株式会社ロッテとは|製菓メーカーの採用・マーケティング

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目次

株式会社ロッテとは

ロッテは、日本を代表する製菓メーカーの一つであり、チョコレートガムビスケットアイスクリームなど多岐にわたる商品を展開しています。1948年に創業し、「お口の恋人」というキャッチコピーで広く親しまれてきました。特に「ガーナチョコレート」「コアラのマーチ」「チョコパイ」「雪見だいふく」などのヒット商品は、世代を超えて支持されています。製菓業界では、味覚の追求だけでなく、製造技術や包装デザイン、マーケティング戦略にも強みを持ち、国内外で高いブランド力を確立しています。また、健康志向やサステナビリティを意識した製品開発にも積極的で、伝統と革新を両立させながら日本の菓子文化をリードする存在です。

ロッテの創業背景

創業者名重光武雄
前身事業所ひかり特殊化学研究所
設立年1945年
設立場所杉並区荻窪
初期製品石鹸、ポマード

創業者「重光武雄」の経歴

ロッテの創業者である重光武雄は、1945年に杉並区荻窪で「ひかり特殊化学研究所」という事業所を設立しました。

この時期は日本が終戦を迎えた年であり、社会全体が戦後の混乱から立ち直ろうとしていた時代でした。

最初の事業内容

重光が最初に手掛けたのは菓子ではなく、石鹸やポマードといった日用品の製造販売でした。

化学製品の製造という事業は、後にお菓子メーカーとなるロッテの出発点としては意外に思えるかもしれませんが、当時の社会状況を反映した選択でした。

戦後の日本では生活必需品が不足しており、こうした化学製品への需要があったのです。

製菓製造事業の始まり|チューインガムとの出会い

転機の年1947年
きっかけ進駐軍が持ち込んだチューインガムの人気
新事業ガム製造
社名変更1948年6月
新社名株式会社ロッテ
名前の由来ゲーテ「若きウェルテルの悩み」の登場人物シャルロッテ

事業の転機は1947年に訪れました。終戦後、日本に駐留していた進駐軍が持ち込んだチューインガムが人気を集めているのを目にした重光は、ガム製造に乗り出すことを決断しました。

当時の日本ではチューインガムは珍しい商品であり、新しい嗜好品として市場に受け入れられる可能性を見出したのです。

株式会社ロッテの誕生

そして1948年6月、重光はひかり特殊化学研究所を株式会社ロッテと改称し、代表取締役社長に就任しました。

ロッテという社名は、重光が愛読していたゲーテの小説「若きウェルテルの悩み」に登場する主人公の恋人、シャルロッテにちなんで名付けられました。

創業時の立ち位置

企業名設立時期特徴
明治戦前から事業展開先行企業
森永戦前から事業展開先行企業
ロッテ1948年後発企業

日本の菓子業界において、ロッテは後発企業という位置づけになります。

主な競合である明治や森永は戦前から事業を展開しており、ロッテが設立された時点では既にお菓子業界の基盤が形成されていました。

先行企業の優位性

これらの先行企業は長年かけて築いた製造技術、販売網、そして消費者からの信頼という資産を持っています。製造技術では長年の経験によるノウハウが蓄積されており、販売網では全国の小売店との関係が構築されていました。

消費者からの信頼という無形の資産は、新規参入企業にとって最も獲得が困難なものでした。

後発企業の課題

後発企業として市場に参入することは、大きな課題を意味していました。既に確立されたブランドと競争するためには、同じような製品を提供するだけでは不十分です。消費者に選ばれるためには、何か異なる価値や新しい提案が必要でした。

この状況が、後にロッテの企業文化を形作る重要な契機となります。

ロッテの企業文化

挑戦を重視する姿勢

後発企業という立場は、ロッテに独自の企業文化を生み出すきっかけとなりました。既に市場で確固たる地位を築いている競合他社と同じ戦略を取っていては、競争に勝ち抜くことは困難です。限られた資源と認知度で市場に挑むためには、従来とは異なる発想が求められました。

