ケーキ屋さん・和菓子屋さんの倒産はなぜ増えている?2026年の動向をデータで読む

閉店後の静かなお菓子屋さんのショーケース
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街のケーキ屋さんや和菓子屋さんが、いつの間にか閉店していた。そんな場面に心当たりのある方もいるのではないでしょうか。この記事では、東京商工リサーチが2026年8月に、帝国データバンクが10月に公表したデータをもとに、お菓子屋さんの倒産の動きを整理します。

この記事で分かること

  • 2026年1~7月の菓子小売業の倒産は45件で、同じ期間では過去30年で最も多い
  • 帝国データバンクの集計では、和菓子店の2026年1~9月の倒産が22件で、過去最多だった2025年を上回るペース
  • 背景には材料費の値上がり・節約志向・贈り物需要の減少が重なり、和菓子店では職人の高齢化も重荷になっている
目次

お菓子屋さんの倒産件数の動き

2026年1~7月の倒産は45件で、同じ期間では過去30年で最多

1997年から2002年と2026年の、菓子小売業の1~7月の倒産件数を比べた棒グラフ。1997年4件、1998年14件、1999年7件、2000年5件、2001年8件、2002年14件に対し、2026年は45件と大きく上回っている。

これまでの年間(1~12月)の最多は2025年の58件でしたが、2026年は7月の時点でその8割近くに達しました。東京商工リサーチは、2025年を抜くことが確実な情勢と見ています。2000年前後の同じ期間と比べると、3倍を超える水準です。

※集計の対象は負債1,000万円以上の倒産です。1997年・1999年・2001年の件数は、公表された前年同期比から当サイトが逆算した値です。2003~2025年の1~7月の件数は公表されていないため、グラフでは省略しています。

参考:「ケーキや菓子店」の倒産が過去最多 ~ 値上げで帰省土産も我慢、贈答慣習の変化も影響 ~|東京商工リサーチ TSRデータインサイト

倒産は2023年ごろから増え始めた

コロナ禍の時期は、資金繰りの支援策が効いて、お菓子屋さんの倒産はいったん減りました。流れが変わったのは、支援が終わり、同時に円安が進んだ2023年です。「支えがなくなった」ことと「材料が高くなった」ことが、ほぼ同時にやってきた形といえます。

参考:「ケーキや菓子店」の倒産が過去最多 ~ 値上げで帰省土産も我慢、贈答慣習の変化も影響 ~|東京商工リサーチ TSRデータインサイト

和菓子店の倒産も、2026年は過去最多を上回るペース

項目件数
2026年1~9月の和菓子店の倒産22件
2020年以降の和菓子店の倒産138件
うち業歴100年以上のお店24件(17.4%)

帝国データバンクによると、2026年の和菓子店の倒産は、これまで最も多かった2025年を上回り、過去最多を更新するペースで推移しています。2020年以降の倒産を業歴別に見ると、業歴50年以上のお店が半数に上り、長く続いてきた老舗の倒産が目立ちました。

※帝国データバンクの集計で、対象はまんじゅうや干菓子、練り切りなどの和菓子を作る菓子製造業者(小売を含む)の、負債1,000万円以上の法的整理です。東京商工リサーチの「菓子小売業」とは対象も期間も異なるため、件数を並べて比べることはできません。

参考:「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)|帝国データバンク

倒産したお菓子屋さんの特徴

倒産の9割以上は販売不振が原因で、約7割は小さなお店だった

2026年1~7月に倒産した菓子小売業45件の内訳を示す横棒グラフ。破産44件(97.7%)、販売不振が原因41件(91.1%)、資本金1,000万円未満31件(68.8%)、物価高の影響15件(33.3%)、人手不足5件(11.1%)。

倒産したお店の多くは、個人で営むお店を含む小規模な事業者でした。原因は、売上が思うように上がらない「販売不振」がほとんどです。お店を続けながら立て直す道ではなく、事業をたたんで財産を整理する「破産」を選んだお店が大半を占めました。

