食育の目標はどこまで達成できた?第4次食育推進基本計画の24の目標値を食育白書から読む
国は「食育推進基本計画」で、朝ごはんや栄養バランス、食品ロスなどについて目標の数値を決めています。では、その目標はどこまで達成できたのでしょうか。この記事では、農林水産省が2026年6月に公表した「令和7年度 食育白書」をもとに、第4次計画の24の目標値の結果を整理します。
この記事で分かること
- 24の目標値のうち、目標を達成したのは「栄養教諭による地場産物の指導」と「郷土料理などを月1回以上食べる人」の2つ
- 計画を作った時より改善したのは、食塩の摂取量、食品ロス削減の行動、市町村の推進計画の3つ
- 国民の意識や行動を聞いた目標の多くは、計画を作った時の値を下回っている
目標を達成した項目
達成したのは、学校での地場産物の指導と、郷土料理を食べる人の2つ
| 目標の項目 | 作成時の値 | 現状値 | 目標値 |
|---|---|---|---|
| 栄養教諭による地場産物に関する食の指導の平均回数 | 月9.1回(2019年度) | 月14.1回(2025年度) | 月12回以上 |
| 郷土料理や伝統料理を月1回以上食べている国民の割合 | 44.6%(2020年度) | 54.7%(2025年度) | 50%以上 |
学校の栄養教諭が、地元の食材を使って食について教える回数は、目標を2回以上上回りました。郷土料理や伝統料理を月1回以上食べている人も半数を超え、目標に届いています。食育白書によると、郷土料理を食べている人は男女とも5割以上でした。
参考:令和7年度 食育白書(第3部 食育推進施策の目標と現状に関する評価)|農林水産省
作成時より改善した項目
食塩の摂取量、食品ロス削減の行動、市町村の推進計画の3つが改善
| 目標の項目 | 作成時の値 | 現状値 | 目標値 |
|---|---|---|---|
| 1日あたりの食塩摂取量の平均値 | 10.1g(2019年度) | 9.6g(2024年度) | 8g以下 |
| 食品ロス削減のために何らかの行動をしている国民の割合 | 76.5%(2019年度) | 77.2%(2025年度) | 80%以上 |
| 食育推進計画を作成・実施している市町村の割合 | 87.5%(2019年度) | 92.8%(2026年3月末) | 100% |
食育白書は、この3つを「作成時より改善」と評価しました。ただ、いずれも目標値にはまだ届いていません。食塩の摂取量は1日あたり0.5g減りましたが、目標の8g以下まではあと1.6gの開きがあります。
※食塩・野菜・果物の値は厚生労働省「国民健康・栄養調査」、食品ロスの値は消費者庁の調査、市町村の値は農林水産省調べによるものです。
参考:令和7年度 食育白書(第3部 食育推進施策の目標と現状に関する評価)|農林水産省
意識や行動についての目標の状況
意識や行動を聞いた目標の多くは、作成時の値を下回っている

11項目すべてで、現状値は作成時の値を下回りました。下がり幅が大きかったのは、環境に配慮した食品を選ぶ人と、農林漁業体験を経験した人です。栄養バランスのとれた食事をほぼ毎日とる若い世代は、4人に1人を下回っています。
※いずれも農林水産省「食育に関する意識調査」の結果です。下がり幅は当サイトが作成時の値と現状値を比べたもので、統計的に意味のある差かどうかは示していません。
参考:令和7年度 食育白書(第3部 食育推進施策の目標と現状に関する評価)|農林水産省
朝食や野菜・果物の目標は、目標値から離れている
| 目標の項目 | 作成時の値 | 現状値 | 目標値 |
|---|---|---|---|
| 朝食または夕食を家族と一緒に食べる「共食」の回数 | 週9.6回(2020年度) | 週8.6回(2025年度) | 週11回以上 |
| 朝食を欠食する子供の割合 | 4.6%(2019年度) | 6.4%(2025年度) | 0% |
| 朝食を欠食する若い世代の割合 | 21.5%(2020年度) | 28.2%(2025年度) | 15%以下 |
| 1日あたりの野菜摂取量の平均値 | 280.5g(2019年度) | 258.7g(2024年度) | 350g以上 |
| 1日あたりの果物摂取量が100g未満の人の割合 | 61.6%(2019年度) | 67.7%(2024年度) | 30%以下 |
朝食を食べない人や、果物をあまり食べない人の割合は、計画を作った時より高くなりました。野菜の摂取量も20g以上減り、目標の350gとの差は広がっています。毎日の食事の中身や回数に関わる目標ほど、達成が難しくなっている様子がうかがえます。
※朝食を欠食する割合と、果物の摂取量が100g未満の人の割合は、低いほど目標に近い指標です。最後の一文は当サイトの読み方です。
