【専門家が解説】甘いものを食べたくなる理由・幸せになる理由

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立命館大学の和田有史教授は、「スイーツを食べると、なぜ幸せな気持ちになるのか」を科学的に調べました。和田教授は心の仕組みを研究する専門家で、今回の調査では2000人以上の人にアンケートを行い、スイーツと幸せの関係を明らかにしました。

参考:スーパー・コンビニ スイーツ白書 2025

目次

ウェルビーイングってなに?

ウェルビーイングとは「その人らしく、いきいきと生きている状態」のことです。和田教授はウェルビーイングを3つに分けて説明しています。

スクロールできます
種類意味
医学的ウェルビーイング病気やケガがなく、体と心が元気なこと風邪をひいていない、お腹が痛くない
快楽的ウェルビーイング今この瞬間、気分がいいこと美味しいものを食べた時の幸せ
持続的ウェルビーイング毎日の生活が充実していて、人との関係も良いこと家族や友達と仲良く、やりたいことがある

この3つを家に例えてみましょう。医学的ウェルビーイングは「家が壊れていないこと」です。快楽的ウェルビーイングは「今、家の中が暖かくて気持ちいいこと」です。持続的ウェルビーイングは「この家で毎日楽しく暮らせていること」になります。

スイーツが関係する2つの幸せ

和田教授によると、スイーツは3つすべてのウェルビーイングに関わりますが、特に「快楽的ウェルビーイング」と「持続的ウェルビーイング」と深い関係があります。

今回の調査では、この2つの幸せに注目して研究が進められました。

快楽的ウェルビーイング

スイーツを食べている時や食べた直後に感じる「美味しい!幸せ!」という気持ちです。

持続的ウェルビーイング

スイーツを上手に生活に取り入れることで、毎日がより充実するという長期的な効果です。

スイーツを食べた瞬間の幸せ

甘いものが好きなのは生まれつき

スイーツの一番の魅力は「甘さ」です。和田教授の説明によると、人間も動物も、生まれた時から甘いものが大好きです。これは学校で勉強して覚えたことではなく、生まれつき体に備わっている反応なのです。

なぜ甘いものが好きなの?

理由説明
エネルギー源だから昔の人間にとって、甘い果物は大切な栄養源だった
安全な食べ物の印だから自然界では、甘い味がするものは毒がないことが多かった
生き残るために必要だから甘いものを好きな人が生き残り、その性質が受け継がれた

昔の人間が森で暮らしていた頃を想像してみてください。甘い果物を見つけたら、それはエネルギーがたくさん入っている大切な食べ物でした。だから、甘い味を「美味しい!もっと食べたい!」と感じる人が、元気に生き残ることができたのです。

このように、私たちが甘いものを食べて幸せを感じるのは、何千年も昔から体に刻み込まれた反応なのです。

油のコクも幸せの素

和田教授は、スイーツには油もたくさん入っていて、人間は油も大好きだと説明しています。生クリーム、バター、チョコレートなど、スイーツに使われる材料には油が豊富に含まれています。

油は甘さと同じく、体にとって大切なエネルギー源です。しかも、同じ量なら、お米やパンよりも油の方が2倍以上のエネルギーがあります。昔の人間にとって、油を含む食べ物はとても貴重でした。だから、人間の体は油を「美味しい」と感じるようにできているのです。

スイーツには甘さと油の両方が入っています。この2つが一緒になることで、より強い幸せを感じられるのです。

特別感がさらに幸せを増やす

和田教授は、味だけでなく、考え方も幸せに影響すると説明しています。スイーツでよくある「季節限定」という言葉を思い出してください。「今だけしか買えない」と聞くと、特別な気持ちになりませんか?