※1つの倒産が複数の項目に当てはまるため、項目の合計は45件になりません。割合は東京商工リサーチの公表値で、人手不足の割合のみ当サイトが算出しています。

参考:「ケーキや菓子店」の倒産が過去最多 ~ 値上げで帰省土産も我慢、贈答慣習の変化も影響 ~|東京商工リサーチ TSRデータインサイト

知名度のあるお店も倒産している

「お菓子の太子堂」を運営していた株式会社太子堂(東京都千代田区)は、2026年7月31日に東京地方裁判所へ破産を申請しました。知名度は高かったものの、業績の悪化を止められなかったと東京商工リサーチは伝えています。一部の店舗は、同業の別の会社が引き継いでいます。

参考:「ケーキや菓子店」の倒産が過去最多 ~ 値上げで帰省土産も我慢、贈答慣習の変化も影響 ~|東京商工リサーチ TSRデータインサイト

お菓子屋さんの倒産が増えている理由

倒産の3件に1件は、物価高の影響を受けていた

物価高の影響を受けた倒産は、前年同期の10件から5件増えました(件数は前のグラフを参照)。「人手不足」による倒産も、前年同期より2件増えています。

※「物価高」倒産は、仕入れや原材料のコスト上昇、その分を価格に上乗せできなかったことなどが原因の倒産を指します。人手不足の前年同期の件数(3件)は、公表された増加率から当サイトが逆算しました。

参考:「ケーキや菓子店」の倒産が過去最多 ~ 値上げで帰省土産も我慢、贈答慣習の変化も影響 ~|東京商工リサーチ TSRデータインサイト
参考:2026年上半期「物価高」倒産 最多の439件 最多は飲食店の71件、中堅から零細企業に広がる|東京商工リサーチ TSRデータインサイト

円安の時期と、倒産が増えた時期は重なっている

東京商工リサーチは、倒産の増加と、円安による小麦や輸入食材の価格変動に相関が見られると指摘しています。1ドル=130円程度だった1998年や125円の2002年は倒産が多く、107円だった2000年は少なめでした。小麦やカカオ豆など、お菓子の原料には輸入に頼るものも少なくありません。

※2つの数字がそろって動く「相関」を示したもので、円安が倒産の唯一の原因であることを示すものではありません。

参考:「ケーキや菓子店」の倒産が過去最多 ~ 値上げで帰省土産も我慢、贈答慣習の変化も影響 ~|東京商工リサーチ TSRデータインサイト

値上げが続き、節約志向のお客さんは安い売り場へ向かっている

ショーケースのケーキや和菓子は値上がりが続き、代わりになるスナック菓子やキャンディも値上げされています。東京商工リサーチによると、特売品やディスカウント店で買う人も増えているとのことです。値上げをすればお客さんが離れ、控えれば利益が出ない。小さなお店ほど、この板ばさみから抜け出しにくいと考えられます。

参考:「ケーキや菓子店」の倒産が過去最多 ~ 値上げで帰省土産も我慢、贈答慣習の変化も影響 ~|東京商工リサーチ TSRデータインサイト

贈り物としてお菓子を買う機会が減っている

お中元や暑中見舞い、お盆の帰省土産といった「贈り物」は、お菓子屋さんにとって大切な売上の柱です。東京商工リサーチは、こうした贈答品の需要が落ち込んでいることも、苦しい状況に拍車をかけていると分析しています。帝国データバンクも和菓子店について、冠婚葬祭の簡素化や手土産需要の減少で、贈答向けの需要が縮小傾向にあると指摘しました。

参考:「ケーキや菓子店」の倒産が過去最多 ~ 値上げで帰省土産も我慢、贈答慣習の変化も影響 ~|東京商工リサーチ TSRデータインサイト
参考:「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)|帝国データバンク