この背景から、ロッテでは「挑戦」という言葉で表現される姿勢が企業の強みとして位置づけられています。既存の枠組みにとらわれず、新しい可能性を探っていく精神が、会社全体に浸透していきました。

ロッテノベーションというスローガン

用語構成要素意味
ロッテノベーションロッテ + イノベーション常に新しい挑戦をしていこうという企業精神

ロッテの挑戦する姿勢は、「ロッテノベーション」という社内造語に集約されています。これはロッテとイノベーションを組み合わせた言葉で、社員一同が大切にしているスローガンです。

これは単なる標語ではなく、日々の業務において判断基準となる概念として機能しています。

後発企業として生き残るために必要だった挑戦の精神が、時間をかけて企業文化として定着し、言語化されたものがロッテノベーションです。新しい製品を開発する際、営業活動を行う際、あるいは社内制度を設計する際にも、このロッテノベーションの精神が反映されています。

ロッテのチョコレート事業参入

1960年 カカオ豆やココアバターの輸入が自由化

ロッテがチューインガム事業で一定の成功を収めた後、1960年代初頭に大きな市場環境の変化が訪れました。

1960年、それまで制限されていたカカオ豆やココアバターの輸入が自由化されたのです。

この政策変更により、日本国内でチョコレートを製造する際の原料調達が容易になりました。

原料の入手が容易になったことで、参入障壁が一つ下がったのです。

輸入自由化は、既存のチョコレートメーカーにとっては原料調達の選択肢が広がることを意味しましたが、同時に新規参入を検討する企業にとってもチャンスとなりました。

参入の決断

創業から約16年後、ロッテチョコレート分野への進出を決定しました。

しかしこの決断は、社内外から見て大きな挑戦でした。チョコレート市場において、ロッテは他社に約半世紀遅れての参入となる後発企業だったためです。

既に市場には確立されたブランドが存在し、消費者の嗜好も形成されていました。

それでもロッテが参入を決断した背景には、輸入自由化という環境変化と、後発企業だからこそ新しい提案ができるという発想がありました。

先行企業が築いた市場の常識を覆すような製品を作ることができれば、後発でも競争できる可能性があると判断したのです。

ヨーロッパへの視察活動

調査期間約7カ月
訪問先菓子メーカー50社以上、機械メーカー20社以上
調査地域ヨーロッパ各国
習得内容カカオの選定方法、加工技術、製造方法

チョコレート事業への参入を決めたロッテは、最高の品質を求めるため、徹底した技術習得に取り組みました。優秀な技術者を探して約7カ月をかけてヨーロッパを巡る視察を実施したのです。

この視察では、50社以上の菓子メーカー、20社以上の機械メーカーを訪問しています。

後発企業として参入する以上、既存企業と同等かそれ以上の品質が必要だという認識があり、表面的な知識ではなく、本質的な技術を理解することに重点を置いたのです。

訪問先では、カカオの選定方法から加工技術、製造方法まで、チョコレートに関するあらゆる技術を学びました。

視察の結果、ロッテはミルクチョコレートの本場であるスイスに注目しました。

当時、アメリカ式のチョコレートとヨーロッパ式のチョコレートが分かれていましたが、ロッテはヨーロッパ式の滑らかな味わいのチョコレートを目指す方針を固めました。

マックス・ブラック氏との協力

技術者名マックス・ブラック
国籍スイス
経歴長年チョコレート工場長を務める
与えられた権限工場設計、原料選択の全権
開発指示原価にこだわらず、スイス以上のチョコレートを作る

スイスでの視察中、ロッテは長年チョコレート工場長を務めるマックス・ブラック氏と出会いました。その技術と経験を高く評価したロッテは、ブラック氏にチョコレート開発を依頼することにしました。

品質で勝負をするという戦略

創業者から出された指示は明確でした。「工場の設計も原料の選択も、全て任せる。原価にこだわらず、ミルクチョコの本場スイス以上のチョコレートを作ってくれ」というものです。

