事で使った資料
資料の一覧と、数字の数え方を見る
| 資料名 | 令和8年版消費者白書 |
|---|---|
| 発信元 | 消費者庁 |
| 公表日 | 2026年6月12日(閣議決定) |
| 集計の対象 | 消費者庁に通知された消費者事故等(2025年度)、PIO-NETに登録された消費生活相談(2025年)、消費者意識基本調査(2025年度) |
| 集計の単位 | 件数、割合 |
消費者事故等の件数は、消費者安全法にもとづき、行政機関や都道府県知事、市町村長、国民生活センターなどから消費者庁に通知されたものです。消費生活相談の件数は、2026年3月31日までにPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に登録された分です。消費者意識基本調査は、全国の満15歳以上の日本国籍を有する1万人を対象に2025年11月に行われ、5,473人が回答しました。この記事の白書の記述は、同白書から引用・参考にしたもので、ページ番号を併記しています。
