2035年の世界の食料はどうなる?人口と穀物の需給見通しをデータで読む

世界の人口が増えるなかで、食べ物は足りるのでしょうか。この記事では、農林水産省の農林水産政策研究所が2026年3月に公表した「2035年の世界食料需給の見通し」をもとに、人口と穀物の需給の見通しを整理しました。
この記事で分かること
- 世界の人口は2035年に88.5億人まで増えるが、増え方はゆるやかになる
- 世界の穀物の消費量は2035年に32.0億トンまで増え、生産量もほぼ同じだけ増える見通し
- 穀物の生産の増加は、畑を広げることではなく、面積あたりの収穫量が伸びることで支えられる
2035年の見通しの前提
世界の人口は2035年に88.5億人となり、増え方はゆるやかになる
| 期間 | 世界の人口 | 1人あたりの実質GDP |
|---|---|---|
| 2010-12年 | 70.7億人 | 9,489ドル |
| 2022-24年 | 80.6億人 | 11,298ドル |
| 2035年(見通し) | 88.5億人 | 14,243ドル |
人口は増え続けますが、伸び率は鈍くなります。人口が減る国も出てくる一方で、サブサハラ・アフリカや中東、南アジアなどの途上国では増加が続く見通しです。所得も伸び、2035年の1人あたりの実質GDPは2022-24年より約26%高くなると想定されています。
※各期間は前後3年の平均です。人口と所得は、見通しを計算するための前提として置かれた値です。増減率(約26%)は当サイトが計算しました。
参考:世界の食料需給の動向と中長期的な見通し―世界食料需給モデルによる2035年の世界食料需給の見通し―|農林水産政策研究所
穀物の需給の見通し
世界の穀物の消費量は、2035年に32.0億トンまで増える

2022-24年から2035年にかけて、穀物の消費量は3.9億トン増える見通しです。2010-12年からの12年間の増加(5.7億トン)と比べると、伸びは小さくなります。生産量もほぼ同じペースで増え、需要と供給の増加はほぼ釣り合うと見込まれています。
※2035年は、農林水産政策研究所の「世界食料需給モデル」による見通しです。生産量は百万トン単位の値を当サイトが億トンに換算しました。
参考:世界の食料需給の動向と中長期的な見通し―世界食料需給モデルによる2035年の世界食料需給の見通し―|農林水産政策研究所
穀物の生産は、畑を広げるより収穫量を上げることで増える
| 項目 | 2022-24年 | 2035年(見通し) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 収穫面積 | 7.2億ha | 7.2億ha | 0.7%減 |
| 単収(1haあたりの収穫量) | 3.9トン | 4.5トン | 15.1%増 |
2035年の穀物の収穫面積は、2022-24年からわずかに減る見通しです。それでも生産量が増えるのは、品種や栽培技術の改良などで、同じ広さの畑からとれる量(単収)が伸びるためです。
※見通しは、収穫面積の変化に特に制約がなく、これまでの単収の伸びが続くという前提で計算されています。単収が伸びる理由の具体例は当サイトによる一般的な説明です。
参考:世界の食料需給の動向と中長期的な見通し―世界食料需給モデルによる2035年の世界食料需給の見通し―|農林水産政策研究所
肉の消費の見通し
1人あたりの肉の消費量は、年40.0kgから42.8kgへ増える
一般に、所得が上がると肉を食べる量は増えるといわれます。2035年には、世界の1人あたりの年間の肉の消費量が、2022-24年より2.8kg増える見通しです。家畜のえさには穀物が使われるため、肉の消費の増加は穀物の需要を押し上げる要因の一つになると考えられます。
参考:世界の食料需給の動向と中長期的な見通し―世界食料需給モデルによる2035年の世界食料需給の見通し―|農林水産政策研究所
国際価格の見通し
穀物の国際価格は、物価の影響を除くと弱含みで推移する見通し
需要の伸びが鈍くなるなかで、需要と供給の増加がほぼ釣り合うため、穀物などの国際価格は長い目で見ると弱含みになると見込まれています。ただし、全体の物価の上昇を加えた名目価格で見ると、穀物と大豆の価格はわずかに上がる見通しです。品目ごとの価格の見通しは、別の記事で詳しく紹介しています。
※「弱含み」は、物価の上昇分を除いた実質価格での見通しです。
参考:世界の食料需給の動向と中長期的な見通し―世界食料需給モデルによる2035年の世界食料需給の見通し―|農林水産政策研究所
データを読むときに気をつけたい3つの点
- 平年並みの天候や、今の政策が続くことを前提にした見通しです。 紛争や異常気象などの急な出来事は含まれていません。
- 2026年以降、価格が大きく動く可能性があります。 報告書は、ウクライナ侵攻の長期化や中東情勢、各国の政策変更、貿易摩擦、物流の混乱やインフレなどにより、穀物などの価格が大きく変動する可能性に注意が必要としています。
- 数字は前後3年の平均です。 1年ごとの豊作・不作の影響をならした値のため、特定の年の実績とは一致しません。
まとめ
2035年に向けて、世界の人口と所得は増え続け、穀物の消費量も増えていきます。ただし伸び方はゆるやかになり、単収の向上によって生産もほぼ同じだけ増える見通しです。
一方で、見通しはあくまで平年並みの条件を前提にしたものです。紛争や天候の変化で状況が大きく変わる可能性もあるため、最新の動きとあわせて見ていく必要があるでしょう。
この記事で使った資料
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| 資料名 | 世界の食料需給の動向と中長期的な見通し―世界食料需給モデルによる2035年の世界食料需給の見通し― |
|---|---|
| 発信元 | 農林水産政策研究所(農林水産省) |
| 公表日 | 2026年3月 |
| 集計の対象 | 世界の穀物・大豆・植物油・肉類・乳製品などの需給と国際価格 |
| 集計の単位 | 前後3か年度の平均(基準は2022-24年度)と、2035年の見通し |
「世界食料需給モデル」は、人口や経済成長などの前提をもとに、世界の食料の生産・消費・貿易・価格が将来どうなるかを計算する仕組みです。見通しは、収穫面積の変化に特に制約がなく、今の単収の伸びが続き、各国の政策が今のまま続き、天候が平年並みであるという前提で計算されています。