贈り物用に箱に詰められた和菓子

和菓子店では、値上げのしにくさと職人の高齢化も重荷になっている

  • 小豆・砂糖・もち米などの原材料や、包装資材・光熱費・人件費の上昇
  • 値上げへの抵抗感(値上げ後に来店の回数や販売数量が減ったお店も)
  • 菓子職人の高齢化や引退による、技術の引き継ぎの難しさ
  • 店舗・工場への設備投資や、コロナ禍で借りたお金の返済

帝国データバンクは、和菓子は日常のお茶請けや地域の贈答品として買われることが多く、嗜好品としての面が強い洋菓子などに比べて、値上げへの抵抗感が生まれやすいと説明しています。こうした負担がいくつも重なり、和菓子店の経営環境は一段と厳しくなっているとのことです。

参考:「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)|帝国データバンク

これからのお菓子屋さんを取り巻く環境

2026年10月から、輸入小麦の政府売渡価格が12.0%上がった

適用される時期輸入小麦の政府売渡価格(5銘柄の加重平均・税込)
2026年4月期62,520円/トン
2026年10月期70,020円/トン

農林水産省が2026年9月9日に発表し、10月から適用されています。小麦粉は、ケーキやクッキー、どら焼きの皮など多くのお菓子の土台になる材料です。材料費の負担が軽くなる方向の動きではないため、お菓子屋さんにとって厳しい環境が続く可能性があります。

※政府売渡価格は、国が輸入した小麦を製粉会社などに売り渡す価格で、直近6か月の平均買付価格をもとに決められます。今後の見通しは当サイトの見方です。

参考:輸入小麦の政府売渡価格の改定について|農林水産省

小麦粉は、2026年12月19日納品分から値上げされる

小麦粉の種類値上げ額(25kgあたり・税抜)
強力系295円
中力系・薄力系240円
国内産小麦100%395円

日清製粉は10月8日、業務用小麦粉の価格を2026年12月19日納品分から引き上げると発表しました。理由として、政府売渡価格の引き上げに加え、中東情勢の影響で動力費や輸送費が上がっていることを挙げています。

値上げが10月ではなく12月からになるのは、製粉会社が不作などに備えて2.3か月分の小麦を備蓄しているためです。2026年4月期に政府売渡価格が2.5%上がった際も、日清製粉は6月20日納品分から価格を改定しました。ケーキやクッキーに使う薄力系は、25kgあたり240円の値上げです。

※改定額は、業務用小麦粉の特約店向けの仕切り価格です(一部の取引をのぞく)。家庭用の小麦粉の値段は、この発表には含まれていません。

参考:小麦粉価格改定のお知らせ(2026年10月8日)|日清製粉
参考:小麦・小麦粉の価格のしくみ|日清製粉グループ
参考:日清製粉 小麦粉価格改定のお知らせ|日清製粉

新しい売り方や商品で、業績を伸ばす和菓子店もある

  • 観光地でインバウンド(訪日客)の需要を取り込む
  • コンビニやスーパー向けの商品を、相手先のブランドで製造する(OEM)
  • ネット通販やふるさと納税で販路を広げる
  • 「ネオ和菓子」やフルーツ大福、わらび餅などで若い世代のお客さんを増やす

帝国データバンクは、倒産が相次ぐ一方で、こうした取り組みで業績を伸ばす和菓子店もあると紹介しています。伝統の味や技術を守りながら新しい需要をどう取り込むかが、今後の事業継続を左右しそうだという見方です。