つまり、コストを抑えて価格競争をするのではなく、最高品質の製品を作ることで市場に受け入れられることを目指しました。

技術者に全権を委ね、原価を気にせず品質を追求するという姿勢、品質で勝負するというのが、後発企業として差別化を図るための戦略だったのです。

ロッテは「ガーナミルクチョコレート」を製造

製造開始

工場完成1964年2月
工場名浦和チョコレート工場
製品名ガーナミルクチョコレート

1964年2月、浦和チョコレート工場が完成し、ガーナミルクチョコレートの製造が開始。

スイスで技術を学び、マックス・ブラック氏の指導のもとで準備を進めてきた結果が、ようやく形になった瞬間でした。

工場の完成は、ガム製造から始まった会社が、新たな事業領域(チョコレート製造)に挑戦する転換点となったのです。

製品仕様

品質方針ヨーロッパ式の口どけなめらかなチョコレート
開発責任者マックス・ブラック氏
製造方式スイスの技術を基盤とした製法

ガーナミルクチョコレートの品質は、マックス・ブラック氏の技術に基づいて設計されました。

ヨーロッパ式の口どけなめらかなチョコレートというのは、製品開発の当初から一貫して掲げられていた目標です。

差別化された味わいの実イスの伝統的な製法を日本に導入することで、既存の日本のチョコレートとは異なる味わいを実現。原料の選定から製造工程まで、妥協のない品質追求が行われたのです。

製品名称「ガーナ」

製品名は「ガーナ」という、それまでのチョコレートにはない名称を採用しました。

カカオの産地として知られるガーナという地名を使うことで、原料へのこだわりと本格的な味わいを連想させる効果を狙ったのです。

パッケージデザイン

採用色赤色
当時の一般的な色茶色
選択理由チョコレートへの情熱、元気な印象、目立つ華やかさ
製品名ガーナ

ガーナミルクチョコレートが市場に与えたインパクトは、品質だけでなくパッケージデザインにもありました。

当時の板チョコは茶色のパッケージが一般的で、色も名前も地味なものが多い。しかしロッテは、チョコレートらしくない「赤」のパッケージを採用したのです。

赤色の理由

  • チョコレートへの情熱を表現したい
  • 元気な色にしたい
  • 目立って華やかなパッケージにしたい など

既存の常識から外れた選択は、後発企業として差別化を図る戦略の一環でした。

市場での評価

この斬新なデザインに対して、他社からはバッシングを受けたり、「売れるわけない」と言われたりしました。

業界の常識を覆すような選択には、当然ながら懐疑的な声が上がりました。

先行企業が築いてきた市場の作法に従わないアプローチは、リスクが高いと見られたのです。

しかし結果として、ガーナミルクチョコレートは市場で受け入れられました

マックス・ブラック氏による口どけなめらかな品質と、赤いパッケージという印象的なデザインが、日本人の味覚と感性に合致したのです。

人気チョコレートブランドの確立

現在ではチョコレートブランドの中でお客様に多く購入されているブランドのひとつに成長しています。

後発企業として参入したロッテが、品質とデザインの両面で既存の常識に挑戦した結果、市場に新しい選択肢を提供することに成功しました。

この成功体験は、その後のロッテの製品開発においても、挑戦を続ける原動力となっていきます。

ロッテは「雪見だいふく」を製造

開発背景

発売年1981年
開発のきっかけ1980年発売「わたぼうし」のヒット
発想の源福岡の和菓子店「石村萬盛堂」の銘菓「鶴乃子」
製品構成お餅の中にアイスクリーム

ロッテノベーションの精神は、チョコレート以外の分野でも発揮されました。

1981年には「雪見だいふく」が発売されています。この製品は、お餅の中にアイスクリームが入っているという、それまでにない組み合わせの商品でした。

開発のきっかけは、前年の1980年9月に発売されたマシュマロアイスクリームを入れた「わたぼうし」のヒット。マシュマロアイスクリームという異なる食感の組み合わせが消費者に受け入れられたことで、さらに異なる素材での展開を模索することになったのです。

