食品展示会の歩き方|初めてでも成果を出す来場準備・当日の回り方・商談フォロー

食品展示会ライブラリ
食品・お菓子業界の展示会に関する記事をひとつにまとめました。全体像をつかめる索引ページです。
食品展示会は、メーカーや産地、商社が新商品や素材を持ち寄り、小売・外食・卸のバイヤーと商談するためのBtoBの場です。会場には数百から千を超える出展者が並び、一日ではとても見きれないほどの情報が集まります。
だからこそ、何の準備もせずに足を運ぶと、通路を歩いて資料をもらって帰るだけ、ということになりがちです。逆に、来場の目的と回り方を事前に決めておけば、同じ一日でも持ち帰る成果は大きく変わります。
この記事では、食品展示会に初めて来場する方に向けて、来場前の準備から当日の動き方、そして見落とされやすい来場後のフォローまでを、出展する側と来場する側の両方を経験した立場から順に解説します。
食品展示会は「商談のための場」です
展示会を上手に使うには、まずこの場が何のために開かれているのかを押さえておくことが近道です。
出展者と来場者、それぞれの狙い
出展者の多くは、その場での現金販売ではなく、後日の取引につながる商談を目的にしています。新商品のサンプルを配る、カタログを渡す、名刺を交換する。これらはすべて「展示会のあとに連絡を取り合う関係」をつくるための行動です。
来場者の狙いも同じ方向にあります。気になった商品をその場で買うのではなく、自社の店や事業に合うかどうかを見極め、仕入れや協業の候補を探す。これが食品展示会の基本的な使い方です。
物産展や即売会との違い
百貨店の物産展やマルシェは、一般のお客様にその場で販売することを目的としています。一方、本記事で扱う食品展示会は、業界関係者どうしの商談が前提です。
そのため価格は「一個いくら」ではなく、ケースやロット単位で示されることが多くなります。試食やサンプルも、取引を検討してもらうための提案という位置づけです。この前提を理解しておくと、ブースでの会話のかみ合い方が変わってきます。
成果の大半は「来場前の準備」で決まります
展示会当日に走り回ることよりも、前日までの段取りのほうが成果を左右します。最低限そろえておきたい準備を、順番に見ていきましょう。
まずはWebの事前来場登録をすませる
いまの食品展示会は、Webでの事前来場登録が必須となっているものがほとんどです。登録するとマイページやメールから入場用のQRコードやIDが発行され、当日は会場でバッジに引き換えて入場します。当日登録の窓口がある展示会もありますが、受付に時間がかかるため、事前に済ませておくほうがスムーズです。
登録画面では、社名・部署・取り扱い品目・来場目的などを入力します。業種を正しく登録しておくと、関連するセミナーの案内や、出展者からの事前アポイントの連絡につながることもあります。
なお、これらはあくまで業界関係者向けの商談イベントです。たとえばFOODEX JAPANや健康博覧会は、名刺を持たない方や16歳未満の入場を断っています。来場できる対象は展示会ごとに決まっているため、登録の前に対象者の条件を確認しておきましょう。
名刺は「多すぎるかな」と思うくらい持っていく
受付での確認、各ブースでの商談、セミナー会場での交流と、展示会では想像以上に名刺を使います。関心のあるブースを訪ねていくだけでも、一日で配る枚数はあっという間に増えていきます。
足りなくなると、商談のいちばん大事な場面で渡せず、相手の記憶にも残りません。最低でも十枚程度、関心の幅が広い方や複数日通う方は三十枚ほどを目安に用意しておくと安心です。会社の概要やおすすめ商品をまとめた一枚があると、名刺と一緒に渡せて話が早く進みます。
出展者リストとセミナーを会期前に下調べする
出展者一覧やセミナーのプログラムは、公式サイトで会期の数週間前から公開されます。来場が決まったら、まず「会いたい出展者」と「聞きたいセミナー」を書き出しておきましょう。
規模の大きい商談を考えている相手には、事前にアポイントを入れておくと、当日ブースが混んでいてもじっくり話せます。人気のセミナーは事前予約で席が埋まることもあるため、関心のあるものは早めに申し込んでおくのが得策です。
会場マップで回るルートを引いておく
| 準備すること | なぜ必要か | いつまでに |
|---|---|---|
| Webの来場登録 | 入場に必須。来場対象の条件確認も兼ねる | 来場が決まり次第 |
| 名刺の補充 | 受付・商談・交流で大量に使う | 前日まで |
| 出展者とセミナーの下調べ | 当日の優先順位づけとアポ取り | 一週間前まで |
| 会場マップでルート確認 | ホール間の移動の無駄をなくす | 前日まで |
会場が複数のホールに分かれている展示会では、行き当たりばったりで歩くと、移動の往復だけで時間を使ってしまいます。事前に会場マップを見て、優先したいブースの位置を確認し、回る順番をざっくり決めておきます。