「今しか食べられない」と思うと、そのスイーツはもっと価値があるように感じます。この特別な気持ちが、味の美味しさにプラスされて、さらに幸せを大きくしてくれるのです。

心がどう変わるか実験で確認

調査では、スイーツを食べた時の気持ちを詳しく調べました。その結果、スイーツを食べると次のような変化が起きることがわかりました。

変化詳しい説明
イライラが減る怒りっぽい気持ちが和らぐ
無気力が減るやる気が出てくる
心が安定する落ち着いた気持ちになる
リラックスする体の力が抜けて、楽な気持ちになる
活力が出る元気になって、何かしたくなる

和田教授は、これらの変化が起きる理由を「報酬感」で説明しています。報酬感とは、何か良いことがあった時に脳が感じる「やった!」という気持ちのことです。甘いものや油を食べると、脳が「これは良いものだ!」と判断して、幸せな気持ちにさせてくれるのです。

このように、スイーツを食べると気分が良くなり、ストレスが減って、心が安定することが実験で確認されました。

スイーツがもたらす長期的な幸せ

自分で選んで食べることの大切さ

和田教授の調査では、スイーツを習慣的に食べている人の方が、食べない人よりも毎日の生活で幸せを感じることが多いとわかりました。

ここで大事なのは「自分で決めて食べている」という点です。誰かに無理やり食べさせられているのではなく、自分の意志で「今日は頑張ったから食べよう」「気分転換に食べよう」と決めて食べているのです。

スイーツを食べる理由

タイミング理由
頑張った後自分へのご褒美として
嫌なことがあった時気分を変えるため
元気を出したい時やる気を取り戻すため
特別な日お祝いや記念として

「今日はテストで100点取ったから、帰りにシュークリームを買おう」と考えて食べるのと、何も考えずにダラダラ食べるのでは、同じスイーツでも意味が違います。自分で決めて食べることで、より深い満足感が得られるのです。

気持ちをコントロールする道具として

スイーツは、自分の気持ちを整える道具としても使えます。これは子どもでも大人でも同じです。

例えば、学校で嫌なことがあって悲しい気持ちの時、好きなプリンを食べると気分が少し良くなります。これは、スイーツを使って自分の気持ちをコントロールしているということです。

ただし、和田教授が強調しているのは「適度に」使うことです。嫌なことがある度に毎回スイーツを食べていたら、それは良くありません。でも、時々、本当に必要な時に食べることで、自分の心を上手に管理できるようになります。

このように、スイーツを賢く使うことで、感情のコントロールが上手になり、それが長期的な幸せにつながるのです。

みんなで食べると幸せが増える

和田教授の調査では、幸せな人ほど、スイーツを家族や友達と一緒に食べることが多いとわかりました。

美味しいものを一緒に食べると、その時間が楽しい思い出になります。そして、その思い出が人との絆を強くしてくれるのです。スイーツは、人と人をつなぐ架け橋のような役割も果たしています。

良い人間関係を持っていることは、幸せに生きるためにとても大切です。和田教授は、スイーツを通して人との絆が深まることで、長期的な幸せにつながると説明しています。

生活のリズムを作る役割

毎日の午後3時におやつを食べる、週末にケーキを買ってくる、誕生日には必ずケーキを食べるなど、スイーツを中心とした習慣は生活にリズムを作ります。

規則正しい生活は、体の調子を整えるために大切です。そして、その中に「楽しみ」が入っていると、毎日がもっと良いものになります。「今日はおやつにプリンがある」と思うだけで、午前中の勉強や仕事を頑張れたりします。

このように、スイーツは瞬間的な幸せだけでなく、生活全体を充実させる力も持っているのです。

食べ過ぎには注意が必要

食べる頻度割合
毎日食べる約1割(10人に1人)
週に数回、または月に数回食べる約9割(10人に9人)

和田教授は、今回の調査に参加した人たちの食べ方について説明しています。

調査に参加した人のほとんどは、スイーツを毎日食べているわけではありません。週に2〜3回、または月に数回という、適度なペースで食べている人が大部分でした。

この「適度さ」が重要なポイントです。今回の調査で「スイーツが幸せにつながる」という結果が出たのは、適度に食べている人たちを調べたからなのです。

食べ過ぎるとどうなる?