具体的な発想の源となったのは、福岡にある和菓子店「石村萬盛堂」の銘菓「鶴乃子」でした。

この和菓子から着想を得て、日本の伝統的な食材であるお餅と、西洋から入ってきたアイスクリームを組み合わせるというアイデアが生まれました。

技術的課題

しかし雪見だいふくの製造には、根本的な技術的課題がありました。

お餅は通常、温かい状態で柔らかく、冷めると固くなります。一方、アイスクリームは冷たい状態でなければ溶けてしまいます。熱いお餅の中にアイスクリームを入れようとすると、通常はアイスクリームが溶けてしまうのです。

この矛盾する二つの要素を一つの製品として成立させることは、技術的に非常に困難でした。お餅を柔らかく保ちながら、同時にアイスクリームを溶かさないという、相反する条件を満たす必要があったのです。

独自技術の開発

開発技術瞬間冷却の特許技術
効果お餅の中のアイスクリームが溶けない
競争優位性他社には真似できない製造方法

この課題を解決するために、ロッテは瞬間冷却させる特許技術を開発しました。

お餅アイスクリームを組み合わせる工程で、極めて短時間で冷却することにより、アイスクリームを溶かすことなく製品化することに成功したのです。

この特許技術により、他社には真似できない品質を実現しました。

単にアイデアを思いつくだけでなく、それを実現するための技術開発に投資し、特許として保護することで、長期的な競争優位性を確保したのです。

発売から40年以上が経過した現在でも、雪見だいふくは市場で支持される製品となっています。

ロッテは「コアラのマーチ」を製造

開発背景

発売年1984年3月
社会的背景1984年10月にコアラが初来日予定
動物の特徴一日の大半を寝て過ごす、動きが少ない

1984年には「コアラのマーチ」が発売されました。この製品の開発には、当時の社会的な出来事が関係しています。1984年10月、日本にコアラが初めて来日する予定があり、コアラへの関心が高まっていました。

ロッテはこの機会を捉え、コアラをモチーフにした製品を3月に先行して発売したのです。社会的なイベントと連動して商品を投入することで、消費者の関心を効果的に引きつける戦略でした。

コアラをモチーフにする

コアラは一日の大半を寝て過ごす動物で、あまり動きがありません。

そのままの姿を商品イメージにすると、静的で活気のない印象になってしまう可能性がありました。そこで、より楽しそうで活動的なイメージにするための工夫が必要でした。

この課題に対して、ロッテは「マーチングバンドを組んでオーストラリアからやってくる」という設定を考案しました。動きの少ないコアラを、楽器を演奏しながら行進するという活動的なイメージに変換したのです。

名前の由来

製品名コアラのマーチ
「マーチ」の由来マーチングバンドのイメージ
意図楽しそうで元気なイメージの付与

製品名の「マーチ」は、このマーチングバンドの設定から来ています。

行進曲を意味するマーチという言葉を製品名に採用することで、コアラが楽しそうに行進している様子を連想させる効果を狙いました。

この商品も40年以上にわたるロングセラー商品となっており、コアラのマーチというブランドは幅広い世代に認知されています。

「マーチ」は静的なコアラのイメージを、動的で楽しいイメージに転換する命名だったのです。

ロッテは「キシリトールガム」を製造

開発背景

従来のガム砂糖を多く含み、虫歯の原因と言われがち
新しい目的虫歯予防に寄与するガムの開発
開発期間長い年月を費やした

1990年代に登場した「キシリトールガム」は、ガムという製品カテゴリーに対する新しい価値提案でした。それまでガム砂糖を多く含む嗜好品であり、むしろ虫歯の原因になると言われがちでした。

