アフィリエイト広告のルールはどう変わった?問題になった広告からステマ規制まで
アフィリエイト広告は、ブログやSNSで商品を紹介してもらい、購入などの成果に応じて報酬を支払う広告です。少ない費用で始められる一方、うそや大げさな表示が問題になったこともありました。この記事では、消費者庁の資料をもとに、問題になった広告の特徴とルールの移り変わりを整理します。
この記事で分かること
- 問題になったアフィリエイト広告の多くは、健康や美容の商品で、定期購入をめぐるものが目立った
- 2022年に「表示の責任はまず広告主にある」という考え方が示され、2023年10月からは広告であることを隠すと景品表示法違反になった
- 2025年度も、ステルスマーケティング(ステマ)やアフィリエイトサイトの表示をめぐる対応が続いている
アフィリエイト広告に関わる人たち
広告主・ASP・アフィリエイター・媒体社の4者が関わっている
| 立場 | 役割 |
|---|---|
| 広告主 | 商品やサービスを売る会社。報酬の条件や、してはいけない表示を決める |
| ASP | 広告主とアフィリエイターを仲立ちし、成果の計測や報酬の支払いをまとめる |
| アフィリエイター | 自分のサイトやSNSに広告をのせ、成果に応じて報酬を受け取る |
| 媒体社 | 検索サービスやSNS、ニュースサイトなど、広告を出す場所を持つ会社 |
広告の文章をつくるのは、多くの場合、広告主ではなくアフィリエイターです。主要なASPに登録されている分だけでも、約11,000の広告主の広告が約600万のサイトにのっているといわれています。広告主がすべての表示を確かめにくいことが、問題の背景の一つとされています。
参考:アフィリエイト広告の取引実態(実態調査)|消費者庁
参考:アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書|消費者庁
問題になったアフィリエイト広告
多くは健康や美容の商品で、定期購入や記事風の広告が目立った
- 定期購入なのに「いつでも解約可能」と書く
- 効き目を事実以上に強く見せ、体のコンプレックスをあおる
- 第三者の体験談のように見せた「記事風」の広告にする
- 根拠のない口コミや「販売実績1位」などをのせる
検討会の報告書では、問題が目立つ分野として健康・美容の食品が挙げられました。アフィリエイターが自分の体験のように装った記事風の広告を、広告枠を買って多くの人に見せる手法が多いとされています。報酬が成果で決まる仕組みのため、過激な言葉で購入をあおる動機が働きやすいことも指摘されました。
参考:アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書|消費者庁
相談の約半数は上位10社に集中していたが、問題は一部の事業者だけではなかった
2019年度に全国の消費生活センターなどに寄せられた、「お試し価格」「初回無料」をうたう健康食品・化粧品・飲料の定期購入の相談は、約5万件でした。そのうち約半数は相談の多い上位10社に、約8割は上位50社に集中しています。一方で、それ以外にも年間数百件の相談が寄せられた事業者があり、その中には上場企業も含まれていました。
※相談件数は定期購入に関するもので、すべてがアフィリエイト広告によるものとは限りません。
参考:アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書|消費者庁
ルールの移り変わり
2022年に、表示の責任はまず広告主にあるという考え方が示された
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2021年3月 | 育毛剤のアフィリエイトサイトの表示に、景品表示法にもとづく措置命令 |
| 2022年2月 | 消費者庁の検討会が報告書をまとめる |
| 2022年6月 | 広告主向けの指針が改正され、アフィリエイト広告も対象と明記 |
| 2023年10月 | 広告であることを隠すステマが、景品表示法違反の対象に |
| 2024年10月 | 改正景品表示法が施行され、事業者の自主的な取り組みで解決する「確約手続」が始まる |
| 2025年度 | ステマに違反した疑いのある4件で、事業者の確約計画を認定 |
検討会の報告書は、アフィリエイターが書いた広告であっても、表示の責任はまず広告主が負うという考え方を示しました。そのうえで広告主に、表示内容の確認や資料の保管、相談窓口の設置、問題が見つかったときの修正や提携の解除といった体制づくりを求めています。
※規制違反のアフィリエイト広告への行政処分について、矢野経済研究所の2021年の調査は「2021年6月」、消費者庁の報告書は「2021年3月と11月の措置命令」を挙げています。
参考:アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書|消費者庁
参考:景品表示法|消費者庁
参考:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。|消費者庁
参考:景品表示法違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか?|消費者庁
参考:アフィリエイト市場に関する調査を実施(2021年)|矢野経済研究所
「広告」と示すことは2022年に「望ましい」とされ、2023年10月からは隠すと違反になった