出展者は、加工食品・原材料・機械設備・地域産品といったゾーンごとにまとまっていることが多いので、自分の目的に近いゾーンから回ると無駄がありません。
当日の持ち物と服装
| 持ち物 | 用途 |
|---|---|
| 名刺(多めに) | 受付・商談・交流で使う |
| 歩きやすい靴 | 一日で数キロ歩くことも珍しくない |
| 大きめのトートやキャリー | カタログやサンプルですぐにかさばる |
| スマートフォンとモバイルバッテリー | QRでの名刺交換、ブースの撮影、会場アプリ |
| 筆記用具とメモ | 商談の内容をその場で残す |
会場は広く、空調も効いていますが、歩く距離が長く、もらう資料も増えていきます。身軽さと記録のしやすさを両立できる装備をそろえておきましょう。
服装はビジネスカジュアルが基本
来場者の多くは、ビジネスカジュアルかそれに準じた服装です。商談相手に失礼のない範囲で、長時間歩いても疲れにくい服と靴を選ぶとよいでしょう。会場内は空調が効いている一方、入口付近や屋外の動線は季節の影響を受けるため、温度を調整しやすい上着があると快適に過ごせます。
試食やサンプルとは上手に付き合う
食品展示会では試食を用意するブースも多く、つい次々と口にしたくなるでしょう。ただ、朝から休みなく食べ歩くと、午後には味の違いがわかりにくくなり、体力も落ちてしまいます。
本命のブースの試食は、味覚が鮮明な時間帯に回す。気になった商品は写真とメモを残し、サンプルは持ち帰って後日きちんと評価する。このメリハリが、正確な判断につながります。
会場での回り方|限られた時間で成果を上げる
午前は商談、午後は情報収集と使い分ける
開場直後の午前中は比較的すいており、本命のブースでじっくり商談しやすい時間帯です。来場者が増える午後は、混み合うブースを避けてセミナーや幅広い情報収集に時間を充てると効率的に動けます。最終日は早めに閉場する展示会もあるため、終了時刻は事前に確認しておきましょう。
商談は「名刺・メモ・写真」をセットで残す
複数のブースを回ると、帰るころには商品名と会社名があいまいになりがちです。商談したブースでは名刺をもらうだけでなく、聞いた条件(最低ロット、価格帯、納期など)をその場でメモし、商品やパッケージの写真を撮らせてもらいましょう。
近ごろは、QRコードを読み取って名刺情報を交換する仕組みを取り入れる展示会も増えています。スマートフォンの充電を確保しておけば、こうしたやり取りも滞りなく進むでしょう。
セミナーや出展者プレゼンで業界の流れをつかむ
会場では、主催者や出展者によるセミナーやプレゼンテーションが行われます。市場のトレンドや法改正、売れ筋の傾向などを、その分野の担当者からまとめて聞ける機会です。商談の合間に組み込んでおくと、個別ブースを回るだけでは得にくい全体像をつかめます。
来場後のフォローまでが「展示会」です
展示会は、会場を出たら終わりではありません。むしろ、持ち帰った名刺やサンプルをどう活かすかで、その日の価値が決まります。
名刺と商談メモは当日中に整理する
記憶が新しいうちに、名刺と商談メモをひも付けて整理しておきましょう。「どのブースの誰と、何を話し、次に何をするか」を一言ずつ書き添えておくだけで、後日の連絡が格段に楽になります。
サンプルは評価軸を決めて記録する
持ち帰ったサンプルは、味・価格・規格・容量・賞味期限など、あらかじめ決めた評価軸で見ていくとよいでしょう。複数の候補を同じ基準で比べることで、その場の印象だけに流されない判断ができます。
お礼と次のアクションは数日以内に
商談の熱が冷めないうちに、お礼と次の提案を連絡できると効果的です。相手も多くの来場者と話しているため、早く動いたほうが覚えてもらえます。サンプル請求や見積もり依頼など、具体的な一歩を添えると、商談は前に進みやすくなります。
一般消費者でも参加できますか?
ここまで紹介してきた食品展示会の多くは、業界関係者向けのBtoB展示会です。たとえばFOODEX JAPANは食品業界の関係者に来場を限り、健康博覧会は名刺をお持ちでない方の入場を断っています。いずれも16歳未満の方は入場できません。
一方で、JAPANドラッグストアショーのように、会期の一部に一般公開日を設ける展示会もあります。来場できる対象は展示会ごとに違うため、参加を考えている展示会の公式サイトで、来場対象と入場条件を必ず確認しておきましょう。
行きたい展示会を探すには
来場の段取りがわかったら、次は「どの展示会に行くか」です。開催月・会場・対象業種から比較できる一覧を用意しているので、気になる展示会を見つけたら、本記事の準備を当てはめてみてください。
製菓・製パン・スイーツの分野で、どの展示会を選べばよいか迷う場合は、目的別の選び方をまとめた記事もあわせてご覧ください。
参考:FOODEX JAPAN 来場のご案内|一般社団法人日本能率協会
参考:健康博覧会 来場案内|インフォーママーケッツジャパン株式会社