そのため、健康志向の高まりとともに、ガムに対する否定的な見方も存在していました。ロッテは、この課題を解決するために長い年月をかけて開発に取り組みました。

単なる嗜好品ではなく、口内の健康に寄与する製品として、ガムを再定義することを目指したのです。

虫歯予防への転換

従来の認識虫歯の原因となる嗜好品
新しい価値虫歯の原因となる菌を抑制する効果
認可特定保健用食品
メッセージ「むし歯のない社会へ」

キシリトールガムは、噛んでいると虫歯の原因となる菌を抑制する効果があります。

これにより、虫歯の原因から虫歯予防へと、ガムの意味が180度変わったのです。

この製品は特定保健用食品としての認可も受けており、「むし歯のない社会へ」というメッセージを掲げています。

単なる味覚の楽しみを提供する嗜好品ではなく、社会的な健康課題の解決に貢献する製品としてガムを位置づけ直したのです。

ロッテは「クーリッシュ」を製造

新しいアイスの形態

発売年2003年
温度マイナス8度で飲むアイス
容器キャップ付きチアパック
特性持ち運びが可能
キャッチコピー「ゴクッとしあわせ」

2003年には「クーリッシュ」が開発されました。

この製品は、マイナス8度で飲むアイスという新しいコンセプトを持っています。

従来のアイスクリームは、容器から取り出してスプーンで食べるか、棒に刺さった状態で食べるのが一般的でした。

クーリッシュは、キャップ付きのチアパック容器に入っており、持ち運びができる設計になっています。

パッケージを開けたら全て食べきらなければならない従来のアイスクリームとは異なり、途中で蓋を閉めて後で続きを食べることも可能です。

市場投入

初期展開地域首都圏を中心
提案価値飲むという新しいアイスの食べ方

クーリッシュの販売は、首都圏を中心に開始されました。

新しいタイプの製品であるため、まず都市部で市場の反応を確認するという戦略だったと考えられます。

この製品は、飲むという新しいアイスの食べ方を提案しました。

「ゴクッとしあわせ」というキャッチコピーが示すように、従来の「食べる」アイスから「飲む」アイスへという消費形態の転換を図ったのです。

ロッテの組織構造

商品が届くまでの業務フロー

商品開発・マーケティング部門
  ↓ イメージ・アイデアの創出
研究部門
  ↓ 製品化・レシピ作成
工場
  ↓ 大量生産
広告宣伝部門
  ↓ 認知度向上
営業部門
  ↓ 店舗への提案・配送
消費者

ロッテでは商品がお客様に届くまでに、複数の部門が連携して業務を行っています。

STEP
商品開発・マーケティング

最初に商品開発・マーケティング部門が、市場調査や消費者ニーズの分析に基づいて、商品のイメージやアイデアを作ります。どのような商品を開発するかという方向性を定める段階です。

STEP
研究開発

次に研究部門が、そのイメージやアイデアを実際の製品として形にします。これはお菓子のレシピを作る作業に相当します。味や食感、見た目、原材料の配合など、具体的な製品仕様を決定していく過程です。

STEP
製造・販促

そのレシピを基に工場で大量生産が行われます。研究部門で作られた試作品を、安定した品質で大量に製造する技術が必要になります。製品が完成すると、広告宣伝部門がCMなどを作成し、商品の認知度を高めます。

STEP
営業活動

そして営業部門が最終的に商品を消費者の手元に届ける役割を担います。各部門が段階的に責任を持ちながら、一つの製品を完成させていく仕組みです。

管理部門の役割

  • ICT部門:情報システムの構築や運用を担当し、各部門間の情報共有や業務効率化を支えています。
  • 経理部門:財務管理や会計処理を通じて、企業の経済的基盤を管理しています。
  • ホーム(法務)部門:法的リスクの管理や契約業務を担当し、企業活動が適切に行われるよう支援しています。

商品を届ける一連の流れを支える管理部門も存在します。

これらの職種が互いに支え合いながら、商品をお客様に届ける体制が構築されているのです。

一つの製品が消費者の手に届くまでには、多くの部門の専門性と協力が必要となっています。

ロッテの営業方針

ソリューション営業

従来の営業ロッテのソリューション営業
自社が売りたい商品を売り込むお客様の課題を分析して提案
商品中心店舗の状況中心
一方的な販売課題解決型の提案

ロッテはソリューション営業と呼ばれるアプローチを重要視しています。つまり営業において「お客様の課題を解決する」という点を重視しているということです。

一般的な営業活動では、自社が販売したい商品を店舗に売り込むという形になりがちですが、ロッテの営業はまず店舗側の状況を理解することから始めます。

具体的には、どのような商品が売れているか、あるいは売れていないかといったデータを把握して、その上で「このお店にはクーリッシュが売れると思います」といった具体的な提案を行うのです。

