和菓子店の倒産が過去最多のペースに|2026年1~9月のデータで見る老舗の苦境と新しい動き
季節の生菓子や、昔から変わらない味のおまんじゅう。そんな和菓子を作り続けてきたお店の倒産が、2026年は過去最多のペースで続いています。この記事では、帝国データバンクが2026年10月3日に公表した調査をもとに、和菓子店の倒産の動きと、その背景にあるものを整理します。
この記事で分かること
- 2026年1~9月の和菓子店の倒産は22件で、これまで最も多かった2025年を上回るペース
- 2020年以降に倒産した138件のうち、業歴100年以上の老舗が24件あり、業歴50年以上は半数にのぼる
- 値上げのしにくさ、材料費の上昇、贈り物需要の縮小、職人の高齢化が重なる一方、新しい売り方や商品で業績を伸ばすお店もある
和菓子店の倒産はどれくらい増えている?
2026年は9月までに22件で、過去最多だった2025年を上回るペース
| 2026年1~9月の倒産件数 | 22件 |
|---|---|
| これまで最も多かった年との比較 | 2025年を上回るペース |
年の途中で、すでに過去最多の更新が見えてきた形です。帝国データバンクによると、2026年は長年地域に親しまれてきた老舗の和菓子店の倒産が多く発生しました。
※集計の対象は、負債1,000万円以上・法的整理による倒産です。「和菓子店」は、まんじゅうや干菓子、練り切りなどの和菓子を製造する企業(小売を含む)を指します。2025年の年間の件数は、公表資料の本文には書かれていません。
参考:「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)|帝国データバンク
2025年1~7月には、菓子の製造小売の倒産の3件に1件が和菓子店だった

帝国データバンクが2025年8月に公表した調査では、菓子の製造小売の倒産は前の年の同じ時期の24件から約1.6倍に増えていました。その中に、和菓子店が3件に1件の割合で含まれています。和菓子店の苦しさは、2025年の時点ですでに数字に表れていたといえるでしょう。
※2025年1~7月の集計です。2026年1~9月の件数とは期間が違うため、並べて比べることはできません。
参考:菓子製造小売業の倒産動向調査(2025年1月-7月)|帝国データバンク
どんな和菓子店が倒産している?
2020年以降に倒産した138件のうち、業歴100年以上の老舗が24件
| 業歴 | 件数・割合 |
|---|---|
| 100年以上 | 24件(17.4%) |
| 50年以上(100年以上を含む) | 半数 |
帝国データバンクが2020年以降の倒産を業歴別に調べたところ、創業から100年を超える老舗が、およそ6件に1件の割合を占めていました。50年以上続いたお店まで含めると半数にのぼります。長く地域に親しまれてきたお店が目立つ結果です。
※2020年1月~2026年9月の倒産が対象です。「50年以上で半数」は資料の表現で、正確な件数は公表されていません。
参考:「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)|帝国データバンク
看板商品で知られた老舗も、2026年に破産している
| お店 | 所在地 | 知られていた商品 | 倒産の形 |
|---|---|---|---|
| 高砂屋 | 石川 | 加賀の巻絹 | 破産 |
| いづみや | 神奈川 | よこすか焼き | 破産 |
帝国データバンクは、こうしたお店について、人口の減少や消費者の好みの変化に、原材料価格の上昇による採算の悪化が重なり、経営が行き詰まったと説明しています。よく知られた看板商品があっても、お店を続けられるとは限らないといえそうです。
参考:「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)|帝国データバンク
和菓子店の倒産が増えている理由は?