参考:「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)|帝国データバンク

モダンな和菓子店のショーケースに並ぶ上生菓子

データを読むときに気をつけたい3つの点

  1. 負債1,000万円未満の倒産や、休業・廃業は含まれていません。 規模の小さな倒産や、借金を残さずに自主的に閉じたお店は数に入らないため、実際に街から消えたお菓子屋さんは、倒産件数より多い可能性があります。
  2. 2026年の数字は途中経過です。 東京商工リサーチは1~7月、帝国データバンクは1~9月までの集計で、2026年全体の件数はまだ確定していません。
  3. 資料によって、集計の対象が異なります。 東京商工リサーチの「菓子小売業」と、帝国データバンクの「和菓子店」「洋菓子店」は、対象も期間の区切り方も違うため、件数を並べて大小を比べることはできません。

まとめ

2026年は、お菓子屋さんの倒産が過去最多のペースで進んでいます。東京商工リサーチの「菓子小売業」、帝国データバンクの「和菓子店」のどちらの集計でも、増加の傾向が示されました。

材料費の値上がりと節約志向、贈り物需要の減少が重なり、和菓子店では値上げのしにくさや職人の高齢化も重荷になっています。一方で、新しい売り方や商品で業績を伸ばすお店もあります。身近なお店のお菓子を選ぶことが、その味を次の世代へ残す一歩になるのかもしれません。

この記事で使った資料

この記事の数値や制度の情報は、2026年10月8日時点で確認できた公表資料にもとづいています。

資料の一覧と、数字の数え方を見る
資料名「ケーキや菓子店」の倒産が過去最多
発信元東京商工リサーチ
公表日2026年8月11日
集計の対象菓子小売業(製造小売を含む)の、負債1,000万円以上の倒産
集計の単位暦年(1~12月)および各年1~7月の件数
資料名2026年上半期「物価高」倒産
発信元東京商工リサーチ
公表日2026年7月8日
集計の対象全業種の「物価高」倒産(負債1,000万円以上)
集計の単位2026年1~6月の件数
資料名「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)
発信元帝国データバンク
公表日2026年10月3日
集計の対象和菓子を作る菓子製造業者(小売を含む)の、負債1,000万円以上の法的整理
集計の単位2026年1~9月の件数と、2020年以降の累計
資料名輸入小麦の政府売渡価格の改定について
発信元農林水産省
公表日2026年9月9日
集計の対象輸入小麦5銘柄の政府売渡価格
集計の単位半年ごと(4月期・10月期)の1トンあたり価格
資料名小麦粉価格改定のお知らせ
発信元日清製粉
公表日2026年10月8日
集計の対象業務用小麦粉の特約店向けの仕切り価格
集計の単位25kgあたりの改定額(税抜)

「菓子小売業」には、ケーキ屋さんや和菓子屋さんのように、お店で作ったお菓子をその場で売る「製造小売」も含まれます。倒産は、会社や個人事業が借金を返せなくなり、法的な手続きや私的な整理に入った状態のことです。小麦粉の価格の決まり方は、日清製粉グループの解説ページを参考にしました。

閉店後の静かなお菓子屋さんのショーケース

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この記事を書いた人

【あいさつ】
こんにちは、ゴンザレス美と申します。お菓子ライブラリの運営者です。
お菓子・食品関連業界の事業会社にて新規事業の立ち上げに携わる、お菓子業界の現役従事者です。Webコンテンツ制作・SEO対策・販促物制作・営業活動・食品展示会の出展準備と運営など、業界の事業活動を実務として日々経験しています。

【これまでの経歴】
大学卒業後、外食産業にて店舗運営に従事し、調理・接客・スタッフマネジメント・売上管理など、現場運営の基礎を積みました。その後Web業界へ転身し、SEOコンサルティング会社にてWebライティング・編集・進行管理に携わったのち、美容・健康分野のWebマーケティングを担当。検索意図の読み解きからコンテンツ設計・データ改善までを一貫して経験してきました。
現在はお菓子・食品関連業界に身を置き、新規事業の立ち上げに参画した他、Web制作・SEO記事執筆・販促カタログ制作・営業支援・食品展示会への出展準備と運営など、お菓子・食品業界の事業活動を多面的に経験しています。

【お菓子ライブラリで発信する情報】
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