店舗の立地、客層、季節、在庫状況などを総合的に分析し、その店舗に最適な商品構成を提案することで、単なる商品の納入業者ではなく、店舗運営のパートナーとしての関係を構築しています。

納品後のフォロー

営業担当者の役割は、商品を納品することで終わりではありません。商品を納品した後のフォローも重視されています。

営業担当者が自ら商品を並べたり、店長や担当者とコミュニケーションを取りながら、どの場所にどのような商品を配置するかを提案したりします。店舗での商品配置も売上に大きく影響する販促活動です。

目立つ場所に配置されるか、他の商品とどのように組み合わせるかによって、購買行動は変わってきます。

営業担当者がこうした細部まで関与することで、店舗の売上向上に貢献し、結果として自社製品の販売拡大にもつながるのです。

こうした作業は「泥臭い」と感じられることもありますが、お客様の満足度に直結するため、社員全体で取り組んでいます。

ロッテの既存の製品ジャンル

既存の製品カテゴリー

カテゴリー代表製品特徴
常温帯ガーナ、コアラのマーチ常温での保存・販売が可能
冷凍品クーリッシュ、雪見だいふく冷凍保存が必要

ロッテは従来から「常温帯」と「冷凍品」という二つの主要な製品カテゴリーを展開してきました。

常温帯製品の特性

ガーナやコアラのマーチといった、常温での保存・販売が可能な製品は流通や在庫管理が比較的容易で、幅広い販売チャネルで取り扱うことができます。小規模な店舗でも特別な設備なしで販売できるため、より多くの消費者に届けることが可能です。

冷凍品の特性

冷凍品には、クーリッシュや雪見だいふくといった、冷凍保存が必要な製品が含まれます。これらは冷凍設備を持つ店舗でのみ取り扱いが可能ですが、冷たいまま提供できるという独自の価値を持っています。

ロッテの新規の製品ジャンル

冷蔵品への参入

新カテゴリー冷蔵品(チルド)
代表製品生チョコパイ
製品特徴外側がパリパリのチョコレート、中に生クリーム
印象ケーキに近い

常温と冷凍に加えて、ロッテは冷蔵品(チルド)への参入も進めています。

その一例として「生チョコパイ」が開発・発売されました。外側はパリパリのチョコレートで、中には生クリームがたっぷりと入っており、ケーキに近い印象の商品となっています。

冷蔵品は賞味期限が比較的短いという特徴がありますが、その分フレッシュな味わいを提供できるという利点もあります。常温や冷凍では実現できない、生の食材を使った商品展開が可能になります。

常温、冷凍、冷蔵という三つの温度帯に製品を展開することで、販売チャネルや消費シーンの幅を広げています。それぞれの温度帯には異なる製造技術、物流体制、販売方法が必要となりますが、複数の温度帯で製品を提供することで、より多様な消費者ニーズに応えることができるのです。

菓子以外の分野への参入

大人向け製品

ロッテは菓子という枠を超えた展開にも挑戦しています。お酒を使った製品など、従来とは異なるジャンルへの進出です。お酒の入ったクーリッシュなどがその例です。これは従来の子供向けのイメージが強かった菓子類から、大人向けの商品へと展開を広げる試みです。

流カカオプロジェクト

「流カカオプロジェクト」という取り組みも進められています。これはカカオの皮(カカオハスク)を使って染めた衣類など、食品以外の分野への展開を図るものです。カカオ豆の加工過程で出る副産物は、通常は廃棄されます。しかし、この部分を染料として活用することで、新たな価値を生み出しています。

この取り組みは、単なる事業拡大だけでなく、資源の有効活用という環境面での意義も持っています。カカオ豆の加工過程で出る副産物を新たな価値に変えることで、持続可能な事業モデルの構築を目指しているのです。