参考:令和7年度 食育白書(第3部 食育推進施策の目標と現状に関する評価)|農林水産省
学校給食の国産食材の指標は上がったが、ボランティアは減った
| 目標の項目 | 作成時の値 | 現状値 | 目標値 |
|---|---|---|---|
| 学校給食の地場産物の使用割合を維持・向上した都道府県の割合 | 68.1%(2021年度) | 70.2%(2025年度) | 90%以上 |
| 学校給食の国産食材の使用割合を維持・向上した都道府県の割合 | 74.5%(2021年度) | 83.0%(2025年度) | 90%以上 |
| 食育の推進に関わるボランティア団体などで活動している人の数 | 36.2万人(2019年度) | 30.3万人(2024年度) | 37万人以上 |
学校給食の2つの指標は、作成時の値より上がりました。ただし食育白書は、この2つを「作成時より改善」の項目には含めていません。食育ボランティアで活動している人は6万人ほど減り、白書は新型コロナウイルス感染症の影響や、高齢化による辞退・活動の停止などを理由に挙げています。
※学校給食の2つの指標の作成時の値は、食育白書でかっこ付きで示されている2021年度の値です。ボランティアの人数(30.3万人)は、第3部では2024年度の値とされていますが、第2部第3章では「令和6(2024)年3月時点」の値と書かれています。
参考:令和7年度 食育白書(第3部 食育推進施策の目標と現状に関する評価)|農林水産省
参考:令和7年度 食育白書(第2部第3章 地域における食育の推進)|農林水産省
結果をどう受け止めるか
白書は、新型コロナや物価高などの社会の変化が影響したと見ている
食育白書は、第4次計画の期間中に、社会の構造や暮らし方の変化、新型コロナウイルス感染症、食料品などの物価高騰が起きたことを挙げています。そのうえで、数値目標の進み具合は、こうした社会情勢の影響も大きく受けていると考えられると説明しました。
参考:令和7年度 食育白書(第3部 食育推進施策の目標と現状に関する評価)|農林水産省
2026年6月に、次の「第5次食育推進基本計画」が決まった
| 重点事項 |
|---|
| 学校等での食や農に関する学びの充実 |
| 健全な食生活の実現に向けた「大人の食育」の推進 |
| 国民の食卓と生産現場の距離を縮める取組の拡大 |
食育白書の公表後、2026年6月24日の食育推進会議で、2026年度からおおむね5年間の「第5次食育推進基本計画」が決まりました。目標は個人の目標と地域の目標に分けて整理され、達成の状況を確かめながら取り組むとされています。
参考:「第5次食育推進基本計画」の決定について|農林水産省
データを読むときに気をつけたい3つの点
- 目標によって、もとになる調査が違います。 意識や行動の目標は「食育に関する意識調査」、食塩や野菜は「国民健康・栄養調査」、子どもの朝食は「全国学力・学習状況調査」など、それぞれ別の調査の値です。
- 「作成時」の年度が、項目によって異なります。 多くは2020年度ですが、2019年度や2021年度の値を使っている項目もあります。
- 2つの年度の値を比べただけでは、傾向までは分かりません。 途中の年度の動きや、統計的に意味のある差かどうかは、この記事の表やグラフからは判断できません。
まとめ
第4次食育推進基本計画の24の目標値のうち、達成したのは2つ、作成時より改善したのは3つでした。いっぽうで、国民の意識や行動を聞いた目標の多くは作成時の値を下回り、若い世代の朝食欠食や野菜の摂取量なども目標から離れています。
2026年6月には、大人の食育などを柱にした第5次計画が決まりました。新しい目標がどう達成されていくのか、今後の食育白書で確かめていきたいところです。
この記事で使った資料
資料の一覧と、数字の数え方を見る
| 資料名 | 令和7年度 食育白書 |
|---|---|
| 発信元 | 農林水産省 |
| 公表日 | 2026年6月16日 |
| 集計の対象 | 第4次食育推進基本計画の24の目標値(16の目標)の、計画作成時の値と現状値 |
| 集計の単位 | 項目ごとに異なる(割合、回数、摂取量、人数など)。現状値は多くが2025年度 |
| 資料名 | 「第5次食育推進基本計画」の決定について |
|---|---|
| 発信元 | 農林水産省 |
| 公表日 | 2026年6月24日 |
| 集計の対象 | 第5次食育推進基本計画の重点事項と計画期間 |
| 集計の単位 | ― |
第4次食育推進基本計画は、2021年3月に決まった計画で、期間は2021年度からおおむね5年間です。食育白書の第3部では、各目標値について「作成時の値」と「現状値」を並べて評価しています。