問題説明
太りやすくなるスイーツはカロリーが高いため
病気になりやすくなる糖分や油の取りすぎは体に負担がかかる
かえって気分が悪くなる血糖値が急に上がったり下がったりする
他の方法を学べなくなるストレスの対処をスイーツだけに頼ってしまう

和田教授は、どんな食べ物でも、食べ過ぎると体に悪いと警告しています。

例えば、嫌なことがある度に毎回スイーツを食べていたら、運動をしたり、友達と話したり、他の気分転換の方法を学べなくなってしまいます。スイーツはたくさんある対処法の一つであって、それだけに頼るのは良くありません。

幸せになるための適度な量

和田教授は「適度な範囲で楽しむことが大事」と強調しています。適度な範囲とは、健康を守りながら、生活のバランスを保って楽しめる量のことです。

調査の結果から考えると、毎日ではなく、週に2〜3回、または月に数回というペースが一つの目安になります。また、一度にたくさん食べるのではなく、少しずつ味わって食べることも大切です。

自分で「これくらいなら大丈夫」と判断して、コントロールできることが重要なのです。

スイーツの3つの役割

役割効果
心を癒す食べた瞬間に幸せな気持ちになる
気持ちを整える自分の感情をコントロールする手助けになる
人とつながる一緒に食べることで絆が深まる

従来、スイーツは「ダイエットの敵」「健康に悪いもの」と考えられてきました。でも、和田教授の研究により、適度に食べることで、むしろ心の健康を支える役割があることがわかりました。

意識して食べることの大切さ

和田教授は「適度に、そして意識的に取り入れることが大事」と述べています。意識的とは、何も考えずに食べるのではなく、目的を持って食べるということです。

良い食べ方の例

  • 今日はテストを頑張ったから、ご褒美として食べる
  • 家族と楽しい時間を過ごすために、一緒にケーキを食べる
  • 気分転換したいから、好きなアイスを食べる

このように目的を持って食べると、スイーツの効果を最大限に活かせます。

良くない食べ方の例

  • 何も考えずに、ダラダラとお菓子を食べ続ける
  • お腹が空いていないのに、暇だからという理由で食べる
  • 嫌なことがある度に、毎回大量に食べる

意識して食べることで、スイーツが持つ幸せの力を上手に使えるようになります。

現代社会でのスイーツの意味

和田教授は、現代社会では「スイーツは心を満たすために食べられるようになった」と説明しています。

昔の人間にとって、甘いものは貴重なエネルギー源でした。でも今は、多くの人が十分な食事を取れる時代になりました。お腹を満たすためだけなら、ご飯やパンで十分なのです。

それなのに私たちがスイーツを食べるのは、心を満たしたいからです。美味しいものを食べて幸せな気持ちになりたい、特別な時間を楽しみたい、人との絆を深めたいといった、心の面での理由が大きくなっています。

このように考えると、スイーツは現代社会において「心の健康を支える食べ物」として位置づけられるのです。

まとめ:スイーツは幸せのお手伝い

時間軸効果具体例
今すぐ気分が良くなるイライラが減る、リラックスする
少し先自分をコントロールできる頑張った自分にご褒美をあげる
ずっと先生活が充実する人との絆が深まる、毎日にメリハリができる

和田教授の研究により、スイーツにはこのような力があることがわかりました。

ただし、これらの効果を得るには、適度に、意識的に食べることが必要です。食べ過ぎれば体に悪いですし、かえって不幸になってしまいます。

和田教授の結論は明確です。スイーツは単なる嗜好品ではなく、適切に取り入れることで心身の健康と幸せを高める存在なのです。

この記事を読んで、スイーツと幸せの関係が理解できたでしょうか。スイーツを食べて幸せを感じるのは、単なる気のせいではなく、科学的な理由があることがわかりました。

大切なのは、食べ過ぎずに、目的を持って、楽しく食べることです。そうすることで、スイーツは私たちの毎日をより豊かにしてくれる、素敵なパートナーになってくれるのです。

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