2022年6月の指針の改正では、アフィリエイト広告も指針の対象であることがはっきり書かれ、事業者の「広告」であることを示すのが望ましいという内容が加わりました。さらに2023年10月からは、広告なのに広告であることを隠すステマが、景品表示法違反の対象になっています。規制の対象は商品やサービスを売る事業者(広告主)で、依頼を受けて投稿するインフルエンサーなどの第三者は対象になりません。
※消費者庁長官は、2022年の改正の説明で、必ずしも「広告」という文字でなくても、広告であることが分かればよいと述べています。
参考:伊藤消費者庁長官記者会見要旨(2022年6月29日(水))|消費者庁
参考:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。|消費者庁
2025年度も、ステマやアフィリエイトサイトの表示をめぐる対応が続いた
| 2025年度の主な案件 | 内容 |
|---|---|
| ステマの疑い(4件) | 星5の口コミを投稿すると次回の料金を割り引くとしていたサロンや、Instagramへの投稿を依頼していた宅配食など。事業者が出した確約計画を認定 |
| アフィリエイトサイトの表示 | おなかが引き締まるかのように見せたダイエット系の食品で、根拠の弱い「No.1」表示も問題に。2022年の表示について、2025年6月に課徴金納付命令 |
どちらも、消費者庁が2026年5月にまとめた2025年度の運用状況に載っている案件です。ステマ規制が始まってから約2年がたっても、広告であることを隠す表示や、アフィリエイトサイトでの大げさな表示への対応は続いています。
参考:令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組|消費者庁
参考:景品表示法違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか?|消費者庁
業界の受け止め方
ASPの多くは、ルールの強化を市場が健全になる動きと受け止めている
矢野経済研究所の2021年の調査によると、行政処分をきっかけに、健康食品や化粧品などの広告主がアフィリエイト広告をやめたり、提携先を絞ったりする例が増えました。2022年の調査では、ASPの多くが指針の強化を市場を健全にする正しい取り組みと受け止め、悪質な広告が減れば、中長期的には市場の成長につながるとみています。2025年の調査は、ステマ規制のあと悪質な事業者への処分が増えて健全化が進むとする一方、一部のASPの売上が減ったり、新しいASPが淘汰されたりする影響も考えられるとしました。
参考:アフィリエイト市場に関する調査を実施(2021年)|矢野経済研究所
参考:アフィリエイト市場に関する調査を実施(2022年)|矢野経済研究所
参考:アフィリエイト市場に関する調査を実施(2025年)|矢野経済研究所
データを読むときに気をつけたい3つの点
- 相談件数は、2019年度の数字です。 検討会の報告書がまとめたもので、その後の件数は、この資料からは分かりません。
- 処分や認定の件数は、問題のある広告の数そのものではありません。 消費者庁などが調べて、手続きをしたものに限られます。
- 「2025年度」は、2025年4月から2026年3月までの1年間です。 消費者庁の運用状況は、この期間の件数をまとめています。
まとめ
アフィリエイト広告では、健康や美容の商品をめぐる大げさな表示が問題になってきました。2022年には表示の責任はまず広告主にあるという考え方が示され、2023年10月からは広告であることを隠すと景品表示法違反になっています。
2025年度にも、ステマやアフィリエイトサイトの表示をめぐる対応は続きました。ルールが整うほど、正しく表示する広告主やアフィリエイターが選ばれやすくなるのではないでしょうか。
この記事で使った資料
資料の一覧と、数字の数え方を見る
| 資料名 | アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書 |
|---|---|
| 発信元 | 消費者庁(アフィリエイト広告等に関する検討会) |
| 公表日 | 2022年2月15日 |
| 集計の対象 | 健康食品・化粧品・飲料の定期購入に関する消費者相談、事業者へのヒアリング |
| 集計の単位 | 相談件数は2019年度(令和元年度)の1年間 |
| 資料名 | 令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組 |
|---|---|
| 発信元 | 消費者庁 |
| 公表日 | 2026年5月28日 |
| 集計の対象 | 景品表示法にもとづく措置命令、確約計画の認定、課徴金納付命令、指導など |
| 集計の単位 | 2025年度(2025年4月1日〜2026年3月31日)の件数 |
| 資料名 | アフィリエイト市場に関する調査を実施(2021年・2022年・2025年) |
|---|---|
| 発信元 | 矢野経済研究所 |
| 公表日 | 2022年3月11日、2023年4月19日、2025年3月19日 |
| 集計の対象 | ASPや業界団体などへの面談やアンケート |
| 集計の単位 | 年度 |
制度の説明には、消費者庁の「アフィリエイト広告の取引実態(実態調査)」「伊藤消費者庁長官記者会見要旨(2022年6月29日(水))」「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」「景品表示法」「景品表示法違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか?」も使っています。