ロッテの社内制度

ロッテアワード

対象者全社員(部署を問わず)
報奨賞金
評価基準他社がやっていない取り組み、新しい提案

創業から一貫して挑戦を続けているロッテには、それを後押しする社内制度や文化が存在します。

ロッテアワード」という制度は、営業社員に限らず全社員が応募できるもので、賞金が用意されています。

この制度では、他社がまだやっていない取り組みや、自分で考えた新しい提案が評価されます。

部署や役職に関係なく全社員に門戸が開かれているという点が、この制度の特徴です。

これは新しいアイデアは現場からも生まれるという考え方が反映されています。

管理職や企画部門だけでなく、日々の業務の中で顧客や市場と接している現場社員からも、価値ある提案が生まれる可能性があるという認識に基づいています。

成功事例の共有文化

成功事例の共有も、特に営業部門で頻繁に行われています。

採用担当の石川さんは、入社2年目の際に自身の成功事例が評価され、九州の支店長から直接称賛の電話を受けた経験があります。

このように、良い取り組みは部門や地域を超えて共有され、称賛される文化があるのです。個人の成功を組織全体の学びにつなげることで、組織全体のレベルアップを図っています。

ある地域で成功した取り組みを他の地域でも展開することで、全社的な成果向上につながります。また、成功事例が共有され称賛されることは、社員のモチベーション向上にも寄与しています。

母の日ガーナキャンペーン

発案者北海道の地域社員
内容カーネーションに見立ててガーナチョコレートを渡す取り組み
当初の規模地域での成功事例

全国的なキャンペーンとなっている「母の日ガーナ」は、社内文化を象徴する事例です。

これはカーネーションに見立ててガーナチョコレートを渡すという取り組みですが、もともと上層部や営業戦略部門が企画したものではありませんでした。

北海道の地域社員が考案し、実践した取り組みが始まりだったのです。

母の日にはカーネーションを贈るという習慣が日本に定着していますが、その代わりにロッテのガーナチョコレートを贈るという提案は、地域社員の発想から生まれました。

現在ではCMでも大々的にアピールされる取り組みとなっており、「誰の挑戦の提案であっても、良いものは取り入れていく」という文化が社内に浸透していることを示しています。

トップダウンではなくボトムアップで生まれた取り組みが、企業の主要なマーケティング施策になるという流れは、社員の提案を真剣に評価し、実行に移す組織風土があることを表しています。

ロッテの採用方針

求める人物像

  • 自ら考え行動できる人
  • 挑戦の姿勢を持つ人
  • 想像力を持つ人
  • その先を見据えるビジョンを持つ人

採用選考においてロッテが求めているのは、「自ら考え行動できる人」です。

具体的には、「挑戦」、「想像力」、そして「その先を見据えるビジョン」が重視されています。

この人物像は、ロッテノベーションという企業文化と密接に関連しています。

後発企業として市場で生き残ってきた歴史の中で培われた挑戦の精神を、今後も継承していくためには、そうした価値観を共有できる人材が必要だという考え方です。

指示を待つのではなく、自ら課題を見つけて解決策を考え、実行に移せる人材が求められています。

変化する市場環境の中で、既存の方法に固執するのではなく、新しい可能性を探れる人材が必要とされているのです。

選考での評価基準

評価のポイント内容
重視する要素プロセス
具体的な観点頑張りのプロセス、アイデアの着想
優先度が低い要素結果の大きさそのもの

面接やエントリーシートでは、応募者の頑張りのプロセスや、アイデアの着想をどこから得たかといった詳細な点が評価されます。

どれだけ大きな成果を上げたかという結果そのものよりも、その結果に至るまでに「どのような工夫をしたか」というプロセスを主に見て評価する方針が示されています。

この評価基準の背景には、ロッテの製品開発や営業活動における考え方が反映されています。

ガーナチョコレートの赤いパッケージ、雪見だいふくの瞬間冷却技術、キシリトールガムの概念転換など、ロッテの歴史は「どう工夫するか」というプロセスの積み重ねでした。

そうした企業文化に適合する人材を見極めるために、結果よりもプロセスを重視しているのです。

単に優秀な成績や華々しい実績を持つ人材ではなく、困難な状況でも工夫を重ねて道を切り開いていける人材こそが、ロッテという組織には必要だという判断があります。

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