- 和菓子ならではの値上げのしにくさ
- 小豆・砂糖・もち米などの原材料や、包装資材・光熱費・人件費の上昇
- 若い世代の和菓子離れと、贈り物の需要の縮小
- 職人の高齢化による、技術の引き継ぎの難しさ
- 店や工場への設備投資と、コロナ禍で借りたお金の返済
帝国データバンクは、和菓子店の倒産や閉店が相次ぐ背景として、こうした負担が重なっていることを挙げています。ここからは、一つずつ見ていきましょう。
和菓子は、洋菓子よりも値上げがしにくい
和菓子は、日常のお茶請けや、地域の贈り物として買われることの多いお菓子です。帝国データバンクは、嗜好品としての面が強い洋菓子などに比べて、値上げへの抵抗感が生まれやすいと説明しています。実際に値上げをしたものの、そのあと来店の回数や売れる数が減ってしまったお店もあるとのことです。
参考:「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)|帝国データバンク
小豆・砂糖・もち米に加え、包装資材や光熱費も上がっている
| 上がっている費用 | 主なもの |
|---|---|
| 原材料 | 小豆、砂糖、もち米 |
| 店や工場の運営 | 包装資材、光熱費、人件費 |
帝国データバンクによると、和菓子の主な原材料は値上がりの傾向が続いています。費用が増える一方で売り値に十分上乗せできず、苦しい状況に追い込まれたお店は少なくありません。値上げのしにくさと費用の増加が、同時にお店を圧迫している構図です。
参考:「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)|帝国データバンク
砂糖の卸売価格は、2021年より2割以上高い水準が続いている
| 時期 | 上白糖の卸売価格(東京、1kgあたり) |
|---|---|
| 2021年の平均 | 194円 |
| 2025年の平均 | 249円 |
| 2026年5月 | 242円 |
和菓子の材料のうち、砂糖は農林水産省の資料で値段の動きを確かめられます。上白糖の卸売価格は2024年1月から250円で推移したあと、2025年11月に7年ぶりに下がりました。それでも、2021年の平均と比べると2割以上高いままです。
※日本経済新聞の市中相場(東京、上白、大袋30kg入り、消費税抜き)の値です。帝国データバンクは和菓子の原材料価格について「上昇傾向が続いている」としていますが、農林水産省の資料では、砂糖の卸売価格は2025年11月に下がったことが示されています。小豆やもち米の価格は、この記事で使った資料には含まれていません。
参考:令和7砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第3回)|農林水産省
参考:令和7砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第4回)|農林水産省
若い世代の和菓子離れと、贈り物の需要の縮小が続いている
帝国データバンクは、若い世代の和菓子離れが指摘されるなかで、主なお客さんの高齢化が進んでいると伝えています。冠婚葬祭が簡素になったことや、手土産を持っていく機会が減ったことも重なり、贈り物向けの需要は縮小傾向にあるとのことです。
参考:「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)|帝国データバンク
職人の高齢化で、技術を受け継ぐことが難しくなっている
和菓子づくりには、高度な技術が欠かせません。帝国データバンクによると、菓子職人の高齢化で生産量を保てなくなったお店や、代表者の体調不良や職人の引退をきっかけに事業を続けられなくなったお店もみられます。技術の引き継ぎは、お店の存続そのものに関わる課題です。
参考:「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)|帝国データバンク
店や工場への投資と、コロナ禍の借入金の返済も重荷になっている
店舗や工場を新しくするための設備投資や、コロナ禍で借りたお金の返済も、経営を圧迫する要因として挙げられています。2025年には、1861年創業の青森県の和菓子店「お菓子のみやきん」が、新工場の建設や店舗の開設に伴う投資の負担に原材料の高騰が重なり、事業の継続を断念しました。負債は約7億1,600万円で、2025年1~7月に倒産した菓子の製造小売の中で最も大きな額です。
参考:「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)|帝国データバンク
参考:菓子製造小売業の倒産動向調査(2025年1月-7月)|帝国データバンク
業績を伸ばしている和菓子店は、何をしている?
売り方を広げて、新しいお客さんを取り込んでいる
| 取り組み | 内容 |
|---|---|
| 観光地での販売 | インバウンド(訪日客)の需要を取り込む |
| OEM製造 | コンビニやスーパー向けの商品を、相手先のブランドで作る |
| ネット通販・ふるさと納税 | 店頭以外にも販路を広げる |
厳しいお店が多い一方で、こうした取り組みで業績を伸ばしている和菓子店もあると、帝国データバンクは紹介しています。店頭での販売だけに頼らず、売る場所を増やしている点が共通しているといえそうです。
参考:「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)|帝国データバンク
「ネオ和菓子」などで、若い世代のお客さんを増やしている
流行の商品を開発して若い世代のお客さんを開拓し、新しい需要につなげている和菓子店もあります。帝国データバンクは、老舗のブランド力だけでは成長が難しい局面を迎えるなか、伝統の味や技術を守りながら新しい需要をどう取り込むかが、今後の事業継続を左右しそうだと見ています。
参考:「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)|帝国データバンク


